2011年7月14日

新成長を目指す人材戦略~ミドルマネジメントを活性化させる人事施策

人件費削減の効果と新興国経済の堅調さで2010年を乗り切った企業にとって、2011年は本格的に新成長を目指す年となる。しかし、その中核となるミドルマネジメント層のリーダーシップやマネジメント力には多くの企業が課題を抱えているようだ。新成長を目指す人材戦略として、ミドルマネジメント層の活性化に取り組む企業の現状を取材した。

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ミドルマネージャーの質が企業の競争力に直結

 経済のグローバル化の一層の進展による国際競争の激化など経営環境が大きく変化する中で、人材マネジメントの重要性が増している。グローバル人材の育成はもとより、組織の要としての活躍が期待されるミドルマネジメント層の活性化が強く求められている。
 しかし、現状はといえば、多くの解決すべき課題が残されている。
 日本経団連が発表した「経営環境の変化にともなう企業と従業員のあり方」(10年5月18日)報告書によると、30代後半から40代半ばのミドルマネージャーの問題点として、①専門性は高いがコミュニケーション能力が不足している、②業務管理、人材管理、モチベーション管理ができていない、③部下への指導力が不足している、の3つを挙げ、いずれもマネジメント力の低下を指摘している。
 また、経営者を対象にした調査(日本経団連「人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」09年)でも同様の結果が示されている。「管理職に一番不足していると感じる能力は何か」の質問に対する回答で最も多かったのは「厳しい競争環境下において、主体的に考え、行動することができる実行力、リーダーシップ」(46.0%)だった。
 続いて「自社の経営戦略や方針をかみ砕いて部下に伝えたり、部下の要望・意見に耳を傾け上司に進言したりするなどの発進力、組織調整力」(32.9%)である。
 能力開発や人材育成上の課題で最も多かったのは「管理職の部下に対する指導力不足、意識不足」(73.0%)だった。経営トップも管理職の能力不足を深刻にとらえていることが分かる。
 先の経団連の報告書でも「ミドルマネージャーの質が企業の競争力に直結するといっても過言ではなく、ミドルマネージャーのマネジメント力や部下指導力の強化は、経営レベルの重要課題といえる」と指摘している。
 管理職の活性化にはさまざまアプローチがある。リーダーシップ能力などマネジメント力の向上を図るために従来の階層別研修の強化と実践を重視した取り組みを実施している企業もある。
 部下の指導力強化については、傾聴スキルなどのコーチングの実施や管理職の人事評価制度の評価項目に部下指導を盛り込み、評価ウエイトを高めることで意識の向上を促す企業も少なくない。
 また、近年は責任や業務範囲が大きくなることから管理職になることを敬遠する傾向もある。一方、ライン管理職のポスト不足により、管理職になれないミドル層も含めたモチベーションの向上策も求められている。

リーダーシップ強化プログラムを開始

 ミドルマネージャー層の活性化に取り組んでいる事例を紹介しよう。キリンビールは04年以降、3次にわたる継続的なリーダー強化プログラムを実施している。
 第1次研修では、部下を持つ1200人のリーダーを対象に“傾聴”から始まり、コミュニケーション能力を高める訓練を1回2日間の研修として組み立て、3ステップにわたって継続的に実施。
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溝上憲文 溝上憲文

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