2017年8月17日

なぜ残業時間は減らないのか? 長時間労働の要因を理解して、自分で働き方を変える

安倍政権が推進する「働き方改革」。「長時間労働の是正」はこの改革の目玉。電通の過労自殺事件を発端に、これまで以上に長時間労働にバッシングが強くなってきた。とはいえ、長時間労働の要因を正確に整理しなければ、長時間労働の良し悪しを把握することもできまい。この記事では、長時間労働の要因について解説する。

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日本人の年間総労働時間はどの程度か?

近年、日本人の年間総労働時間は減少している。厚生労働省が毎月公表している「毎月勤労統計」を見るとその動きを詳細に把握することができる。

日本人の年間総労働時間は1734時間(2015年)。1993年は1920時間であり、約200時間減少したことがわかるだろう。

しかし、これはパートタイム労働者が増えたことによる。経済成長が鈍化するなか、各企業がパートタイム労働者の採用数を増やした結果、年間総労働時間は減少した。

一方、日本の一般労働者の総労働時間は2025時間(2015年)。1993年は2045時間だったから、ほぼ横ばいであることがわかる。

すなわち、統計上、日本人の総労働時間は減少しているが、それはパートタイム労働者の増加であることがわかる。一般労働者は相変わらず長時間労働を強いられているのが現実だ。

年間総労働時間の多い30代男性

フルタイム労働者で週60時間以上働く人は、一般的に「過労死予備軍」と言われる。週60時間以上働くということは、残業時間は80時間以上になる。厚生労働省の過労死認定基準には、「残業80時間」という数字が明確に示されている。

30代男性のうち、週60時間以上働いている人は16%。2004年は23.8%だったから、約8%減少したものの、その水準は高いままだ。

実際は、サービス残業が常態化しているケースもあるため、割合はもっと高いだろうと予想される。

長時間労働の要因とは?

30代男性を中心に、長時間労働が蔓延していることは理解できただろう。なぜこれほどまでに長時間労働がはびこっているのだろうか?ここでは、考えられる理由を3つ解説する。

残業代で生活費を補てんしている

労働者のなかには、残業代を重要な生活費の一部とみなしているケースも少なくない。

残業代は、割増賃金となるため、従業員にとっては手っ取り早い収入確保策となり得る。また、大企業では月60時間以上残業すると、超過した時間分については50%という高率の割増率が適用されるため、さらにおいしい状況となる。

基本給が低く生活が成り立たない場合、生活費を稼ぐ必要があるため、残業するインセンティブが働きやすい。もし、基本給が一定水準を超えていれば、残業する理由はなくなる。すなわち、基本給の低さが長時間労働を促進している可能性がある。

長時間労働を評価する社風

長時間労働が蔓延している組織は、生産性ではなく、働いた時間で評価する傾向がある。長時間労働が評価や昇進と密接に絡んでいるため、長時間労働を強いられる状態だ。

日本の場合、海外と比較して職務が限定されていないケースが大半だ。この場合、仕事の範囲は決まっておらず、チームワークによって仕事をする必要がある。こうなると、自分だけが早く帰るという話にはなるまい。

チームワークで仕事をするということは、個人の貢献度を測りにくいという面もある。こうなると、どれだけの時間その仕事に関わっていたかが評価のバロメーターとなりやすい。

「早くプロになりたい」という成長意欲

プロフェッショナルとして早く成長したいという思いが長時間労働を助長させる。

筆者もプロフェッショナルの一員であるが、20代の頃は長時間労働が当たり前であった。当時、長時間労働は苦ではなかった。なぜなら、長時間仕事に没頭することで、より早く自分のスキルを高めたいと思ったからだ。

しかし、一定程度スキルがつくと、長時間労働をしても成果が出るとは限らないと気づいた。特にクリエイティビティを要する仕事は、しっかりと休息を取り、人や書籍などからインプットすることが重要。そうしなければ、どこかで息切れを起こしてしまう。

プロフェッショナルを目指すなら、長時間労働は成長するための必要条件かもしれない。とはいえ、そうした働き方をしていては長くは続かないと理解することも重要だ。

長時間労働は健康に悪影響を与える

長時間労働の要因のなかには、労働者の自発性によるものもあった。長時間労働の是正が難しい理由は、ここにあるだろう。もし、労働者の多くが長時間労働を嫌っていれば、長時間労働の是正が共通課題になるだろう。

月80時間以上の残業は、健康被害を生みやすい。長時間労働の是正は、人間らしい生活を送り、健康に暮らすためには必要不可欠なもの。長時間労働をする理由は、人それぞれかもしれないが、健康には十分に留意してほしい。
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