2017年9月22日

【海外出張者と駐在員のリスク管理】ロンドン地下鉄爆弾事件 2人目の容疑者逮捕でテロ警戒レベルを引き下げ

世界中でテロやトラブルが頻発している中、海外出張者と駐在員のリスク管理を今まで以上に徹底していく必要がある。危機管理のプロであるオオコシセキュリティコンサルタンツの廣瀬シニアコンサルタントに、ロンドン地下鉄爆弾事件の概要と共に考察と対策について寄稿してもらった。

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 ロンドン警視庁は、9月15日にロンドン西部の地下鉄車内で発生した爆弾テロ事件(負傷者約30人)に関し、16日までに容疑者2人を拘束したことを明らかにした。

 一人は18歳の少年で、南東部ドーバー港の出国区域で身柄を拘束され、地下鉄車内に爆弾を仕掛けた容疑がかけられている。事件直前、ロンドン西郊の住宅街に設置された監視カメラに、列車内で発見された爆弾と同じような白い袋を持って歩いている姿が映っていたとされる。

 また16日深夜には、レストランの21歳の従業員の男が拘束された。拘束された2人は、それぞれシリアとイラクからの難民で、3~4年前に単身で渡英し、サリー州の老夫婦の里親に引き取られていたとみられる。

 英国治安当局は、今回の事件直後、テロ警戒レベルを5段階評価のうち最高レベルの「危機的(critical)」に引き上げていたが、2人目の容疑者の逮捕により、1つ下の「深刻(severe)」に引き下げ、事件前と同レベルとした。

 本件に関しては、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出しているが、同国治安当局は容疑者とISの関係については捜査中であるとしている。

事件について考察と対策

 地下鉄を狙ったテロ事件は2005年以来である。

 欧州で散発している車両利用によるテロは誰でも実行可能であるが、爆弾によるテロは誰もが実行できる訳ではない。作り方はネットで紹介しているが、実際に製造するには、ある程度の専門知識が必要である。特に、高性能爆弾になるほど誤爆する危険性が高まる。バルセロナの同時テロ事件の際、現場から近いところに構えたテロリストのアジトで爆発が発生したのは、このような理由である。

 今回のテロは、爆弾を使用したと言うことに注目すべきである。爆弾を使用する場合は、密閉された空間で破裂させることによりテロリストが狙う最大の効果がある。つまり、多くの犠牲者が出る可能性がある。幸いにも死者が出なかったのは爆弾の威力が弱かったせいであろう。フランスでも15日早朝に、警戒中の兵士を襲撃する事件が発生している。

 地下鉄、爆弾が今回の安全対策のキーワードである。地下鉄利用者には頭が痛いことであるが、ラッシュ時間を避ける、ドアのそばを避けるなどの自衛策を取る必要がある。


オオコシセキュリティコンサルタンツ 廣瀬幸次 シニア・コンサルタント
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