2016年1月10日

売り手市場化で採用手法の見直し必至~本誌アンケート調査 企業の人材需要と採用の課題(1)雇用情勢・新卒採用編

再び採用スケジュールが変わる新卒採用、人材不足が慢性化している中途採用、多様な労働力の活用などの課題に対して、従来型の採用手法では人材確保が難しくなっている。2016年の日本の雇用情勢と企業の人材採用数の予測を、企業の人材採用を支援する主要人材コンサルティング会社100社を対象にアンケート調査で聞いた。(雇用情勢・新卒採用編)

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企業を取り巻く人材採用マーケットの現状

 本誌が実施した企業の採用を支援する人材コンサルティング会社への調査では、2016年の日本の雇用情勢は良くなるという回答が68%、横ばいが29%、悪くなるが3%となった。
 企業の採用計画の予測も同様に、増加するが約7割を占めている。今年は昨年以上に売り手市場化が進み、人材採用はますます困難を極めることになりそうだ。
 最も企業の採用に影響を与えそうなのが景気拡大による人材需要の増加だ。中国経済の不安定化を指摘する声もあるが、産業全体が好調なことと東京オリンピック開催までのインバウンド需要などで国内外の人材需要はさらにひっ迫しそうである。
 人材採用では今後の労働力人口の減少も考慮に入れていかなければならないだろう。生産年齢人口(15~64歳)は2013年に7901万人で前年比116万5000人の減少となり、32年ぶりに8000万人を下回った。
 2015年7月時点ではさらに減少して7715万9000人と前年同月比96万7000人減(マイナス1.24%)となった。特に若年労働力の不足は深刻だ。
 大学などへの進学や就職の年齢でもある18歳人口はこれまで約120万人を維持してきたが、5年後の2021年から減少傾向に転じ、2030年には約20万人減少して100万人にまで低下すると推計されている。
2016年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)

2016年 日本の雇用情勢・人材採用の増減(回答集計)

新卒採用は昨年以上に売り手市場化

 今春入社の新卒採用活動は、広報開始3月、選考開始8月、正式内定10月という採用活動のスケジュール変更で企業も学生も大混乱に陥った。特に3月から8月まで5カ月の広報活動期間は、企業からも学生からも“長すぎる”という声が上がっていた。
 この期間に行われた学生への選考に対して企業側が形式的に指針を守ろうとしたため、メールの文末に「今後のご活躍をお祈りいたします」と入れて暗に不採用を通知する「お祈り」メールやスケジュールを連絡しないことで不採用を知らせる「サイレント」という言葉が就活生の間で流行するほどだった。
 採用担当者も学生対象の全国各地のイベントへの参加で休みなく活動する状況で疲弊していた。指針を守らず8月以前に面接を実施して内定を出しても、結局は有力大手企業の内定出しが優先されたために次々と内定辞退が出て、内定者の2割も残らなかったという企業もあった。
 大手企業の多くは8月に入り即座に内定を出したが内定を複数抱えた学生が予想以上に多く、10月1日の正式内定までに内定辞退が続出することとなった。こうした混乱で採用計画数を採りきれなかった企業は、採用活動がさらに長期化している。
 企業の新卒採用にかかわった人材コンサルティング会社のある担当者は、「野球に例えれば3月からの広報活動はオープン戦、8月の選考活動は公式戦。今回はオープン戦が長すぎて企業も学生も疲れすぎてしまった。それに比べて公式戦はあまりにも短かったことが、スケジュール変更の失敗につながった」と指摘する。
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