2018年11月14日

就活ルール廃止で、どうなる日本の就活?

経団連が発表した「採用選考に関する指針」の廃止。企業だけでなく学生にもどのような影響があるのか解説していく。(文・溝上憲文編集委員)

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2021年入社までは現行ルール、以降未定

 10月9日、経団連は会長・副会長会議で新卒学生の採用活動の日程を定めた「採用選考に関する指針」を廃止すると発表した。

 中西宏明会長はその理由について「経団連は会員企業の意見を集約して世に訴えていくのが主な活動だ。ルールをつくって徹底させることは経団連の役割ではない」と述べている(記者会見)。

 これを受けて政府は10月29日、関係省庁連絡会議を開き、現在の大学2年生が対象となる2021年春入社の就活ルールを決定。大学3年の3月に説明会、4年の6月に面接を解禁する現行ルールを維持し、22年春入社組以降は19年度以降に改めて決める予定だ。

 19年3月頃に政府主導で外資系企業やIT企業に広く要請していくことにしているが、罰則規定はなく、従来の経団連の規制よりも拘束力が弱まる可能性がある。

ルールを逸脱する企業が多いのが現状

 経団連が現行の「指針」を設けたのは2013年7月。安倍晋三首相の要請で採用活動の早期化是正と大学の学事日程重視の観点から2016年卒の学生は広報活動解禁を3月、選考解禁を8月にしたのを契機に従来の「倫理憲章」から指針に変えた。以降、2017卒学生から広報解禁が3月、選考解禁を6月1日に変更し、2020年卒まで続けてきた。

 しかし、現行指針の3月広報解禁、6月選考解禁になってもルールを逸脱する企業も少なくないのが実態だ。

 従来から外資系企業や一部のIT企業は大学3年生の10~12月に選考を開始している。また経団連加盟企業でも2016年卒から本格的に始まったインターンシップと選考を直結した採用を行っているところもある。インターンシップを通じた選考を経て選考解禁の6月1日が「内々定式」になっている実状もある。

 もちろん経団連加盟企業でも会長・副会長企業でルールを忠実に順守しているところもあるが、報道では副会長の一人が「ルールを守ったところがバカを見ている」という声も紹介されている。

ルール廃止で採用に不平等が生じる

 しかし、形骸化しているといっても選考指針廃止によって採用活動を自由化すれば“採用弱者”にしわ寄せがいく。

 就職支援コンサルティング会社モザイクワークの髙橋実取締役COOは「新卒一括採用の目的は、どんな学生もどんな企業もスタートラインを一緒にして就活・採用の不平等をなくすことにある。ルールを外すと、競争相手(競合企業)が見えないなかで戦わなくてはならない、また就活の“山”が見えないので、ずっと採用活動を続けなければならなくなる。とくに採用力のない中小・零細企業は雇用確保が難しくなる」と指摘する。
 
 また、製薬会社の人事担当役員も「プロ野球のドラフトにも一斉選考で人気球団に有力選手が極端に集中することを防ぐ公正競争の仕組みがある。採用選考でフライングする企業があっても、一定のルールがあることで、受ける側の公平性と選考側の効率性がある程度維持されている。ルールをなくし、公正競争が失われると資力・体力のある超大手企業や人気企業に人材が集まってしまいかねない」と危惧する。
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