2010年4月1日

「ゆとり教育世代」の導入研修事情  マナーの欠落や問題解決力の低下が教育担当者の悩みの種に

近年、新入社員の導入研修を大幅に拡充する動きが広がっている。いうまでもなく、ゆとり教育世代への対応である。従来なら、ある程度の成績優秀者は社会に出ても周囲と協調し、チームワークを保ちながら仕事ができる能力を身につけていたものだ。しかし、最近は成績が優秀であっても社会人としてのマナーの欠落や問題解決力の低下が教育担当者の悩みの種になっている。

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マナー教育に時間を割く企業が増加

 通常の研修ではマナー教育が徹底できないとして、4月の2週間の導入研修に、自衛隊の習志野駐屯地での研修を3日間組み込んでいる企業もある。中には、韓国の陸軍での研修を実施している企業もあるという。ところが、あまりにも厳しすぎる訓練のために脱落して辞めていく新人も出ているそうだ。
 そこまでではないにしても、マナー教育に時間を割く企業が増えている。たとえば大手電機メーカーでは、これまで2週間だった導入研修期間を1カ月に拡大した。
 その理由は「協調性に加えて考える力やコミュニケーション力の低下、また理解力はあっても自ら解決しないなどの傾向も見られる。社会人としての基礎力を研修で徹底的に身につけさせるのが最大の目的」(教育担当者)と説明する。
 具体的には職業倫理、マナー、思いやり、しつけなどの教育を行うほか、社会人基礎力を身につけるためにシンキング、アクション、チームワークの3つのプログラムを学習する。
 研修参加者はグループ新入社員を含めて約1000人。初日のオリエンテーションの後、8つのグループに区分し、さらに30人程度の3~4クラスに分けて学習する。
 しかし、研修中に今の若者特有の現象も見られた。とくに目についたのは忘れ物や落し物が多いことだ。「貴重品を落とした場合は取りに来るが、ペンや消しゴムを掲げて誰のものと聞いても誰も手を挙げない。自分が落としたことはたぶん分かっていても取りに来ない」(教育担当者)
 研修では、時にはクラスの担任講師から叱られながらマナーやルールを徹底的に学習する。研修の最後には「社会人としての自覚も芽生えるなどはっきりとした違いが表れる。やり遂げたことに涙を流して感動する人も多い」(教育担当者)という。

内定期間中の教育と連携して早期育成

 学生に人気の高い外資系消費財メーカーでも数年前からビジネスマナー教育に力を入れている。内容は、言葉遣い、挨拶、名刺の受け渡しといった一般的な教育以外に、他人に配慮する心配り、チームワークの醸成も重視している。ここまでやるきっかけは、新人配属先の現場から、マナーができていないとの意見が寄せられたからである。
 入社後の集合研修は約3週間かけて実施される。初日に各カンパニーの社長の話やオリエンテーリングを実施。2日目以降から前述したビジネスマナーなどの研修の狙いに即した教育を行う。
 「他人に対する心配りなどマナーが弱いままで入ってくる新人が増えている。決して悪気はないのだが、相手に配慮することに思いが至らない。研修では、たとえば先輩と一緒に会議をした場合、ホワイトボードを消すのはあなたですよ、といった具体的な事例を多数挙げて教育している。教えれば次の瞬間には行動するようになるし、これまで学ぶ機会がなかったということだと思う」(教育担当者)
 また、同社は早期育成の観点から入社前から研修を始めている。最初は内定後の11月に全員を集めた1日研修を実施している。論理的思考力などビジネスの基本を学習するほか、4月に実施される研修の内容や各自の課題の設定を行う。その後、事前に渡された教材やe-ラーニングによるマナーや英語をはじめとする各種教育の予習を行うことになっている。
 「マナーに関しては4月に具体的な研修をするが、敬語の使い方などの基礎的知識は事前に予習をしておくように伝えている。他の課題についても翌年の3月までに学習しておくべき宿題を課している」(教育担当者)
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