2014年6月30日

深刻な「人手不足」 限定正社員化の動き

小売・飲食業界を中心にパート・アルバイトなどの非正規社員の人手不足が深刻化している。人手不足が広がる中で、少子化による若年世代の減少という構造的問題に対応していくために、人事・雇用戦略の見直しに着手する企業の動きが始まっている。

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アルバイト時給の上昇続く

 パート・アルバイトの時給の上昇が続いている。人材サービス大手インテリジェンスが発表した4月の全国平均時給は989円。8カ月連続で前年比プラスとなった。
 エリア別では関東エリアが1045円と最も高く、関西が981円、東海が969円。職種別では「フード系」が28カ月連続、「サービス系」も10カ月連続で上昇し、時給が高止まり状態となっている。
 人手不足が広がる中で人事・雇用戦略の見直しに着手する動きも始まっている。時給の引き上げやボーナスの支給など待遇改善に取り組むほか、本部にアルバイト採用専属チームを設けるなど、人材確保が経営課題の最優先事項になりつつある。
 だが、短期的には確保できても中・長期的には少子化による若年世代の減少という構造的問題に加えて、共働き世帯の増加で主婦パートの獲得も難しくなることも予想される。
 そうした中で一つの潮流となっているのがパート・アルバイトなど非正規社員の正社員化の動きだ。約800人の契約社員全員を正社員に登用するスターバックスコーヒージャパン(スターバックス)のCEOは「1000店舗を超え、今後も成長を続けるためには人材を育てることが必須」と語る。
 人事担当役員も「厳しい局面でも契約社員を調整弁としては扱わない。ならば契約社員という立場で契約することに意味がないと判断した」とメディアで語っている。
 また、約1万6000人のパート・アルバイトを正社員に登用するファーストリテイリング(ファーストリ)の柳井正会長兼社長も「少子高齢化により人材が枯渇していく。時給1000円で人が集まる時代は終わりを告げた」と記者会見で語るなど、正社員化の狙いが優秀な人材の確保と長期間働ける環境づくりにあることを示唆している。

スターバックスとユニクロは地域限定正社員を導入

 だが、いくら人材の確保と定着が目的でも正社員にすると人件費アップは避けられない。スターバックスでも数億円程度の人件費増につながるという。
 そこで従業員のニーズも踏まえつつ、コストの軽減にもつながる雇用形態として複数の企業が導入しているのが、転居を伴う転勤がない勤務地限定の「地域限定正社員」だ。
 同社の従業員の区分は期間の定めのない正社員以外に1年更新の有期雇用契約の準社員とアルバイト(6カ月の有期契約)のほか、地域限定正社員がいた。
 準社員とアルバイトの区分はあくまで労働時間による社会保険加入要件の基準(週30~40時間は準社員、週30時間未満はアルバイト)によるもので処遇は全く同一である。
 07年の地域限定社員導入当初は2年間で5000人の登用を目指したが、現在は約1400人。身分は無期契約で、処遇は日給・月給制(職位により月給)となり、賞与も支給される。
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