2017年10月23日

組織の成長と人材定着の鍵はコミュニケーションの活性化 東京海上日動システムズ 押井 英喜 人事部長

東京海上日動システムズは、東京海上日動火災保険グループのシステム開発・運用・保守を行う精鋭企業だ。2004年の合併後に疲弊した組織は、組織の立て直しを図るためにどのような取り組みをし、どのような人材を採用・育成し今に至るか。人事部門を統括する押井英喜氏に話を聞いた。

「7人制チームは合併による社内の混乱や仕事に対するモチベーションの低下への反省から生まれました」

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押井 英喜 人事部長

貴社はGPTW(Great Place To Work、「働きがいのある会社」 ランキング)に9年連続で選出されています。主にどのような取り組みを行ったのですか。

 当社が職場で最も大切にしているのが、チームで働くことです。

 2014年から、1つのチームがコミュニケーションを取るに最適な人数である7人で構成する「7人制チーム」を導入しています。1チームには必ずリーダーを1人置き、チーム内外の連携をスムーズに行えるよう工夫しています。実際、社員からは、前よりもコミュニケーションがとりやすく、チームの雰囲気が良くなったという声が聞かれます。
 チームを7人で構成することは、人材育成面においても効果的だと考えています。1人のリーダーが部下のことを考える場合、目が行き届く人数には限界があります。7人程度であれば、チームの中でどういう業務が進行しているのかをきちんと把握することができます。

 メンバーにとっても、誰が何をしているのかが見えやすくなり、トラブルがあった場合でも迅速に対応することが可能です。

コミュニケーションに力を入れているのはどのような理由からですか。

 当社がコミュニケーションやチームの改革に取り組んだ理由は、2004年の合併に起因します。当時、旧東京海上火災保険と旧日動火災海上保険が合併したことに伴い、それぞれの傘下にあるIT系の子会社3社が合併し、東京海上日動システムズとして、新たなスタートを切りました。

 合併に伴うシステム統合により膨大な作業が発生し、一時は約6割の社員が合併対応で繁忙度が高くなる状況となりました。そのような対応が数年間にわたって続いたことで組織が疲弊して社員の働き方にも影響が出始めました。
 顧客のニーズをうまく把握できないだけでなく、仕事に対するモチベーションは下がり指示待ち体質になるという状況に陥ってしまいました。

 当時、当社の風土についてアセスメントを実施したところ、「縦割り」「受け身でチャレンジ精神がない」「自発的な活動ができない」などの問題が顕在化し、想像以上に思わしくない結果が出ました。

どのように社内改革を実行したのですか。

 ワークスタイル改革をキーワードに、自発性、お客様起点での働き方、コミュニケーション、組織の縦割りといった問題を改善することを目的とした「ワークスタイル改革委員会」を2005年に立ち上げました。

 この委員会は、社員が自発的に立ち上げたもので、自主性やコミュニケーションを重んじる職場風土への改善を図るための第一歩となりました。

 コミュニケーションは当社のITエンジニアとして顧客の要望を汲み取り、ビジネスサイドの理解を深めるために最も必要とされる能力の1つです。その中で始めたのが社内SNS「wakuwakuSNS」です。
 組織や出身会社の枠を越えて日記やコミュニティ機能を自由に使い、組織の一体化や社員のやる気の醸成、コミュニケーションの活発化に大いに寄与しました。これらの取り組みが、2009年以降毎年GPTWにランクインするようになったきっかけでもあったのではないかと思います。

 これらの職場風土の改善に取り組んできたおかげで、現在では全社員での離職率は毎年2 ~ 3%と低く抑えられ、入社3年目までに退職する若手社員の離職率は、ここ4~ 5年は0%を達成するなど、効果が現れていると感じています。
社員が自発的に委員会を立ち上げ、職場風土改善を図る

社員が自発的に委員会を立ち上げ、職場風土改善を図る

生まれ変わった職場は、どのような人材を求めていますか。

 当社が考える新しい時代に即した人材像が3つあります。

 1つはよりビジネスサイドに踏み込んで、ITでビジネスを創造できる人材。2つ目はグローバル事業に対応し活躍できる人材。3つ目は新しい技術への感度が高く、それらに柔軟に対応できる人材です。

 世の中の変化は想像以上に激しく、従来では組んだことのない新しい会社や業界と協業を始めるなどさまざまな動きが出ています。自動運転やAI、IoTといった新しい潮流がある中で、今までとは違うビジネスモデルを模索しながら自らが動くことをしなければ、早晩立ち行かなくなるのではないかという危機感が増しています。

 これまで交流のなかった新しい業界や企業とコラボレーションをするために、新しい技術に対応してスピード感を持ってプロジェクトを進めていくというアジャイル型開発手法にも対応できる人材を育てる必要があります。
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