2019年5月28日

【働き方改革推進の一手】テレワーク導入の実務と課題

多様で柔軟な働き方の実現のため、時間や場所を有効に活用できる「テレワーク」の導入が広がっている。テレワーク導入にあたり、よく聞かれる懸念点の解消法や導入のポイントについて、社会保険労務士の本間照美氏に解説してもらった。

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本間照美 社会保険労務士(汐留社会保険労務士法人)

24時間働きづめから、多様で柔軟な働き方へ

 日本人の働き方は、高度経済成長を牽引してきた「24時間働く企業戦士」に代表される昭和の働き方から、安定志向の「さとり・ゆとり世代」に代表されるIT活用による効率的な働き方へと変化し、今、新しい時代のうねりに直面しています。今回、多様で柔軟な働き方を実現するためにご紹介するのが「テレワーク」です。

 最近よく耳にするテレワークとは、「情報通信技術(ICT)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のことをいいます。一言でテレワークといっても、企業に勤務しているか、していないかによって「雇用型」と「自営型」に分かれます。自営型は「在宅ワーク」といわれる業務委託などフリーランスでの働き方ですので、ここでは「雇用型」について説明します。

 雇用型の中にも「在宅勤務」、「モバイルワーク」、「サテライトオフィス勤務」の3つの区分があります。「在宅勤務」は、自宅を就業場所とする勤務形態です。育児や介護、病気や障害などのためにオフィスに出勤することが難しい従業員の就労や就労継続を可能にしますので、人材確保に効果的です。

 「モバイルワーク」は、移動中の交通機関やカフェなどを利用して仕事を行うものです。最近はコーヒーショップに入ると見かけることが多くなりました。オフィスに戻らずにメールチェックや資料を作成することができるため移動時間の有効活用ができ、長時間労働の削減や営業の効率化に効果的です。

 「サテライトオフィス勤務」は、オフィス以外の施設(会社が認める場所)などを就業場所として利用するものです。またテレワークの区分とは異なりますが、地方の実家や施設を利用して就業する「ふるさとテレワーク」も総務省の助成金を活用して、導入されはじめています。

効果の高いテレワーク、導入企業はわずか13.8%

 厚生労働省が実施したアンケート結果を見ると、テレワーク導入により最も効果があったことは人材確保・育成で、次いで業務プロセスの革新、事業運営コストの削減です。さらに将来的に期待される成果として、海外拠点の事業拡大、連携・コミュニケーションの強化、マーケ
ティング力の強化、新規事業の開発など事業運営面での期待が高まっていることがわかります。

 一方、従業員にとっても通勤時間・移動時間の削減、時間管理による業務の効率化、育児・介護離職の防止などワークライフバランスが充実したという効果があります。しかし、実際
にテレワークを導入している企業の割合は、2017年の調査結果によるとわずか13.8%です。うち、モバイルワークが56.4%、在宅勤務が29.8%、サテライトオフィス勤務が12.1%となっています。また、大企業はテレワークの導入に積極的で導入率も高くなっています。

 政府は2020年までにテレワーク導入率を34.5%までに高めるため、2020年東京オリンピック開会式に当たる7月24日を毎年テレワーク・デイと定めて、大規模な官民一体のプロジェクトを行っています。国はもちろん、東京都も2012年ロンドンオリンピック開催期間中の通勤・通学、移動時の交通混雑回避に効果があったため、来年のオリンピック開催に向けてテレワークの普及に力をいれています。

 テレワーク導入を支援するために、国や東京都の助成金などもありますので、導入をされる前に助成金が活用できるか検討されてみてはいかがでしょうか。
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