2014年10月10日

経営幹部の採用・選抜・育成の課題

伝統的な日本企業で、生え抜きではなく外部から企業トップを招くケースが出てきている。一方、社内で選抜した人材を次の経営幹部として育てるための取り組みを強化する企業も増えている。変革の時代にふさわしい経営幹部の採用・選抜・育成の課題は何か。企業の人材戦略を支援する専門家に聞いた。

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プロフェッショナルな外部経営者の登用が進む背景

 欧米企業と同様に日本の大手企業においても、生え抜きではなく外部から企業トップを招へいする人事が増えてきた。
 武田薬品工業がグラクソ・スミスクライン社のクリストフ・ウェバー氏を社長兼COOに、サントリーがローソン会長の新浪剛史氏を社長に、資生堂が日本コカ・コーラ社の魚谷雅彦氏を社長にそれぞれ迎えた。
それに先立つ2011年には日本GE会長の藤森義明氏がLIXIL社長に、09年にはジョンソン&ジョンソン日本法人社長の松本晃氏がカルビー会長兼CEOに就任して、プロの経営者として新しいイノベーションを牽引している。
 外国籍の社長を初めて迎え話題になった武田薬品工業の場合、03年には取締役9人のうち社外・外国籍取締役はゼロだったが、14年9月現在は取締役10人のうち社外取締役3人、外国籍2人、生え抜きは長谷川閑史代表取締役会長兼CEOを含め4人と急速に多様化が進んでいる。
 この背景には、事業のグローバル化やM&Aの活発化がある。日本市場での売上はいまだに大きいが、12年度の医療用医薬品の売上収益のうち日本市場は5913億円、欧州・新興国・北米の売上収益は6823億円と海外売上が上回っている。
 さらに、13年度は日本の売上収益は5823億円で前年比マイナス1.5%だったのに対し、海外売上収益は7606億円で10.3%の増加となり、売上と成長率で海外事業が国内マーケットを上回る状況になっている。
 日本市場の縮小と海外市場の拡大という経営環境にあって武田薬品工業は、14年6月に同業のグラクソ・スミスクライン社などで新興国を含む3大陸7カ国でのマネジメント経験を持つウェバー氏を経営者として迎え入れた。
 また、同社では外部のプロフェッショナルをアドバイザーにした「タケダ・グローバル・アドバイザリー・ボード」という仕組みも導入している。
 ファイザー、イーライリリー、アストラゼネカ、ハーバード大学などで要職を歴任した4人を招へいして、激しい医薬品業界の競争を勝ち抜くための課題や革新的な医療技術の動向などについて経営幹部と意見交換し、その知見を経営戦略に反映させている。
 事業のグローバル化によって必然的に多様化が進んできているのである。外部から経営幹部を求める動きは大手グローバル企業だけに限った話ではない。
 人材紹介会社クライス&カンパニーの丸山貴宏社長は、「事業承継のための次世代経営者として、外部からグローバル人材を経営幹部として採用する企業が増えている。企業規模は大手企業からベンチャー企業、地方の中堅企業も含め多種多様だ」と話す。
 そうした企業が採用したい経営幹部の条件について、人材紹介会社アンテロープキャリアコンサルティング小倉基弘代表は次のように説明する。
 「戦略の立案だけではなく実行能力が伴っていること、人心掌握に優れていることが挙げられる。こうした人材に共通しているのは、若い時期から業績責任のあるマネジメントの機会を得て、事業の立て直しや雇用調整などの厳しい局面を経験していることだ」
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