2020年1月6日

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(各社回答5)

2020年の人材需要と採用の課題を、企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社の事業責任者を対象にアンケート調査で聞いた。【回答社名:リネアコンサルティング、エンワールド・ジャパン、パソナ、経営者JP、MS-Japan、プライマリー・アシスト】

回答(1)企業の人材需要

回答(2)企業の人材採用の課題

回答(3)人材業界の展望、自社の事業・サービス展開

 (26115)

リネアコンサルティング 大森崇 代表取締役社長

(1)昨年半ばから設備投資の抑制や景気後退に備えた早期退職を推進する企業などが増えており、各業界で先行きの不透明感は増している。今年前半は五輪景気で盛り上がるが、後半はその反動で経済が失速する可能性が高い。
 大手企業が早期退職を推奨するのは完全な終身雇用の崩壊を意味しており、今年はミドル層のマーケットへの流入が増えるとともにフリーランスなど柔軟性の高い働き方を選択する人が増える。一方で若手優秀層やIT人材はひっ迫した状況が続く。コンサルティング業界では2025年の崖に向けたDX推進、レガシーシステムの刷新案件、SDGsやESG投資に関連した案件がさらに増える。RPAでは自動化の限界も見えつつある中、人工知能による意思決定の自動化に向けてソリューションを深化させられるかどうかがを問われる年になる。

(2)企業における採用管理ツール(ATS)の導入が進み、データ×AIを活用した採用が引き続きトレンドとなる。採用現場ではダイレクト・リクルーティングが浸透するものの、応募者との接点を最大限に生かし、顧客体験を通じて自社の魅力を効果的に訴求できるかどうかが重要になる。人材戦略としては若手優秀層の採用とミドル層の放出という両面の舵取りが求められる。

(3)人材業界においてもAI活用やRPAの導入などが進む中、総合力で勝負する大手か、特定の専門性を有するベンチャーかの二極化が進む。また、企業によるダイレクト・リクルーティングがさらに増えると共にエージェントの絞り込みが加速する。案件の紹介やプロセスの代行自体の価値がなくなり、溢れる情報から自分に必要な情報を選択するサービスや必ずしも転職ありきではないキャリア支援が注目される。
 (26118)

エンワールド・ジャパン ヴィジェイ・ディオール 代表取締役社長

(1)日本の採用市場は人材不足が続き、今年も求人倍率は高止まりが続くことが予測される。しかしながら、五輪後から2021年のどこかの時点で景気が後退するだろうという一般的な見方があるため、一部のセクターではすでに減速を示しており、多くの企業では新規プロジェクト向けの投資の減少など、より保守的なアプローチを取り始める可能性がある。これは採用規模と労働市場の流動性に影響する見通しだ。

(2)市場は今年も継続して好調だが、競争はますます激化することが予想される。従来のHRサービス間の競争に加え、Webの進化やSNSを活用した候補者の獲得は、従来の採用モデルを大きく変える可能性がある。企業は、新しいプラットフォームの利用や、社内採用チームの強化、RPO(採用代行)など様々な採用モデルを有効活用して、採用コストを下げようとするだろう。

(3)人材紹介会社は引き続き、人材獲得と求職者への積極的な関わりに注力する必要がある。優秀な人材の争奪戦は続くため、高水準のカスタマーサービスと候補者のための効果的なコンサルテーションは維持しつつも、候補者とのやり取りの自動化が人材紹介会社にとって差別化の鍵となるだろう。労働基準法の法改正は、人材紹介会社、特に派遣/契約社員市場に深く関与している企業に、これまで以上にコンプライアンスに注力した事業運営をするための負担を与えることが予想される。
 (26121)

パソナ 岩下純子 常務執行役員

(1)IT関連の業種/職種は変わらず積極的な採用が続くと思う。社内にノウハウがないことから外部に頼る傾向もしばらく続くと想定し、コンサルティング業界のニーズも高いと考えている。製造業は昨年同様、少々慎重な採用が続くことを想定している。一方で、大手企業が採用を控える中では中小企業が良い人材を採用するチャンスになるとも思う。

(2)ボリュームゾーンに関しては、昨年同様、パイの奪い合いになることが予想される。その中で企業の強みや良さを伝えることの重要性がより増すと思う。希少性の高いポジションに関しては、転職マーケット自体にはいない可能性が高いので、潜在層へのアプローチが必須となってくる。

(3)顧客満足度を最重要指標とした事業展開には変わらない。HRテックやリファラル採用、ダイレクト・リクルーティングが台頭してくる中でも、人材紹介会社が介在する意義をしっかりと感じてもらえるサービス展開に努めていく。
 (26124)

