2009年3月31日

再就職支援の現状 事業の統廃合で30代の利用者が増加

 企業業績の悪化により、各社は雇用調整を進めている。正社員の希望・早期退職者を募集する企業から再就職支援(アウトプレースメント)会社への依頼も増加しているが、知識の乏しいまま制度運用することは、社員・企業の双方にとって不幸な結果を招く懸念がある。再就職支援の現状を取材した。

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製造業の雇用調整が加速

 世界的不況の影響を受け、派遣社員に限らず正社員の雇用調整に乗り出す企業も相次いでいる。
 希望退職募集などの雇用調整に当たっては、退職割増金と並んで再就職支援会社と提携した再就職支援プログラムをオプションとして提供するのが主流である。それに伴い、昨年末から再就職支援会社への依頼も増加している。
 再就職支援ビジネスが日本で本格的に普及したのは97年以降。国内市場規模はITバブル崩壊後の02年に約350億円に達した(矢野経済研究所)。その後は景気回復により縮小し、05~06年は170億円前後で推移していた。しかし、昨年後半から今年にかけて企業の依頼件数が急速に増加。09年の国内市場の200 億円突破は確実と見られている。
 依頼企業の業種も多岐にわたる。メイテックグループの日本ドレーク・ビーム・モリン(日本DBM)では昨年下期の相談件数は前年比30%増、今年に入り約50%増で推移している。
 08年初頭以降は建設・不動産業の依頼が増えたが「初夏以降は外資系金融機関を中心に引き合いが相次ぎ、昨年末からはメーカーの相談件数が増えている」(米田洋日本DBM社長)状況だ。

サービス利用が急増、30代も対象に

 さらに今年に入っても「外資系を中心とするIT企業、半導体、金融、不動産企業が圧倒的に増えた。更に関連の日本企業を含む大手製造業の依頼が増えるだろう」(伊井伸夫パソナキャリア常務執行役員)と見込む。
 実際に大手町にあるパソナキャリアのフロアに足を運ぶと、大勢の利用者でほぼ満席に近い状態である。
 「昨年であれば大体7割ぐらいの席が埋まっていたが、今は8割、時には9割の席が埋まっている。企業と契約する前に当社を選ぶかどうかを決めるために事前に相談に訪れるプレカウンセリング相談者も増えているという事情もある」(伊井常務執行役員)。
 同社の08年の年間利用者数は約9000人であるが、現在では1万人強にまで増加する見込みという。
 もう一つの変化は利用者の若年化傾向である。パソナキャリアでは過去の45歳以上の利用者は全体の7割、44歳以下が3割を占めていたが、現在では44歳以下の層が4割を占めているという。
 同様に日本DBMでも「もともとは40代、50代が中心だったが、07年と08年を比較すると30代の比率が明らかに高くなっている」(米田社長)という。
 さらに最近の特徴として金融機関を中心に20代も増加傾向にあるほか女性の比率も高くなっている。その背景には、日本企業は希望退職募集の対象を45歳以上とするのに対し、外資系企業は35歳以上が多いこと、また、部門の閉鎖や工場・研究所の撤退など事業の統廃合による雇用調整が増加しているという事情がある。
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溝上憲文 溝上憲文

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