2017年10月10日

有期契約労働者の無期転換と労働契約の終了

労働契約法18条1項前段によれば、有期契約労働者は、①同一の使用者との間で2つ以上の有期労働契約を締結し、②その有期労働契約の通算期間が5年を超えることとなった場合、その契約の開始時点で無期転換権を取得します。無期転換権が行使された場合、使用者はその申込みを承諾したものとみなされ、その行使の時点で無期労働契約が成立します。使用者は、有期契約労働者の申込みを承諾したものと「みなされる」ので、申込みの拒否や有期契約労働者の選別をすることはできません 。ここでは、解雇や͡雇止め、定年による労働契約の終了について説明します。

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労働契約法18条について

 労働契約法18条1項前段によれば、有期契約労働者は、①同一の使用者との間で2つ以上の有期労働契約を締結し、②その有期労働契約の通算期間が5年を超えることとなった場合、その契約の開始時点で無期転換権を取得します(たとえば、平成25年4月から1年ごとに契約を更新されている有期契約労働者は、平成30年4月に無期転換権を取得します。)。

 この無期転換権は、有期契約労働者の権利であり、その行使は、無期労働契約申込みの意思表示となります(労働者の意思表示が必要で、自動的に無期転換するわけではありません。)。

 そして、無期転換権が行使された場合、使用者はその申込みを承諾したものとみなされ、その行使の時点で無期労働契約が成立します。使用者は、有期契約労働者の申込みを承諾したものと「みなされる」ので、申込みの拒否や有期契約労働者の選別をすることはできません 。

解雇・雇止めによる労働契約の終了

 ここでは、無期転換のプロセスに応じて、解雇・雇止めによる労働契約の終了について説明します。

(1)無期転換権行使前

 この段階では、通常の有期労働契約の終了事由を検討することになります。すなわち、契約期間中の解雇には同法17条1項の適用があり、契約期間満了時の雇止めには同法19条の適用があります。

(2)無期転換権行使後、無期労働契約の就労開始前

ア 有期労働契約と無期労働契約の関係

 無期転換権の行使により無期労働契約が成立した時点では、従前の有期労働契約が継続中ですので、従前の有期労働契約と新たに成立した無期労働契約の関係を整理する必要があります。

 この点について、同法18条が、従前の有期労働契約が「満了する日の翌日から労務が提供される」「期間の定めのない労働契約」という定めをしていることから、無期転換権の行使により成立する契約は、従前の有期労働契約の期間満了日の翌日から就労が開始される、無期労働契約になります。

 ここでいう「就労が開始される」とは、いわゆる採用内定者との法律関係について、労働契約は成立しているが就労の始期が付されていると解されることと共通です。

 そのため、無期転換権行使後は、「その時点の有期労働契約」と「当該有期労働契約の期間満了日の翌日から就労が開始される、無期労働契約」という2つの労働契約が併存している状態になります。

イ 無期転換権行使後に労働契約を終了させるには

 無期転換権行使後に労働契約を終了させるには、この併存している2つの契約を終了させる必要があります。

 すなわち、無期転換権行使後、従前の有期労働契約の期間中に労働契約を終了させる場合、従前の有期労働契約を終了させるための解雇(同法17条1項)のほか、新たな無期労働契約を終了させるための解雇(同法16条)が必要です。

 後者は、成立しているが就労が開始される前の労働契約の解約という点で、採用内定取消しと類似の問題となります。なお、解雇については、解雇予告等に関する労働基準法20条の適用もあります。

(3)無期転換後の無期労働契約の就労開始後

 この段階は、無期契約労働者の解雇の場面ですので、労働契約法16条の解雇権濫用法理の枠組みで解雇の有効性を判断することになります。

 もっとも、無期転換した労働者は、正社員になるわけではなく、勤務地や職種が限定されているなど労働条件や求められる役割が正社員とは大きく異なることが一般的です。

 そのような場合、無期転換した労働者の解雇は、配転・出向といった解雇回避措置をとることが困難であることから、正社員の解雇よりも緩やかに有効性が判断されると解されます。
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