2017年2月24日

【顔認証システム】導入のメリット・デメリットとは?

最近、入場チケットの代わりに顔認証システムを導入する施設やイベントが出てきました。最新の技術によって、99%以上の精度を誇るという顔認証システムとは、いったいどんなものなのでしょうか。

顔認証では、顔のどの部分を認識している?

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2016年現在、世界最高の精度といわれている顔認証システムは、NECの「Neo Face」です。国内メーカーとしてはいち早く1990年に研究を始め、精度だけでなく認証速度の向上にも取り組んできました。

その結果、アメリカ国立標準技術研究所のベンチマークテストで、第1位の評価を獲得しています。

「NeoFace」は、まず画像の中から目と思われる部分を抽出。その位置情報を元にして、顔全体を検出します。

次に、目や鼻や口といったパーツの位置から顔の大きさを補正し、さまざまな顔の情報を解析。そのデータを元に、データベースと照合します。照合速度はなんと、1秒間で100万枚。ほぼ瞬時に照合できるといっても、過言ではありません。

照合のポイントとなるのは、目、鼻、口といった顔のパーツの形です。例えば小鼻の形は、化粧や年齢でもそれほど変化することはありません。そういった個人の特徴の出やすい部分を、2次元と3次元の双方から、顔全体で解析しています。

そのため、メガネやひげなどで顔の一部が隠れていても、99.7%という精度での照合が可能です。

顔認証システムのメリット

人間の体のパーツで本人を特定する生体認証システムには、指紋認証、声紋認証、目の網膜の毛細血管パターンで識別する網膜認証、虹彩の濃淡値で識別する虹彩認証、手や指の静脈パターンで識別する認証など、さまさまなものがあります。

その中で顔認証システムは、メガネやひげ、表情、加齢といった要素で認識率が下がってしまうため、あまり実用には向いていないと考えられてきました。

しかし顔認証システムには、ほかの生体認証システムにはないメリットがあります。

指紋や静脈、網膜や虹彩を読み取るためには特別な装置が必要になりますが、顔は市販のカメラでも十分に認識できます。そのため、特別な読み取り装置を設置する必要がありません。読み取り装置に手を入れるといった特別な動作も必要ないため、両手がふさがっている状態でも認証できます。

また、顔は人間の目で見ても違いがわかりやすい部位です。認証履歴を顔画像として保存しておけば、不正認証のチェックなどもしやすくなります。

顔認証システムの活用例

技術の進歩によって精度が向上した顔認証システムは、すでにさまざまな場面で活用されています。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、年間パスポートの利用客に顔認証システムを導入しました。初回利用時に顔を登録しておくと、2回目からは年間パスポートをリーダーにかざして、認証用モニターに顔を向けるだけで入場できます。

デパートやショッピングモールでは、利用客が気づかないうちに顔認証が行われていることもあります。個人を特定するほどの精度ではありませんが、店内モニタなどの映像から利用客の性別や年齢を認識。時間帯による利用客の変化といった調査を行い、セールスに役立てています。

意外な活用法としては、宮城県亘理町で導入された例があります。亘理町では、東日本大震災後に津波で持ち主がわからなくなった写真が約6万枚も集まりました。そこで写真をデータ化し、希望者に対して顔認証システムによる検索を行いました。津波によって思い出をすべて流されてしまった人にも、大切な写真を戻すことができたのです。

スマートフォンアプリも続々登場!

顔認証システムの技術を利用したスマートフォン用のアプリケーションシステムも続々発売され ています。

手軽に顔認証システムを体験できる「Face Lock」は、顔認証によるダイヤルロックやアプリロック解除などの基本操作の他、 光が足らない場所での認証を可能にするトレーニングシステムなど、本格的な機能を備えたスマートフォンアプリです。

また、顔認証用スタンプを作ったり自撮りした写真をメイクアップしたりと 、 SNSへの投稿にもぴったりなカメラアプリも数多く発売されるなど、顔認証システムの技術は単なる公的施設のセキュリティにとどまらず、さまざまな分野に活用が広がっています。

顔認証システムで考えられる問題

顔認証システムは、比較的安価な予算で構築できたり、両手がふさがった状態で認証が可能なことから、さまざまな分野での活用が期待されていますが、カメラの性能などに伴う弱点も指摘されています。

1.顔の向き
条件は、左右40度、上下30度まで。顔認証を行うためには、顔がカメラの正面を向いている必要があります。

2.カメラの角度
カメラの角度も重要な要件です。監視カメラのように解像度が低く、上からの角度がある顔画像では、正確な認証結果が期待できません。

従って、構図や明るさ、角度などしっかりした条件が揃わないと、正確な顔認証は難しいということになります。

顔認識システムの弱点

顔認証システムが一般化されると、便利さの反面、当然デメリットも出てきます。真っ先に懸念されるのは、個人情報の流出です。

現代では、フェイスブックなどで顔写真や氏名、誕生日などを公開している人も多いでしょう。顔認証システムを使ってインターネット検索をすると、そういった個人情報が知られてしまう危険性があります。アメリカの大学で行われた顔認証システムの実験では、92人中29人がほぼ瞬時に特定できたそうです。

街中にある防犯カメラなどの映像でも顔認証が可能になれば、いつ、どこを通って、どこで買い物をした、といった生活パターンまですべて判明してしまうことになります。場合によっては、犯罪に利用されることもあるかもしれません。

逆に、精度の低い顔認証システムによって、別人と誤認されることもあります。最近では万引き防止の目的で顔認証システムを導入する店舗もありますが、万引き犯に誤認されれば人権侵害にもなりかねません。

顔認証システムによるさまざまな影響

最近では、ライブのチケット販売に顔認証システムを取り入れている例もあります。これは、人気アーティストのチケットをオークションなどで高額で転売する行為を阻止するためです。

しかし、一切の転売を禁止してしまうと、なんらかの事情でライブにいけなくなった人が友人にチケットを譲るといったことも不可能になってしまいます。

さらに、いくら顔認証システムが一般化したとはいっても、導入にはそれなりのコストと手間がかかります。そのコストは入場者が負担することになるため、どうしても入場料が高額になってしまいます。

アーティストのファンならば、そういった顔認証システムのデメリットも受け入れるかもしれません。しかし、新たなファンを獲得するには障壁となってしまう可能性も。すると、長期的にはアーティストの人気衰退に繋がることもあり得ます。
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