経営者JP 井上和幸 代表取締役社長・CEO

(1)五輪イヤーだが、人材需要は総じては引き締まってくると思われる。米中経済戦争は続き(おそらく微妙なラインを保ちつつも厳しさは増す)、欧州経済の不透明感、それをリカバリーするほどのアジア経済の伸びは見えにくい。日本国内でも五輪経済に沸きつつ、不動産市況のピークアウト、レガシーな製造業関連の減衰などがどちらかといえば経済面への影響を強くする。構造不況の店舗・運送関連スタッフの人手不足と、AIなど高度技術職、事業変革をけん引するマネジメント職などが部分的に加熱状況となるだろう。

(2)AI、IoT関連などでの高度技術職、事業変革リーダー人材、新規事業開発創出人材、ダイナミックに経営をけん引できる経営人材など、突出した力を持つ人材探しでの争奪戦となるだろう。一方ではボリュームゾーンの中高年齢層、オペレーション業務を大量に抱えてきた大手金融やその他大手企業では、だぶついた人材の代謝マネジメントに奔走する姿が多くみられるようになると思う。

(3)パート・アルバイト領域は引き続きの過熱が予想されるが人材確保のTech化が進みレガシーなプレーヤーはかなり厳しくなると思われる。派遣や一般社員層の人材紹介はニーズが引き締まるので大手の体制緊縮、中小プレーヤーの淘汰が進みそう。
 マネジメント層はニーズ堅調かつ求める要件の高度化、個別化が加速するので、当社としてはノウハウを活かしたマッチングの展開と個人顧客・企業顧客とのコミュニケーションレベルの引き上げをビジネスモデルレベルも含めて実行する予定。また、「経営人材・幹部人材の適所適材で経営課題、事業課題を解決する」新たなソリューションのリリースも行う。
 (26127)

MS-Japan 井川優介 取締役事業統括本部長

(1)経営管理部門、士業の需要は引き続き増加する。米中貿易摩擦や日韓関係の悪化といった景気にマイナスの影響を与える火種はあるが、慢性的な人手不足は解消されていない。特に成長企業が多い首都圏および東海、関西では、組織の屋台骨となる管理部門でマンパワー不足が顕在化している。即戦力の30代・40代はもちろん、経験豊富な50代・60代といったシニア世代を募集対象にするのは一般的になってきている。さらには20代についても、一定の資格・知識があれば即戦力採用の検討対象にする動きもみられる。

(2)有効求人倍率は高い水準で留まっており、採用難易度は高い状況が続くだろう。昨今の転職希望者は、現職に残ることも含めじっくりと幅広い選択肢を吟味する傾向が見受けられる。そのため企業は採用計画を考慮して、対象の経歴、経験、年齢などを広げる必要に迫られている。また、採用するだけではなく、いかに定着を図るかが重要で、働きやすい環境の提供が求められている。

(3)旧来の人材サービスに加えて、ダイレクト・リクルーティングといった新しい人材サービスも登場している中で、より早く求職者と接点を持つこと、より多くの求職者情報を保有することが重要になってくる。また、多数あるサービス提供者の中で、求職者に選ばれるためには高品質を保ち続ける必要がある。当社はこの両方を実現するために、求職者・求人企業のニーズを把握して、常に改善に努めていく。
 (26130)

プライマリー・アシスト 石山知良 代表取締役社長

(1)五輪イヤーとなり関連する業種はもちろん、全体的に人材需要は増加する。技術職は特に不足が継続し、その他幅広い職種で需要は継続する。合理化が進む分野では採用を控える業種も出るが、2019年度も出生率が大幅に下がり少子化が加速することから、人手不足は継続・拡大の傾向にある。

(2)新卒は事実上就職解禁日がないに等しい状況が常態化し、既に通年採用のような実態になっている。中途はリファラル採用が広がっているが、一部の企業にとどまっている。これまで同様、媒体、エージェントが中心となるも、媒体は離職率が高い傾向がみられ売り手市場での採用課題は継続する。

(3)政府における健康経営の普及促進も5年目を迎える。また働き方改革、健康増進法改定、パワハラ防止法などにより、従業員の健康に配慮し、生産性、エンゲージメント向上に取り組む企業が増え、産業医配置の強化、保健師の新規配置が年々増加している。生産年齢人口の減少はますます加速し、健康経営は「検討」から、「取り組まなければならない」時代になったと言える。

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(1)

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(1)
回答社名:アクシアム、KMF PARTNERS、ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス、アンテロープキャリアコンサルティング、フジキャリアデザイン

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(2)

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(2)
回答社名:イーストウエストコンサルティング、ジェイ エイ シー リクルートメント、キャリアエピソード、島本パートナーズ、A・ヒューマン

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(3)

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(3)
回答社名:Apex、キーンバウム ジャパン、エリメントHRC、ロバート・ウォルターズ・ジャパン、パーソルキャリア

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(4)

主要人材コンサルティング会社アンケート「2020年 企業の人材需要と採用の課題」(4)
回答社名:リクルートキャリア、ヒューマンリソシア、みらいワークス、コンコードエグゼクティブグループ、レックスアドバイザーズ
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