2014年10月10日

西友 内山明香 採用グループマネジャー パート社員の正社員登用に注力、新卒は3分の1が海外経験者

世界第2位の小売チェーン・ウォルマートグループの一員である西友。パート社員から正社員への登用をはじめ、女性の活躍を促す施策に積極的に取り組み、採用にも好影響を及ぼしている。同社採用責任者の内山明香氏に、採用の状況やダイバーシティ推進の取り組みなどを聞いた。

 (7032)

内山明香 採用グループマネジャー

人材採用にはどのような方針で取り組んでいますか。

 当社は世界27カ国に1万店舗以上を展開し、約43兆円を売り上げるウォルマートグループの一員です。ウォルマートグループは「すべての人を尊重する」「お客様のために尽くす」「常に最高を目指す」「倫理観をもって行動する」という「4つの信条」を大切にしています。
 採用、育成、評価、昇進・昇格、配属などすべての人事施策は、この信条に基づいて行われています。そのキーワードは“Diversity&Inclusion”、つまり「多様性を尊重し、受け容れる」ということです。
 採用においては、広く門戸を開放し、多彩な属性の中からポテンシャルの高い人材の確保に努めています。「4つの信条」からなるウォルマートのカルチャーにフィットしていることが最重要です。そして、グローバルな環境の中で活躍できる人材であることが求められます。
 例えば、商品の買い付けをグローバルに行っていますので、商品部のバイヤーは出張ベースで、あるいは海外拠点に駐在してこうした業務を行っています。
 また、逆に海外から日本に人材を受け入れるといったことも活発です。海外拠点とのテレビ会議も頻繁で、レポートラインとなる上司が外国人であったり、かなり国際的な職場の雰囲気があります。

“Diversity&Inclusion”の特徴的な内容を教えてください。

 ウォルマート日本法人のウォルマート・ジャパンには、16カ国の国籍の社員が在籍しています。
 西友としての最もシンボリックな取り組みには、パート社員の正社員登用制度が挙げられるでしょう。2004年に導入し、06年から登用が開始されて以降、今年4月までに336人がパートから正社員に登用されました。
 また、女性上級管理職と各ファンクションからのボランティアで構成される「女性リーダーカウンシル」という組織をつくり、統括役である議長には女性執行役員が就任しています。アソシエイト(従業員)とのコミュニケーションや経営陣への提言を通じて、ダイバーシティ活動を推進しています。
 女性役員の活躍はアソシエイトのロールモデルにもなっています。
 ちなみに、ウォルマートグループで働く従業員は、パートからトップまで等しく「アソシエイト」と呼んでいます。この言葉もダイバーシティの象徴ではないかと思います。

具体的な採用の進め方についてですが、新卒採用はどのように行っていますか。

 新卒採用の母集団形成は就職情報サイトを利用しています。また、海外の大学への留学生を対象とする合同説明会なども活用しています。
 そして、エントリーシートによる選考、リーダーシップやパーソナリティを測るアセスメントテスト、2回の面接というプロセスを経て採用を決定します。面接では、過去の行動をヒアリングする中で当社が求める資質を判断する「コンピテンシー面接」を行っています。
 採用数は事業の状況により変動はありますが、コンスタントに30人前後を採用しています。
 そのうち3分の1は留学などで海外生活を経験した日本人学生、日本の大学に留学している外国人学生が占めています。外国人は全体の1割程度ですが、いずれも日本語でのコミュニケーションができる学生です。採用数が30人程度ですので、応募者数に対して厳選採用ができています。
 2016年卒からの採用活動の後ろ倒しというスケジュールに対しては、当社は外資系ではありますが、経団連のメンバーとして就職協定を順守する立場にあります。大学訪問などのさまざまな機会を通じて、早い時期から当社を知ってもらう活動にはさらに力を入れたいと考えています。

次に、中途採用について教えてください。

 (7033)

 中途採用は、事業部門のニーズに応じて適宜行っています。戦略的に強化を図っている事業の要員や欠員補充などです。ですから、採用数も一定ではありません。
 今、ニーズが大きいのは、昨年6月にグランドオープンとなったオンラインショップ事業の「SEIYUドットコム」部門です。エンジニアをはじめ、Eコマースビジネスに精通した即戦力を採用しています。
 募集方法としては、人材紹介会社の利用がメインですが、今後は当社が直接募集して選考を行うダイレクトリクルーティングにも取り組んで行きたいと検討しています。

ダイレクトリクルーティングに取り組む理由とは?

