2016年1月10日

2016年 人事が注目すべき4テーマ 人口減少時代の到来で働き方改革が本格化

人口減少時代に入り、従来型の企業経営の仕組みが通用しなくなっている。ビジネスのグローバル化や高度化が加速し、より有効な人材活用のあり方が問われる中で、2016年は社員の働き方改革が各社でさらに本格化していく可能性があり、企業人事には難しいテーマが山積している。

 (719)

グローバル化で年功要素を廃した 「職務・役割給」導入

 2014年から15年にかけて日立製作所、パナソニック、ソニーといった大手企業が年功要素を廃した「職務・役割等級」に賃金制度を一本化する動きが相次いだ。
 パナソニックは14年10月から、「主事」「参事」などの資格に基づく職能資格等級を軸とした制度を廃止して、担当する役割の大きさに応じて処遇を決定する役割等級制度を全社員に導入。同様に日立製作所も14年10月から、国内管理職1万1000人を対象に「役割等級制度」を導入している。
 ソニーは2015年度から新制度を導入し、「現在果たしている役割」のみに着目した「ジョブグレード制度」によって年功要素を完全に排除した。新制度の対象者はソニー本体に勤める約1万4千人の全社員だ。
 いずれの企業もビジネスのグローバル化に対応した人材マネジメント構築の一環と、65歳雇用時代を見据えた人事・賃金制度改革という点で共通している。
 グローバル共通の賃金・評価制度と若手の登用を促す人事のフレキシビリティを確保するには「役割給一本化」による運用しかないと腹を括っている部分もある。
 電機メーカーに限らず食品会社のカゴメも2年前から年功的要素を排除した職務等級制度を導入している。初年度は社長、取締役、執行役員の全役員、14年から部長職、15年4月から課長職と対象者を徐々に拡げてきた。
 制度のメリットとして、役割・ポストが決まる職務等級に転換することによってグローバルな人材活用が可能になることを挙げている。
 すでに米国、オーストラリア、ポルトガルではポストごとにジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を作成して運用を実施している。

事業のグローバル化や少子高齢化に対応できる人事制度が求められている

ここ5年間の労働条件変更の有無

ここ5年間の労働条件変更の有無

(出所)労働政策研究・研修機構「労働条件の設定・変更と人事処遇に関する実態調査」
 大手事務機販売会社の人事担当役員は「日本のマーケットだけで勝負することが難しくなり、海外市場に目を向けた動きは避けられない。
 そうなると日本の職能給は残念ながら世界では通用しない。海外でも理解しているもらえる人事体系として職務給制度を導入する企業が増えるだろう」と指摘する。
 海外企業としのぎを削る日本企業にとって固定費の増加や若手の抜擢が難しい年功色の強い人事制度が大きな足枷になっている面も否めない。従来の日本独自の職能資格制度から職務・役割等級に一本化する動きは加速していくだろう。
105 件

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

日本人材ニュース|人材採用と人材育成の人事専門誌

関連する記事

労働時間管理の労使の最新動向 改正労基法4月施行への対応 割増賃金率50%のみが多数、代替休暇制度は非現実的

労働時間管理の労使の最新動向 改正労基法4月施行への対応 割増賃金率50%のみが多数、代替休暇制度は非現実的

改正労基法が4月1日に施行された。法的義務である1カ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率50%以外は対応しない企業も多いようだ。 不況で残業時間は大きく減少しているが、さらなる労務費の削減やワークライフバランスの観点からも業務の効率化に取り組む企業が増えている。 自社の現状や課題を踏まえた実務対応が求められる中、今回の改正に対する労使の対応を取材した。
【著者が語る】経営改革は“人事”からはじめなさい

【著者が語る】経営改革は“人事”からはじめなさい

おの事務所 小野耕司 代表取締役コンサルタント
アルバイト・パート平均時給が再び1000円超、首都圏は1041円 リクルート調べ

アルバイト・パート平均時給が再び1000円超、首都圏は1041円 リクルート調べ

 リクルートジョブズ(東京・中央、柳川昌紀社長)の調査によると、2月度のアルバイト・パートの募集時平均時給が再び1000円を超えたことが分かった。
外国人実習を受け入れ239機関で不正行為、3割は賃金不払い

外国人実習を受け入れ239機関で不正行為、3割は賃金不払い

 2016年に外国人の研修・技能実習の適正な実施を妨げる不正行為を行った受け入れ機関が239機関あったことが、法務省の発表で分かった。
6割以上の経営者が景気拡大を予測、ベアを実施しない方針が4割

6割以上の経営者が景気拡大を予測、ベアを実施しない方針が4割

 約6割の経営者が17年度前半(4~9月)の景気は緩やかに拡大していくと予測していることが、経済同友会が四半期ごとに実施している景気定点観測アンケート調査で分かった。

この記事のキーワード

この記事のライター

溝上憲文 溝上憲文

セミナー・イベント

プレスリリース