2008年5月31日

外国人留学生の採用積極化 グローバル化でニーズ拡大

経済のグローバル化が急速に進んだことを背景に、企業が外国人留学生に熱い視線を送っている。団塊世代の大量退職と少子化にともなう慢性的な人材不足も後を押し、企業の採用意欲を高めている。 一方、現在、日本にいる外国人留学生は約12万人で、日本流のビジネススキルを身につけた「日本ファン」も多く、数年後の海外進出に備えグローバル化を支えるコア人材として、採用を積極化する企業が急増している。外国人留学生採用の実態を取材した。

 (7530)

処遇は日本人新卒社員と同じ、海外拠点の幹部候補生として期待

 大和証券SMBC では、今年4月、中国・韓国・リトアニアから11人の外国人留学生の新入社員を迎え入れた。同社では、2002年から年間数人の外国人留学生を採用してきたが、昨年から外国人留学生の新卒採用枠を拡大、09年4月の採用予定は20人を計画している。
 同社は、これまで国内企業を中心とした有価証券等の売買、引受等の投資業務を中心とした事業を展開してきたが、顧客企業の海外進出やグローバル化が進み、国外でのエクイティファイナンス等による資金調達の拡大などから、将来の事業戦略上、グローバル人材の採用に迫られていた。
 外国人留学生は入社後、トレーダーなどの業務以外に、コーポレートファイナンス業務を想定して採用するケースが増えている。
 同社に採用された留学生は基本的に日本での勤務になるが、日本のビジネスや慣行を習得した後、将来的に海外拠点を立ち上げる際の幹部候補生として活用していきたい考えだ。
 日本での採用ということで賃金や処遇も、日本人の新卒社員と同等だ。日本滞在が長いため語学的にも、文化・習慣的にもスキル上ほぼ問題はないという。留学生だからといって特別な待遇や研修はなく、4月に入社した日本人の新入社員130人とともに、新入社員研修を一緒に受けている。

縮む国内市場、グローバル化への対応に否応なく迫られる

 同社の小林武彦経営企画部人事課上席次長兼人事課長は、「日本企業はバブル期以上に力をつけていますが、少子高齢化が進み、今後、日本の市場は否が応でも収縮してきます」
 「一方、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、ベトナム、タイなどの経済成長は、日本の戦後高度成長を上回る勢いで進んでいます。これまで国内中心のビジネスを展開してきた企業も、グローバル化に否応なく対応を迫られてきます」と日本市場の変質を敏感に意識する。
 労働政策研究・研修機構が4月発表した調査でも、外国人留学生を採用した企業の採用理由は、「国籍に関係なく優秀な人材を確保するため(専門知識・技術)」が52.2%も最も多く、「職務上、外国語の使用が必要なため」(38.8%)、「事業の国際化に資するため」(32.4%)と、事業と雇用のグローバル化が同時に進行する企業の実態が浮かび上がる。
 海外の投資資金によるM&Aの活発化や資源の奪い合いによる原油・原材料・穀物相場の高騰はコスト高は、日本経済に大きな影響を与えるようになり、国内企業は常にグローバル化の波にさらされるようになっているのだ。

グローバル採用が本格化へ、トリリンガルの採用も可能

 企業のグローバル化にいち早く注目し、留学生の就職支援サービスを開始したのが人材紹介ビジネスのソルバーネットワーク社だ。
 同社は昨年10月、日本国内の就職情報を日本での就職希望者に伝える留学生向けの無料情報誌「JapanCareer」を発行し、日本と世界37カ国の主要大学532校に配布を開始。
43 件

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

日本人材ニュース|人材採用と人材育成の人事専門誌

関連する記事

グローバル人材の新卒採用は増加するも、7割の企業で不足

グローバル人材の新卒採用は増加するも、7割の企業で不足

 グローバル人材の採用は5割の企業で増加しているものの、いまだに約7割の企業が不足していると感じていることが、総務省が発表した「グローバル人材育成の推進に関する政策評価」で明らかとなった。
日本で働く外国人が過去最多、100万人を超える

日本で働く外国人が過去最多、100万人を超える

 日本で働く外国人が過去最多となったことが分かった。厚生労働省が201610月末現在の状況を取りまとめた。
2018年新卒採用予定者は4学歴で「増加」、目的は“基幹的業務を担う者の確保”

2018年新卒採用予定者は4学歴で「増加」、目的は“基幹的業務を担う者の確保”

 2018年の新卒採用予定者数が前年と比べて「増加」するとした事業所は、学歴別にみて「高校卒」、「大学卒(文科系)」、「大学院卒」、「専修学校卒」の4学歴で2017年5月調査の割合を上回ったことが、厚生労働省の5月の労働経済動向調査で分かった。
ものづくり人材の定着率5割程度、小規模企業ではより深刻

ものづくり人材の定着率5割程度、小規模企業ではより深刻

 新卒採用の技能者や技術者などの“ものづくり人材”が3年後も8割以上定着している企業は半数程度であることが、労働政策研究・研修機構の調査で分かった。
7割の企業で人材採用のための新たな取り組みを実施、運輸業では8割超

7割の企業で人材採用のための新たな取り組みを実施、運輸業では8割超

 より良い人材を採用するために新たな取り組みをしている企業は7割を超えていることが、帝国データバンクが実施した調査で明らかとなった。業界別で最も多かった「運輸・倉庫業」では8割を超え、切実な人材不足が裏付けられる形となった。

この記事のキーワード

この記事のライター

編集部 編集部

サイト会員限定記事

セミナー・イベント

プレスリリース