2016年12月22日

上場企業の不適切会計の開示が5年連続で増加

 上場企業で「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示する企業が増えている。1~10月に不適切会計を開示した企業が48社に上り、5年連続で増加していることが、東京商工リサーチの「不適切な会計・経理の開示企業」調査で分かった。

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 1~10月に不適切会計を開示した企業は48社(49件)で、前年同期の43社(44件)を5社(5件)上回っている。

 調査を開始した2008年以降では社数、件数ともに最多を更新し、2012年から5年連続で増加している。このまま推移すると年間最多を記録した2015年の52社(53件)を上回る可能性が出てきた。

 増加の背景について東京商工リサーチは、「監査体制の強化だけでなく、目標に向けた従業員への過度なノルマや実現可能性の低い経営計画の策定が不適切会計に走っている側面も否めない。さらに、適正会計に対するコンプライアンス意識の欠如もあり、不適切会計の開示企業は高止まりしている」と分析している。

 不適切会計の動機は、「売上の過大計上」や「費用の繰り延べ」、「不明瞭な外部取引」など業績や営業ノルマの達成を目的とした「粉飾」が21件(42.8%)で最多。

 次いで、経理や会計処理のミスなどの「誤り」が19件(38.7%)、会社資金の「着服横領」が9件(18.3%)と続く。

 子会社・関係会社が当事者のケースでは、「売上の過大計上」、「売上原価の先送り」など親会社に向けた予算達成を偽装した粉飾事例も見られる。

 また、子会社・関係会社の役員による「会社資金の私的流用」、「架空出張費による着服」、子会社の従業員による「水増し請求による着服横領」など、個人の不祥事による事例もあった。

 発生当事者別では、開示当事者である「会社」が23社(47.9%)、23件(46.9%)で、前年11社(12件)から倍増した。

 内容をみると、会計処理が細かくチェックされ処理手続きの誤りを指摘されたケース、引当金処理の誤り、売上高や仕入高の認識の違いから修正するケースがあった。

 「子会社・関係会社」は19社(39.5%)、20件(40.8%)で、前年の24社から5社減少した。

 「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると42社(43件)で、社数では全体の87.5%、件数では87.7%を占めた。

 市場別に見ると、2013年までは業歴が短く、財務基盤が比較的弱いマザーズやジャスダックなど新興市場の企業が目立っていた。2014年を境に状況は変わり、2015年と2016年は国内外に子会社や関連会社を多く展開する東証1部が多くを占め、2016年は23社(47.9%)と約半数を占めた。

 業種別では、製造業が14社(29.1%)、15件(30.6%)で最も多かった。次いで、運輸・情報通信業の8社(16.6%)、8件(16.3%)、卸売業7社(14.5%)、7件(14.2%)、小売業の6社(12.5%)、6件(12.2%)と続く。

 製造業では国内外の子会社・関連会社の製造・販売管理が不十分だったことに起因するものが多く、子会社・関連会社にも細かく原価や経費のチェックが入ったことを示している。

 運輸・情報通信業では、会計処理の認識不足による費用計上の誤りが目立った。

 調査は、自社開示、金融庁、東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。

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