2014年10月10日

インターンシップで早期に学生囲い込み 新卒採用最新事情

2016年新卒から採用スケジュールが後ろ倒しとなり、採用選考活動期間が短期化される。景気回復を受けて新卒採用の改善が顕著となる中、早期に学生を囲い込みたい企業ではインターンシップが実質的な採用活動の開始となっている。

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 近年、新卒の採用活動の多様化が進んでいる。その背景には、就活サイトによる大量の母集団形成と短時間面接によるスクリーニングという従来のやり方では学生の獲得に加えて、マッチングも難しくなってきている事情がある。ワンクリックで数十社まとめてエントリーできる「一括エントリー」システムも登場している。
 IT企業の人事部長は「あまりにも簡単にエントリーできる仕組みは便利であり、学生・企業も楽ですが、本当はどこに就職したいのかを突き詰めて考える選択の思考を狭めてしまっている。その結果、企業と学生がお互いにじっくり観察する姿勢が希薄になってきているという弊害を生んでいる」と指摘する。
 就活サイトは必要としながらも膨大なエントリーシートを読み込み、少ない面接時間で採否を決める今の仕組みを誰も良いとは考えていない。入社試験で受験料を徴収したことで話題になったドワンゴのやり方もその一つだ。受験料を徴収してでも入社意欲をみたいというのは採用担当者の本音だろう。
 少子化にもかかわらず大学数の増加とともに大卒者は増え続けている。企業側の選別能力が昔以上に求められている中で「一定時期での学生の一括採用と就活サイトに頼るという旧態依然のやり方は通用しなくなるだろう」という指摘もある。
 そうした中でいかに自社の事業内容や特徴を知ってもらい、学生とのマッチングの機会を増やそうという取り組みも始まっている。

インターンシップへつなぐ合同企業説明会を企画

 今年の1月19日。品川駅近くの企業の会議室でIT企業6社の合同企業説明会が開催された。タイトルは「リア就!? IT業界を目指すあなたへ」。副題は「リアルな就業体験を通じて仕事を見極める採用直結マッチング選考」。集まった学生は33人だった。
 最初に6社の人事担当者が自社の事業内容と職種や仕事の内容の違いについて話し合うパネルディスカッションが行われた。続いて学生が個別企業のブースで事業の特徴の説明を受けた後、学生が希望する企業のインターンシップ先を順位付けした用紙を投票するドラフト選考が始まった。
 企業は受入枠を設定し、希望者が多い場合は抽選で選び、漏れた学生は第2志望の企業のインターンシップを受けられるという仕組みだ。
 イベントを企画したのは各社の人事担当者だ。開催の狙いについて、その一人であるHDE(東京・渋谷、小椋一宏社長)の高橋実人事部長は「学生と採用企業のマッチングレベルが極めて低くなっているという問題意識があった。ネットには画一化された就活サイトの情報がまん延し、学生は本当にやりたい仕事が見つけられない。
 一方、企業も大学名などのデータや元気が良くて伸びしろのある人といったステレオタイプの基準でマッチングしている状況だ。どんな仕事をしたいのか頭で考えるのではなく、実際に体験してもらうことでマッチングできないかというのが今回の合同インターンシップの趣旨。複数企業を比較することで自分にマッチした企業であるのか、リアルに体験してもらおうと考えた」と語る。

説明会参加者の3割が内定を受諾

 インターンシップの日程やカリキュラムは各社独自で企画。約2カ月の間に終了し、その結果を学生にフィードバックし、内定を出すかどうかを判断する。
 同企画に参加したテックファーム(東京・新宿、千原信悟社長)のインターンシップは5日間。総合職と技術職の2つのコースに分かれ、技術職はクライアントからの疑問に対するレポートの作成や企画提案のプレゼン資料を作成し、最終日に発表するもの。
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