2018年1月12日

2018年 働き方改革 人事担当者が押さえるべき注目ポイント

2018年は働き方改革がいよいよ本格的に始動する。その中でも4月から始まる無期転換ルールには早急に対応しなければならない。また、同一労働同一賃金、時間外労働の上限規制についても同様だ。様々な対応が迫られる中、人事担当者が押さえるべき注目ポイントを解説する。(文・溝上憲文編集委員)

時間外労働の上限規制で労働時間把握を徹底

 働き方改革関連法案のもう1つのポイントは労働基準法改正による「罰則付き時間外労働の上限規制」の導入だ。労基法では使用者は1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないと定めている。だが労使協定(36協定)を結べば、大臣告示(限度基準告示)において1週間15時間、1カ月45時間、1年間360時間の限度内で働かせることができる。

 さらに特別延長時間に関する「特別条項付36協定」によって労使がともに「臨時的状態」「特別な事情がある」と認めれば、1年間に6回(6カ月)について限度時間を超えて働かせることができる。

 新たな改正労働基準法案要綱では上限規制として月45時間かつ年間360時間(1年単位の変形労働時間は上限を原則として月42時間かつ年320時間)とする。さらに一時的な業務量の増加がやむをえない場合は、以下の上限規制案が示されている。
1 年間720時間以内(月平均60時間)
2 2カ月ないし6カ月平均は80時間以内(休日労働を含む)
3 単月は100時間未満(休日労働を含む)
4 月45時間、年360時間を上回る特例の適用は半年分(年6回)を上限とする。

 現行の36協定で結ぶ時間外労働の基準である「大臣告示」を含めて上記の基準を労基法に明記し、強制力を持たせることになる。つまり、この基準を従業員の1人でも超えたら確実に送検される絶対的上限規制になる。

 また、80時間と100時間には休日労働を含むとされているが、月45時間、年360時間には休日労働は含まれない。だがこの休日は法定休日(週1日)のことであり、所定内休日(週2日)と誤解して働かせて限度時間を超えることがないように注意してほしい。
 すでに長時間労働の是正に向けた取り組みを実施している企業も多い。社員・管理職の意識改革をはじめ、「残業の事前申請」、「年次有給休暇取得の促進」、また「ノー残業デー」や「定時退社」、「変形労働時間制」、「短時間勤務制度」の導入などに取り組んでいる企業も少なくない。その結果、近年のサラリーマンの残業時間は減っている。

 しかし、全社員がこれだけで法的上限規制をクリアする保障はない。日経リサーチの調査では23.9%の企業が法的上限規制について「特に影響はない」と回答しているが、「繁忙期に対応できない」(62.2%)、「顧客の要望に対応できない」(43.2%)と回答している。

 法的リスクを回避するためには、これまで以上に従業員の労働時間把握の徹底が求められるだろう。
残業時間削減に向けて、様々な施策が考えられる

残業時間削減に向けて、様々な施策が考えられる

●残業時間削減のための各社の取り組み状況

(出所)厚生労働省「時間外労働削減の好事例集」

法制度改革を企業の成長チャンスと捉える

 最後に一連の法制度改革を後ろ向きに捉えるのではなく、今後の企業の成長を促す人事・人材戦略の一環として取り組むべきだろう。無期転換や同一労働同一賃金の実現も法的にクリアすればよいというのではなく、中・長期的な人手不足を踏まえた人材の確保と定着、さらには意欲を持って働き、企業の成長を支えて戦力化につなげるような人事・賃金制度の改革も必要である。

 また、長時間労働の是正にしても形式的な残業規制だけでは“隠れ残業”が横行することにもなりかねない。生産性向上の観点から職場や社員一人ひとりの業務の見直しによる効率化、ITやAIの活用などを推進することが重要になる。
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