2015年6月30日

専門的な知識や経験を持つ中高年の活躍の場を広げる パソナキャリアカンパニー 渡辺尚 プレジデント

人材採用と中高年の再雇用という企業の課題に向き合って人事をサポートするパソナキャリアカンパニー。そのプレジデントである渡辺尚氏に、日本企業が抱える人材確保の課題と良い人材を採用・定着させるための取り組みを聞いた。

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渡辺 尚 パソナキャリアカンパニー プレジデント

1989年テンポラリーセンター(現・パソナグループ)入社。1998年3月より、再就職支援事業・人材紹介事業を核とするパソナキャリア代表取締役に就任。2005年からは再就職支援業界ではトップレベルの実績を獲得。2010年3月にパソナとの合併により、社名変更。パソナ取締役副社長COO、パソナキャリアカンパニープレジデントに就任。パソナグループ取締役兼務。その他、日本CHO協会専務理事、エグゼクティブCHO協議会事務局長を務める。

日本の企業で人事が直面している課題を教えてください。

 日本企業の人事戦略の大きな課題の一つに、経営幹部となるような人材をどう育てていくか、があると思います。

 もう一つは会社の中でイノベーションがなかなか生まれてこないことです。経営幹部については社内の育成システムの問題ですが、イノベーションを生み出すためにはまず、適性を持つ人材を採用していくことが大事ではないでしょうか。
 例えば、次々に新規事業を生み出せるような人材がそろったベンチャー企業が、会社が成長して上場すると、いわゆる上場企業の安定性を求めるような応募者が集まってくるようになる。

 そういう人は、組織の中で言われたことをしっかりやるのは得意でも、リスクを背負って何かを生み出すことがあまり得意ではないタイプが多い。
 また採用側としても、現在の管理職と一緒に仕事がしやすいようなタイプを求めてしまい、個性的な人は落とされてしまいます。結果として、似たようなタイプばかりになってしまう。

 イノベーションを求めるなら、まず採用時点での多様性を考えなければいけません。現在の会社の方針からは少しはみ出すけれど何かやってくれるかもしれないという人材を、採用人数の2割くらいは採っておいた方がいいのではないでしょうか。
 二つ目は、挑戦しやすい環境を作ることです。何かするのにいくつも稟議を経なければ動かないというような内部統制にさらされていると、新しいことに挑戦しようというモチベーションが下がってしまいます。

 社内調整に無駄なエネルギーを使わなくても済むよう、社内手続きの簡素化とスピードアップを図らなければならないと思っています。
 三つ目は、会社の中に若干の遊びの部分を残しておくことです。例えばグーグルでは、就業時間の2割を好きな研究やプロジェクトに割くといったルールがあります。

 厳しい成果主義になって遊びの部分が減ってくると、新しい物が生まれる要素も減ってしまう。会社の余裕がイノベーションにつながっていくと考えています。

中高年の雇用も多くの企業で課題となっています。

 55歳で管理職定年を迎えたとして65歳まで働くと考えると、その期間は10年間になります。それだけの長い期間、後輩の管理職の下でプレイヤーとして実務をやってもらわなければなりません。

 最近では、そのような中高年社員のモチベーション維持のため、成果に関係なく固定給を支払うという形式より、MBO対象にして成果を要求する動きが出てきています。やはり頑張っている人には、その働きに対して報いないと不公平ですからね。
 一方で、後輩の下でプレイヤーとして現場の仕事を続けるよりも、しがらみの無い環境で自分の新たな可能性を追求したり、今までの経験や専門性を活かしたいという方も多くなってきています。

 また中小企業や地方企業では、人材不足感もあり、長年培ったマネジメント力やスペシャリストの知見・ノウハウを持つ方へ支援を求めるケースも増加しています。
 当社では、難易度の高い経営課題やスピーディーに問題解決を行う上で必要な、特定領域において専門的な知識・経験を持つプロフェッショナルな人材を“パソナ顧問ネットワーク”を通じて企業へ提供することにより、中高年の活躍の場を広げています。
 現在、当社では「地方創生」と絡めて、60〜65歳までの数年間、地方企業を伸ばすために、地方に移り住み働くということを提唱できないかと考えています。

 現在はさまざまな人材が圧倒的に大都市に集中していますが、例えば大都市で営業職としてキャリアを積んだ人が地方企業に行けば、新たな販路を広げる提案ができるかもしれない。そして地方企業が成長すれば、新たな雇用も生まれてきます。
 当社ではそのミッションを携えて一定期間その地域に行き仕事をすることを「Mターン」と名付け支援しています。完全に地方に移住するとなるとハードルが高くなりますが、期間限定であれば希望する人も出てくるのではないでしょうか。それが社会トレンドになれば、国の政策ともマッチングすると考えています。
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