2007年2月10日

産業再生機構 冨山和彦COO 日本企業には経営者を育成する修羅場が足りない

自力再建できなくなった企業をよみがえらせてきた産業再生機構。企業再生が第一の目的だが、今後の日本企業を支える経営者を育成するという役割も果たしている。日本企業が抱える課題と必要とされる経営者について、同機構をCOO(業務執行最高責任者)として率いる冨山氏に聞いた。

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冨山和彦 産業再生機構 代表取締役専務・COO

【プロフィル】
1984年司法試験合格、1985年東京大学法学部卒業後、1985年株式会社ボストンコンサルティンググループ入社。1986年株式会社コーポレイトディレクション設立に携わり、幅広い産業分野にわたり戦略立案やその実行支援に関わる。1992年スタンフォード大学経営学修士及び公共経営課程修了。2001年同社代表取締役社長就任。旧日本リースなど大規模な破綻企業の再生からアキヤマ印刷機械といった中堅メーカーの再生支援まで、事業再生にも多くの経験を有している。2003年4月に株式会社産業再生機構代表取締役専務兼業務執行最高責任者(COO)に就任。現在、産業と金融の一体再生を目指す産業再生機構において、事業再生のプロフェッショナル集団を束ねている。2006年4月郵政民営化委員会委員に就任。

“ 経営者”の人材基盤を創っていく必要がある

産業再生機構の目標の一つには人材の育成が掲げられていますが、どのような人材養成を目的としているのでしょうか。

 これには二つのレベルの話があります。一つは事業再生にかかわるプロフェッショナルな人材を育成するということです。産業再生機構がスタートした4年前の日本ではそうした人材基盤は、今よりはるかに脆弱でしたし、どういう能力が必要かということも曖昧模糊としていました。
 企業再生というのは、それまでどちらかというと弁護士の専門分野になっていて、次第に広がってきてはいましたが、せいぜい弁護士プラス金融関係や会計士というところでした。
 企業再生では、出口となる事業を再生しなければなりません。人の病気を治すときに外科、内科、麻酔医であろうが、治すのは“ 医者” です。この医者という言葉を企業再生に置き換えるならば、企業を治すのは経営者なのです。
 弁護士、会計士、投資銀行出身者も、再生する会社の事業の価値を上げていくという同じ目的で仕事を進めていますので、機構内では特にセクションで分けるようなことはしていません。企業再生に携わるということは、まさに経営だからです。

企業再生の現場は、皆の思いや利害がむき出しの修羅場

 これまでの日本では、パーツ、パーツのプロはいましたが、全体をオーケストレーションするプロはいませんでした。企業再生は本来、オーケストレーションです。1人ではできません。
 事業再生や企業再生は特殊なことをやっているのかというと、それはまさに経営をやっているわけで、一番難しい経営における応用問題を解いているのです。
 企業再生のプロセスを現場で経験することは、経営者をつくっていく上で非常に有効です。再建のプロになるかどうかは別として、再建のプロセスを通して、何年か本当に苦労するということは、機構で再生にかかわった人材が一般の経営者として大成していく上で、ものすごく有効な鍛錬の場だと思っています。
 企業再生の現場では、皆の思いや利害がむき出しになって、ぶつかり合っています。その中で自分もひどい目に遭い、人を傷つけ、傷つけられ、そういう修羅場をくぐることで、例えばMBAやロー・スクールで教えているような知識が、厳しい実践の中で肉体化してくるのです。
 長期的に見れば、経営者として活躍するベースがここでできるわけですから、将来きっと、日本の経済にプラスになってきます。
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