2018年1月11日

2018年の人材需要と採用の課題 残業上限規制とAI・ロボ導入で変わる「働き方」

少子高齢化による労働力人口の減少で人材不足が慢性化する中で、企業は働き方改革による生産性向上を迫られている。2018年の日本の雇用情勢と企業の人材採用数の予測を、企業の人材採用を支援する主要人材コンサルティング会社50 社を対象にアンケート調査で聞いた。

 中途採用市場について、リクルートキャリアの佐藤学執行役員は「人材紹介サービス『リクルートエージェント』において、17年の求人数は過去最高を更新し、人材不足が顕著だった。経営幹部、次世代リーダー、スペシャリスト、メンバークラスの人材など、全てのクラスに対し採用ニーズがあり、業界でみても全方位的に採用意欲が高かった」と話しており、あらゆる業種・職種で人材を奪い合っている状況だ。
 中でも人材争奪戦が激化しているのは新たなテクノロジー領域で、「AI、ロボティクスなど新たなテクノロジーを実際のビジネスにつなげ、活かせるようなスキルを持つ人材へのニーズがますます高まり、企業の中でいわば『人材の入れ替え』ともいえる要請が高まる」(アクシアム渡邊光章社長)などの声が上がっている。
 また、グローバル人材の需要も引き続きひっ迫している。「事業のグローバル展開やコーポレートガバナンスを強化する企業の動きが顕著になっているため、それらをけん引する次世代リーダーのアセスメントや育成ならびに優秀な人材の確保といった取り組みがさらに広がるだろう」(日本コーン・フェリー・インターナショナル妹尾輝男社長)と指摘する声もあり、海外事業をはじめ新規事業を担うリーダー人材のニーズ拡大が予測されている。
 優れたスキルと経験を持つ人材には複数企業のオファーが集中し、従来の採用手法では人材を確保できない企業が続出するだろう。
 そのため、社内では外部労働市場を意識した処遇の見直しが必要だ。より早いキャリアアップの機会を与えることも候補者には魅力的な条件となる。人材会社の活用では、人材紹介の成功報酬フィーの見直し、リテインド・サーチの活用、採用キャンペーンの実施などが先進企業では当然のごとく実践されている。全社を挙げたダイレクト・ソーシングの推進など打ち手は多い。

働き方改革で多様な人材の活躍を推進

 18年は、有期契約労働者の無期転換、同一労働同一賃金や残業規制など、政府による働き方改革を後押しする動きが進んでいく。
 フジキャリアデザインの森英昭取締役は「人材派遣など無期雇用化の時機到来により、派遣労働者の契約社員化、タイムシフト、シェアワーク、ダブルワークなどの動きも加速し、働き方が多様化していく」と予測する。
 キーンバウム ジャパンの鈴木悦司社長は「外国人、女性、高齢者の受け入れを可能にするダイバーシティマネジメントの達成、主に女性の社会進出の障壁となっている残業時間の削減などが引き続き解決すべき課題となろう」と見る。多様な人材の活躍を推進していくためにテクノロジーを活用し、テレワークやモバイルワークなどの導入を検討する企業も増えるだろう。

採用力の強化に向けて

 18年も採用が難しい状況が続くが、レックスアドバイザーズの岡村康男社長は「採用チャネルの開拓」を企業の人材採用の課題に挙げる。テクノロジーを活用した新たな人材サービスが多数生まれ、求職者の活動が多様化していることが理由だ。従来の採用手法だけでは、自社の採用ターゲットと出会うことが難しくなっている。
 人事業務にテクノロジーを活用するHRテックの動きが進みつつあり、例えば、場所と時間という制約を越えて応募を受け付けるために、スマホに対応し、どの場所からでも面接ができるツールを活用する企業も出てきている。採用におけるAIの活用事例も増えてくるだろう。
 人材不足の中で採用計画を達成するためには、採用条件の見直しも必要だ。ロバート・ウォルターズ・ジャパンのデイビッド・スワン社長は「候補者のスキルセットと職務内容が完全には合致しない場合でも、トレーニングを介せば有用になるスキルを持つ人材を代わりに採用するなどの柔軟な姿勢を示すことが有効」と助言する。
 また、テクノプロ・キャリアの北川太社長は「欧米系企業の多くに見られる『Talent Acquisition』と言われる人材の育成、採用部門の『リクルーター』の育成・登用を進めるといった手法をはじめ、採用手法や情報の見直し、採用体制の改善などの改革を進める必要が高まっていくと思われる」と指摘する。
 採用を成功させるには、求める人材に応じた採用手法の使い分けが必要だ。そして採用プロセスのスピードアップも図らなければならない。このような手段を講じると同時に、採用担当者のスキルアップと全社で人材採用に取り組むような社内の協力関係を作り上げていくことが欠かせなくなっている。
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