2016年7月26日

人事の転職最新事情 戦略人事を目指してキャリアアップ

多様な人材が活躍できる組織づくり、採用力の強化、グローバル人材の育成、社員の働き方改革などが推進できる人事職の不足が多くの企業で課題となっている。人事 職の転職事情はどうなっているのか。転職経験者に転職のプロセスや転職先で失敗しないための心構えなどを取材した。(文・溝上憲文編集委員)

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 人事担当者の求人ニーズが増えているという。取材先の人事担当者に聞くと転職エージェントを通じて複数の会社からオファーがあったという話をよく聞く。
 求人企業が欲しい人材で最も多い要件は、役職が主任から課長クラス。年齢的には30歳前後から35歳ぐらい。職務は採用担当者だと言う。大手企業の人事担当者は人事の転職事情についてこう語る。
 「ITベンチャー系など中堅企業のオファーが多いですね。採用担当者でもダイレクトリクルーティングができる人が欲しいそうです。アメリカではフェイスブックなどSNSを使ったダイレクトリクルーティングが主流ですが、日本のIT・ベンチャーは採用のための予算が少ないこともあって、その人の人脈やネットワークを使って採用できる人のニーズが非常に多いと聞いています」
 40歳以上の部長クラスの求人もないわけではない。だが、どちらかといえば外資系企業が最も多いと語るのは製薬企業の人事部長だ。
 「大手の日本企業から誘いはほとんどありませんでした。同業の外資系製薬から現在の年収の300~ 500万円アップで誘われたことがあります。日本企業では創業社長がいるオーナー系企業から誘われたこともありますが、その場合は、人事部経由というよりも経営トップ自身から会社の風土を変えたいので手伝ってほしいというものです。でも どこまで本気で会社を変える気があるのか分からなかったので見送りました」

人事職の採用が難しくなっている

人事職の転職求人倍率の推移

人事職の転職求人倍率の推移

(出所)リクルートキャリア「転職求人倍率」

経営トップの風土改革に向けた率直な気持ちに触れて転職を決断

 では実際に人事担当者はどのようなプロセスで転職しているのか、最 近、転職した2人の例を紹介したい。1人は46歳のIT企業の人事部長・経営企画部長を歴任したA氏。転職先は従業員3000人を超える消費財系のオーナー企業だ。転職のきっかけについてこう語る。
 「人事畑を長年務めて、経営企画に異動しました。最初は人事の経験を活かし、ビジネスに近い組織開発など様々な仕事をしたいと思っていました。ところが持株会社の経営企画でしたが、実際は事業会社の企画部が予算を含めて立案する権限を持っており、持株会社の経営企画は事業会社の計画をまとめて取締役会に報告するのがメインです。これではとても自分の経験ややりたいこと を活かすことができないと思って転職を決意しました」
 転職先選びについては以前からエージェントを通じて数社からの誘いを受けていたが、今の会社に決めた理由は「経営トップに会い、どのように会社を変えたいのか、私に何をしてほしいのかじっくり話し合った。人事だけではなく、経営企画も含めて会社の風土改革などやり遂げてほしいという率直な気持ちに触れた」からだと言う。
 その他にも大手のIT企業や流通業からも誘いはあったが、経営トップとの意思疎通、風土改革など会社の体質の変革など自分がやりたいことと一致したことを優先したという。

施策を直接提案できる経営トップや人事リーダーの下で仕事がしたい

 もう1人は大手外資系医療機器会社の人事企画マネジャーを10年間務め、日系の大手ヘルスケア会社に転職したB氏(41歳)。転職の動機は「会社の人事施策の方針の策定からビジネスパートナーとしての戦略人事をやってみたい」と思ったからだ。
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