2019年3月8日

外国人労働者の受け入れは、人手不足に一石を投じることができるか

改正出入国管理法が成立し新たな在留資格「特定技能」が設けられ、今年4月から外国人労働者の受け入れが拡大される。特に介護や建設業界等では人材不足を打開する解決策となるのだろうか、現状を踏まえ考察する。(文・溝上憲文編集委員)

改正出入国管理法により人手不足に一策

「4月からの外国人労働者の受け入れに向けて取り組んでいるという話はよく聞くが、まだ国の政策が見えていない部分があり、具体的な受け入れ策をどうするのか検討中という企業が多い」

 こう語るのは外国人の人材派遣と職業紹介事業を展開するフルキャストグローバルの首都圏営業部グローバル人材課の佐藤啓和課長だ。改正出入国管理法が成立し、新たな在留資格「特定技能」が設けられ、今年4月から外国人労働者の受け入れが拡大される。これまで「専門的・技術的分野」の高度人材しか受け入れてこなかったが、深刻な人手不足に対応するために単純労働者にも門戸を開くことになる。

新たな在留資格「特定技能」は2つ

 新たな在留資格「特定技能」は、通算5年間滞在できる「特定技能1号」と在留資格が更新できる専門技術的な労働者の「特定技能2号」の2つ。単純労働者に近いとされる1号の対象者は農業、介護、建設など人手不足が深刻な14業種。政府は2019年度から5年間の累計で最大34万5000人の受け入れを見込む。政府はこのうち現行の「技能実習生」からの移行を45%と見込んでいる。

 政府は法改正に伴う政省令の骨子案を公表しているが、「特定技能1号」の受け入れについては詳細に定まっていない部分も多い。1号の資格要件は「従事しようとする業務に必要な相当程度の知識または経験を必要とする技能を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること」、そして「基本的な日本語能力があること」とされている。

受け入れにかかるコスト面が未だ不明瞭

 しかし、技能の内容は受け入れ業種ごとに異なるが、どの程度の技能が求められるのかも現時点では明らかになっていない。日本語能力も一般的な試験をクリアする以外に業種ごとの日本語能力試験も今後作成される。また企業などの外国人労働者の受け入れ機関(特定技能所属機関)以外に、労働者を支援する「登録支援機関」があるが、どこまでのサポートが義務づけられるのか明確になっていない。

 また、受け入れ事業者にとってコストがどのくらい必要になるかは未知数だ。政府の基本方針では、すべての業種の受け入れ機関(特定技能所属機関)または登録支援機関は、①外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人の理解できる言語で行う)、②保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施、③生活のための日本語習得の支援――など9項目の支援が義務づけられている。

 前述した登録支援機関の役割が不明確なまま、コストも含めて事業者がこうした支援策をどこまで実施できるのか見通せない状況にある。

 介護職員1万人以上を擁する大手介護施設運営会社は現在受け入れの準備を進めている。同社の担当部長はどれだけのコストがかかるのか見えていないと言う。

「今後の人手不足を想定し、外国人の手を借りたいという思いがある。技能実習生に関しては人件費以外に入国前費用が30~40万円、監理団体の監理費が毎月5~6万円かかる。また技能実習後1年で日本語能力試験のN3をパスさせないといけませんし、専属のトレーナーを配置するなど育成のコストと手間もかかる。それに対して特定技能は直接受け入れることで監理費はかからないかもしれないが、入国前のガイダンスなど要件のハードルが高いので技能実習生よりコストが高くなる可能性もある」
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