2017年7月6日

6割超の企業で人手不足、3年連続で不足感強まる

人手不足と感じている企業が6割を超えたことが日本商工会議所の調査で分かった。「宿泊・飲食業」、「運輸業」、「介護・看護」では7割を超えており、人手不足が深刻化している。

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 人員の過不足状況について、6割以上(60.6%)の企業が「不足している」と回答。昨年度調査よりも「不足している」と回答した割合が5ポイント上昇し、3年連続で人手不足感が強まっている。

 「過不足はない」は35.8%、「過剰である」は2.3%、無回答は1.3%だった。

 「不足している」と回答した割合を業種別にみると、宿泊・飲食業の不足感が昨年度調査同様最も高く、8割以上(83.8%)の企業が「不足している」と回答。次いで「運輸業」、「介護・看護」が7割以上(74.1%、70.0%)となった。他の業種においても昨年度調査を超える人手不足となっており、人手不足は深刻化している。

 一方、「介護・看護」は昨年度調査と比較し人手不足感が若干和らいだ。

 従業員規模別にみると、従業員101人以上の企業では「不足している」と回答した割合が7割を超える。一方、従業員5人以下の企業では「不足している」は46.5%にとどまり、「過不足はない」と回答した割合の方が高かった。

 長時間労働の改善にむけて時間外労働の上限規制が企業経営に与える影響は、「影響はない(現行のまま、特に何も対応しなくてもよい)」と回答した割合が約半数(49.5%)と最も多かった。

しかし、「影響が極めて大きい(事業継続が難しいレベル)」、「影響がある(課題はあるが対応可能)」と回答した割合の合計も約4割(43.0%)となり、2~3社に1社は影響があると推測される。

 従業員規模別に時間外労働の上限規制が与える影響をみると、10人以上の従業員規模では、規模に比例して影響がある割合が増え、51人以上の企業では「影響はない」よりも「影響がある」の方が高くなる。

 業種別にみると、「運輸業」、「宿泊・飲食業」、「建設業」で「影響がある」と回答した割合が4割を超えた。
 長時間労働の改善に向けて、国が取り組むべき、国に支援してほしいことは、「人手不足の解消」が最も多く52.3%。

 次いで「長時間労働を生みかねない民間の商慣習・取引条件の是正」(38.9%)、「長時間労働の是正に向けた取り組みに対する助成の拡大(IT化など)」(20.7%)となった。

 「労働法・制度の規制強化(勤務間インターバル規制の一律導入などの厳格な規制導入、罰則・監督指導の強化等)」は6.7%と少なく、長時間労働是正に向けて、一律に法規制等を導入することを希望する企業は少ない。

 同一労働同一賃金のガイドライン案については、「ガイドライン案について知らなかった(知っていたが、内容は未確認を含む)」が最も多く41.8%となった。次いで「今後どのような影響が出るか不安」(27.0%)、「分かりやすく実務の参考となった」(12.8%)が続いた。

 従業員規模別に見ると、従業員100人以下の企業では「ガイドライン案について知らない」と回答した割合が最も高いが、従業員101人以上の企業では、「今後どのような影響が出るか不安」と回答した割合が最も高くなった。

 調査は、2017年3月24日~4月28日、全国の中小企業4072社を対象に各地商工会議所職員による訪問で実施し、2776社の回答を得た。

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