2019年10月10日

メンタル不調社員の休職・復職の労働法実務

働き方改革関連法の成立により、いわゆる同一労働同一賃金の対応として制度変更等も重要ですが、現在の社内制度に基づく個別対応は日々生じるものです。休職から復職へ至る対応もその一つです。そこで、近時、裁判例等紛争が増加傾向にある精神疾患を原因とする傷病休職のケースを前提として、社内対応として注意すべきポイントを改めてまとめてみました。

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メンタルヘルス不調による休職、復職判断までの対応

 傷病休職制度とは、一般に、業務外の傷病(私傷病)による長期欠勤が一定期間に及んだときに行われ、休職期間の長さは、勤続年数や傷病の性質に応じて定められ、当該期間中に傷病が回復し就労可能となれば休職が終了して復職となる一方、回復せずに期間満了となれば、退職または解雇となるとされます。

 私傷病により一定期間就労できないことは、本来は労働契約における債務不履行であり、就業規則上の解雇事由(精神または身体の故障により業務の遂行に堪えられない等)に該当し得ることから、傷病休職制度の目的は、解雇猶予と解されます(菅野和夫「労働法」第11版補正版・697頁)。

 このような傷病休職制度を社内に設けるか否か、またどのような制度内容とするかについて、法令上の定めはありません。現在、多くの会社において、いわゆる正社員に対する傷病休職制度を設けていると思われますが、その制度内容は、会社によって実に様々です。

 とはいえ、傷病休職制度の内容(休職事由・休職期間・社内手続等)に相違があるとしても、上記の傷病休職制度の性質を有することは同じであり、かかる性質に照らして、注意すべきポイントも、共通する要素があるといえます。

 社内対応において注意すべきポイントとしては、休職発令の要否の判断、休職事由・休職期間の起算日の特定、休職中の休職者の状況把握、業務上傷病であるとの主張への対応、復職可能性の判断、復職後の配置等、多岐にわたります。

 本稿では、そのうち、いくつかの基本的事項について、①休職発令時、②休職期間中、③復職判断時、の各段階に分けて、確認してみます。
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