2015年6月30日

国内からグローバルへ、 非正規から正社員へ、 一気通貫の育成システムを構築

人口減少社会に入り、あらゆる産業で優秀な人材の確保と定着の重要性が増している。若手人材の育成や非正規社員から正社員への転換などの一貫した育成システムの再構築に取り組む動きが相次いでいる。

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トヨタ自動車は職場での指導と海外派遣で若手を育成

 若手人材の育成は企業の持続的成長にとって不可欠であり、近年、育成システムを再構築する動きが増加しつつある。
 トヨタ自動車は2001年に全トヨタ社員に向けてグローバルトヨタの「人材育成元年」を宣言。以来、グ
ローバル競争に勝ち抜くために若手から幹部に至るまでの育成システムを整備してきた。
 その1つが「組織の小集団化」だ。グループ長(課長)の下に若手社員の面倒を見る3 ~ 4人のチームリーダー(係長職)をグループ長が指名する。この仕組みを「職場先輩制度」と位置づけ、入社後3年間はチームリーダーがマンツーマンで電話の応対やメモの残し方から挨拶のイロハなどの基本的な礼儀作法を含めて責任を持ってしっかりと指導する。
 若手社員はグループ長と希望配属先への異動など育成計画を話し合う面談が年1回あるが、その前にチームリーダーを相手に自己PRの予行演習も実施している。新人に限らず「チームリーダーが一緒に仕事をしながら後輩の面倒を見ることでグループ長候補を育てる効果」(人事担当者)も期待されている。
 それを補完するのが入社4年目の社員に実施する「指導職研修」だ。教えられる側から教える側への意識の転換を促し、後輩が入ってきたときにどういう立ち居振る舞いをするべきかを考えてもらうのが趣旨。後輩の面倒を見ることの大切さや仕事を通じてどのように教えていくのかという具体的な指導方法も学習させている。
 グローバル化対応の教育にも注力している。たとえば入社5年前後の若手社員が海外で1年程度語学研修をしながら現地法人で働く制度は従来からあるが、従来の欧米中心から中国や東南アジアなど新興国への派遣を増やしている。
 同時に近年力を入れているのは、入社4年目から9年目の社員を対象に海外の事業体や海外機関への派遣、国内関係会社への出向など原則全員がいずれかを経験する取り組みだ。最大の目的は「全員がこのプログラムのいずれかに放り込まれて、苦労しながら視野を広げ、たくましさを身につけること」(人事担当者)にある。

チームリーダーからグループ長候補を育てる効果

トヨタ自動車の「職場先輩制度」

トヨタ自動車の「職場先輩制度」

店長の9割が非正規出身、将来の店長人材を発掘するギャップ

 著しい人手不足に直面しているのが小売・飲食業界だ。人材の流動化も激しく、中・長期的には経営基盤を揺るがしかねない事態に陥る可能性もある。人材の定着と育成が急務であるが、最近の傾向として非正規の契約社員から正社員・幹部につながる一気通貫した育成システムを構築しつつある。
 小売業のギャップジャパンは正社員店長の9割を非正規出身者が占める。同社の最大の強みは丁寧な育成とキャリア意識を支える緻密な教育・評価システムにある。
 平均的店舗には正社員が4 ~ 5人、パート・アルバイトの非正規社員が20 ~30人。正社員はストアマネージャー(店長)の下にアソシエイトマネージャー(店長代行)とカスタマーエクスペリエンス(入社後間もない社員)を配置する。
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溝上憲文 溝上憲文

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