 候補者と直接やりとりすることで、選考スケジュールの短縮化とコスト削減を図りながらも、より高いレベルの人材を採用していくことを目指すということです。そのためにも、広報部門とも密接にかかわり合いながら、人事領域のメッセージを重点的に発信し始めています。
 例えば、先ほど触れたパート社員の正社員登用制度で、13年にはこれまでの最多となる71人が登用されたといった広報などです。かつてビジネスの第一線で活躍していた女性が結婚・出産で退職し、子育てが終わってまた働こうと考えた際、「せっかくならステップアップの道が開けている西友にしよう」と選んでもらいたいと思っています。
 さらに、こうしたメッセージを積極的に外部に出していくことを「がんばれば自分もマネジャーになれる」というような社員のモチベーションを高めることにもつながると考えています。

採用の体制はどうなっているのでしょうか。人材育成についても特徴的な施策を教えてください。

 企画業務は私を含め統括セクションの数人のメンバーで行っていますが、大学訪問や応募者対応などの実務は全国を24地区に分けて、各地区の専任スタッフが担っています。
 人材育成ですが、新卒は入社後、全員が店舗配属となります。そこでメンターや教育担当の先輩社員からアドバイスを受けつつ、OJTで小売業の基本を学びます。
 店舗勤務の期間は決まっていませんが、店舗での仕事を通じて、本人の能力や適性、志向などを見定めつつキャリアデザインを考え、次のステップに配置していくといった流れです。
 また、コア人材を育成するプログラムとして、「ILDP(International Leadership Development Program)」があります。米国のウォルマート店舗のマネジメントとして赴任し、実際に勤務しつつウォルマートのカルチャーをより深く理解し、あるべきマネジメントを学ぶというものです。
 私も国内店舗の店長やマーケティング業務を担当した後、ILDPを経験しましたが、コーチングの考え方や従業員を尊重するカルチャーにダイレクトに接し、改めてウォルマートの人材育成に感銘しました。
 そうした経験から、私自身も、人材に関わる業務への異動を希望したという経緯があります。一人一人のアソシエイトを尊重するというウォルマートの考え方を、私自身がメンターとなって説明することができることをとても誇りに思っています。

合同会社西友

代表者:最高経営責任者スティーブ・デイカス
設立:1963年4月
資本金:1億円
従業員数:1万7916人(臨時雇用者1万3783人含む)
事業内容:食料品、衣料品、住居用品などの小売チェーンの運営
本社:東京都北区赤羽2-1-1
店舗数:373店舗
TEL:03-3598-7000(代表)
URL:http://www.seiyu.co.jp/

◆人事・マネジメント・キャリア関連書籍プレゼント キャンペーン中!

◆人事・マネジメント・キャリア関連書籍プレゼント キャンペーン中!
日本人材ニュースの無料会員にご登録いただくと、多くの企業で法律顧問として活躍中の安西法律事務所の弁護士陣による「雇用管理の法律相談」などの会員限定記事をご覧いただけます。人事・マネジメント・キャリア関連書籍プレゼント キャンペーン中!
39 件

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

日本人材ニュース|人材採用と人材育成の人事専門誌

関連する記事

ブランディング強化とリテンション施策で、働きがいのある会社へ ソフトブレーン 吉田圭 人財開発室 課長

ブランディング強化とリテンション施策で、働きがいのある会社へ ソフトブレーン 吉田圭 人財開発室 課長

独自の営業支援システム製品を開発・提供しているソフトブレーンは、2017年、管理部から機能分化して新たに人財開発室を立ち上げた。これにより採用と教育を担い、人材力の強化を図る体制を整えた。そこで、人材育成の方向や採用戦略、今後の課題について、人財開発室課長の吉田圭氏に話を聞いた。
約4割の人がダイバーシティ推進を“大切”と認識、20代女性は5割超 ランスタッド

約4割の人がダイバーシティ推進を“大切”と認識、20代女性は5割超 ランスタッド

 ダイバーシティの推進を大切と捉える人は約4割にのぼっており、特に20代女性にとっては企業を選ぶ際の基準にもなっているということが、総合人材サービスのランスタッド(東京・千代田、猿谷哲社長)が実施した「企業のダイバーシティ(人材の多様性)の推進に関する調査」 で分かった。
組織の成長と人材定着の鍵はコミュニケーションの活性化 東京海上日動システムズ 押井 英喜 人事部長

組織の成長と人材定着の鍵はコミュニケーションの活性化 東京海上日動システムズ 押井 英喜 人事部長

東京海上日動システムズは、東京海上日動火災保険グループのシステム開発・運用・保守を行う精鋭企業だ。2004年の合併後に疲弊した組織は、組織の立て直しを図るためにどのような取り組みをし、どのような人材を採用・育成し今に至るか。人事部門を統括する押井英喜氏に話を聞いた。
“働き方改革”の取り組みを通じて企業の魅力を高める サトーホールディングス 江上 茂樹 執行役員 最高人財責任者

“働き方改革”の取り組みを通じて企業の魅力を高める サトーホールディングス 江上 茂樹 執行役員 最高人財責任者

ハードウェア製品の開発、製造、販売を行うサトーホールディングスは、“健康経営”や“働き方改革”への取り組みを通じて働きやすい会社づくりだけでなく、生産性向上を目指している。人事部門を統括する江上茂樹氏に、人事施策の取り組み状況などを聞いた。

この記事のキーワード

この記事のライター

編集部(インタビュー担当) 編集部(インタビュー担当)

サイト会員限定記事

セミナー・イベント

プレスリリース