2013年10月10日

次世代経営リーダーの条件

リーマン・ショック以降の激変する経営環境を反映して経営人材の育成に対する関心が高まっている。一方で、新しいビジネスモデルを構築しようとする企業では、これまでの企業体質を刷新するために経営者を外部から招へいする企業も目立っている。変革の時代にふさわしい次世代経営リーダーの条件と課題は何か、経営人材の採用と育成を支援する人材コンサルティング各社に聞いた。

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企業を取り巻く課題、経営人材への期待高まる

 リーマン・ショック以降に進行したグローバル化や著しい技術革新によって企業を取り巻く経営環境は大きく変化した。
 企業の経営課題は、「既存事業の海外市場(新興国)での拡大」(61.6%)、「既存事業の国内市場での拡大」(59.5%)、「自前での事業展開のスピードアップ」(53.5%)、「企業体質の刷新」(53.1%)、「ビジネスモデルの革新」(51.2%)などで、海外や国内で事業を拡大するために組織やビジネスモデルを変革する必要に迫られている(リクルートマネジメントソリューションズ調べ)。
 このような課題を反映して、社内の人材を選抜して経営人材に育成しようと考える企業が増加しており、選抜人材教育への関心度は、リーマン・ショック直後の2009年に従業員3000人の企業で6割程度であったのに対し、2012年には8割強に上昇している(日本生産性本部調べ)。
 経団連の調査によれば、企業における経営人材には次のような課題がある。
 「経営人材の育成に求められるスピードが速まっている」(94.5%、「あてはまる」と「ややあてはまる」の合計)、「経営人材に求められる能力の質が変化している」(89.5%)、「経営人材育成の方法が確立されていない」(82.3%)と多くの企業がほぼ同様の問題意識を抱え、試行錯誤を繰り返しながら経営人材を育成している実態が浮かび上がる。
 さらに、「経営人材候補が不足している」(83.7%)、「経営人材候補の多様性がとぼしい」(82.3%)、「経営人材としてのロールモデルが不足している」(73.0%)、「経営人材の絶対数が不足している」(57.2%)
という回答もあり、経営環境の激変とともに経営人材の不足はより深刻さを増している。
 経営人材が社内で育成され難い状況について、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の古野庸一所長は、次のように指摘する。
 「2000年以降、経営人材を育成するために企業は様々な取り組みをしてきました。しかし“配置”と“昇進”という二つの壁に阻まれて、選抜プログラムが上手く機能していないケースが目立ちます」
 「選抜プログラムが終了したならば、それに見合った責任のあるポジションへ配置し、同時に昇進させなければならないはずですが、実際には以前と同じ部門で同じ仕事に戻っていくことが多いのです。選抜によって優秀な人材を引き抜かれてしまうことになる部門の納得が得られないことも一因です」
 また、選抜の基準や方法があいまいなために経営人材が育成されないケースもある。例えば、課長や部長への昇進を選抜と見なしている場合だ。
 だが、「課長」や「部長」という役職が経営人材にふさわしいのかというと、経営人材としての資質を見極めて任命しているわけではないので適切とはいえない。
 そのため、当初の目的とは大きく外れた玉石混交の選抜となってしまう。理由のない人事の“公平性”が社内の混乱を招いているのだ。
9月に発表された日本企業の主な海外関連M&A

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