2011年3月10日

ディスコ 夏井丈俊社長 日本は競争力強化のために開国するしかなくなっている

 景気回復の兆しが見え始めたが、新卒の就職は依然として厳選採用が続いており、新卒採用数を増やす傾向は見られない。一方で、内定が決まった人に集中するという現象も頻繁に見られるようになった。ディスコ社長の夏井丈俊氏に、グローバル化と大学教育の課題、そして今後の人材市場における経営戦略を聞いた。

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夏井丈俊 代表取締役社長

【プロフィル】
1987年ディスコ入社。1998年米国現地法人 DISCO International, Inc. 社長、2000年英国現地法人社長兼務。2005年常務取締役。2010年10月代表取締役社長就任。

日本の人材市場の現在の状況をどのように捉えていますか。

 日本では、グローバル採用が活発になってきています。かつて、米国でも似たような状況が起きていました。私は米国に赴任していた1998年から2006年までの8年間、ITビジネスの盛り上がりを目の当たりにしました。
 IT技術者の不足から、インド人や中国人を始めとして、さまざまな国から才能のある人材を獲得するための「Talent War」がはじまったのです。当時、急成長していたマイクロソフトなどもロビー活動を行い、IT産業は人材不足のために成長機会を失っていると世論に訴え、ビザの発給緩和などを国策として取り組ませ、外国人採用を推進しました。
 その後、米国同時多発テロなどで不況に陥ると、ビザの発給コントロールの問題などもあり米国人が優先される時期もありました。
 米国が技術革新による技術者不足に直面したのに対し、日本の場合は、海外に行かなければ稼げなくなったためにグローバル人材を採用する必要がでてきたという点で、根本的な違いがあります。
 ビジネス、ガバナンス、人材というすべての面でグローバルな競争力が必要とされており、“Global Talent War”が始まっているのではないかと思っています。
 日本のジレンマは、グローバルな競争力を強化するために、大胆に開国するしかなくなっている点です。
 新興国需要などで企業業績は回復し、採用意欲は高まってきている一方で、企業の人材ニーズもグローバル人材、即戦力人材へと変わってきています。最近、外国人留学生が注目されるようになってきているのもそのためです。

企業業績は回復傾向にあり、求人も増える一方で、国内の新卒採用では厳しい選考が続いています。

 大卒者の内定率が低水準である背景には、大学が抱える本質的な問題があります。
 構造的にはこの20年で大学生は17万人近く増えました。すでに大学進学率は5割を超えていますが、高卒者への求人数が限られるため、今後さらに進学率は高まっていくでしょう。
 韓国でも中国でも大卒の就職は厳しい状況です。中国では地方の単純労働は人手不足ですが、一人っ子政策で教育熱が高まったため、大卒者が700万人を超えるまでに急増し、大変な就職難に直面しています。
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