2016年6月29日

値上げの背景にはこんな理由があった!

1981年の誕生以来、子供から大人まで多くの人に愛されているアイスキャンディー「ガリガリ君」。発売時は50円でしたが、1991年に60円に値上げ。そして2016年4月1日、25年ぷりの値上げで70円となりました。その原因はどこにあったのでしょうか。

値上げはガリガリ君だけではない

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ガリガリ君を販売しているのは、埼玉県深谷市に本社を置く赤城乳業です。代表的な商品としてガリガリ君がよく知られていますが、ほかにもさまざまな氷菓の製造販売を行っています。

なかでも昔から多くの人に愛されているのが、カップかき氷の「赤城しぐれ」。BLACK、チョコミント、クッキーバニラの3つの味がそろったチョコアイスバーシリーズも、根強いファンがついています。

今回値上げとなったのは、ガリガリ君だけではありません。

ガリガリ君と同じく60円で販売されていたチョコアイスバーも70円に。パフェタイプのカップアイス「パフェデザート」は、300円から330円に。合計11商品が、10~30円の値上げとなっています。

1本あたり10円の値上げとなったガリガリ君の値上げ率は16.7%。たかだか10円とはいえ、大幅な値上げといえます。

値上げを決断した理由

今回の値上げについて、赤城乳業では「世界的な食品需要の変化」「物流費の高位安定」「原材料やスティックなど包装資材の価格高騰」「人手不足による人件費高騰」という4つの理由を挙げています。

社内ではすでに7、8年前から値上げを検討していたそうです。企業努力によって価格を据え置きしていたものの、2015年にはついに、いくら販売しても利益が出ないほど限界に来ていたとか。

しかし、消費者は値上げに敏感です。値上げをした結果、消費者離れを起こして、逆に売り上げが減ってしまうということもあります。

そのため赤城乳業では、値上げを1年間見送った上の苦渋の決断で、今回の値上げに踏み切ったと発表しています。

低価格商品ほどコストを無視できない

値上げの原因とされる4つの理由を、もう少し詳しく見てみましょう。

原料費や包装資材の高騰は、アベノミクスによる円安の影響が大きいところです。円安になれば当然、輸入に頼っている原材料は高騰します。

人件費について赤城乳業では、「工場のある埼玉県本庄市周辺で人口減が進むとともに、近隣に他社工場が増えたため」としてます。人手不足ななかで人員を確保するためには、雇用条件を引き上げざるを得ません。

物流費の値上がりも、かなり大きいところでしょう。氷菓には、輸送にかかかる燃料費に加えて、低温を保つための燃料費もかかってしまいます。その輸送にかかるコストは、300円のアイスクリームでも、60円のアイスキャンディーでも変わりません。そのため、ガリガリ君のような低価格商品ほど、全コストのうち物流費が占める割合いが大きくなります。

値上げに対する消費者の反応は?

赤城乳業では、値上げに対する消費者の反発から、前年比で6%程度売り上げが落ちるとみていました。

ところがガリガリ君については、値上げに踏み切った2016年4月の販売本数が、前年比10%増と予想を裏切る好調に。この結果には、赤城乳業も驚いたようです。

値上げに対する反発を抑えるために、赤城乳業では公式サイトやニュースリリースなどを通じて現状を正直に発表。テレビや雑誌の取材にも、すべて対応してきたといいます。

さらに話題を呼んだのが、4月1日、2日限定でTV放送された「ガリガリ君値上げ篇CM」。井上秀樹会長を中心に、スーツや作業着の社員約100人がずらりと並び、最後には全員で最敬礼をするという60秒CMです。

お詫びという真摯な企業態度と面白さが上手くマッチングしたCMは、SNSやネット動画サイトなどで瞬く間に拡散され、大きな広告効果を上げました。

企業イメージとブランド力の効果

値上げというネガティブなニュースを逆手にとって、売り上げを伸ばしたガリガリ君。こういった好意的な評価はガリガリ君という商品のブランド力や、赤城乳業がもつ企業イメージがあってのことでしょう。

1991年に50円から60円に値上げした時も、「値上げを1年間見送った上の苦渋の決断」として、パッケージにも描かれているガリガリ君のキャラクターが謝罪する広告を展開しました。

たかだか10円の値上げにもかかわらず、ここまで大々的に謝罪広告を行うのは、ともすれば真摯を通り越して消費者を馬鹿にしていると受け取られかねません。事実、インターネットでは「お金をかけてCMを作るくらいなら、値上げしないでほしい」という声もありました。

値上げの背後に、長年正直な商売を行ってきた、遊び心を持つユニークな会社という企業イメージがあってこそ、今回の戦略が成功したといえます。

これからアイス商戦の本番となる夏に突入しますが、値上げという高いハードルをクリアした赤城乳業は、順調に売り上げを伸ばすのではないでしょうか。
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