2018年4月30日

企画業務型裁量労働制の導入要件と意義

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の当初の政府案には、企画業務型裁量労働制の対象拡大も含まれていました。ところが、裁量労働制に関する調査データの不備等の問題が顕在化し、平成30年2月末に法案から削除されました。今回、法案削除にまで至ってしまった企画業務型裁量労働制の改正ですが、本稿では、そもそも労働基準法上の企画業務型裁量労働制とはどのような制度なのかについて確認してみます。

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企画業務型裁量労働制とは

(1)裁量労働制とは

 裁量労働制とは、業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難な業務に従事する者について、実際に労働した時間にかかわらず、労使協定または労使委員会の決議によって定められた一定の時間労働したものとみなす制度です。

 裁量労働制は、専門業務型裁量労働制(労基法38条の3)と企画業務型裁量労働制(同38条の4)の2種類に分かれます。本稿では、企画業務型裁量労働制について、要件、効果等を確認していきます。

(2)業務の内容

 企画業務型裁量労働制の適用対象となる業務は、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」です(労基法38条の4第1項1号)。

ア「事業の運営に関する事項」

 企業全体の事業の運営に影響を及ぼす事項をいい、事業場単位の事業の実施に関する事項はこれに該当しません。

 例えば、本社・本店である事業場において、その属する企業全体に係る管理・運営と併せて対顧客営業を行っている場合、当該本社・本店である事業場の管理・運営を担当する部署において策定される企業全体の営業方針は「事業の運営に関する事項」に該当しますが、対顧客営業部署の個々の営業担当者が担当する営業については、「事業の運営に関する事項」に該当しないとされています(労働基準法第三十八条の四第一項の規定により同項第一号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針[平成11年12月27日労告149号、平成15年10月22日厚労告353号。以下「指針」といいます。]第3、1、(1)、イ)。

イ「企画、立案、調査及び分析の業務」

 これら4作業を組み合わせて行うことを内容とする業務をいい、このような業務を、部署全体として行うのではなく、個々の労働者が遂行を命じられた場合がこれに当たります。したがって、企画、立案、調査、分析という語句をその名称に含む部署(例えば、企画部等)で行われる業務の全てが直ちに「企画、立案、調査及び分析の業務」に該当するわけではありません(指針第3、1、(1)、ロ)。

ウ「当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある」業務

 使用者の主観によって判断したものではなく、当該業務の性質に照らし客観的にその必要性が存するものである必要があります(指針第3、1、(1)、ハ)。

エ「当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」

 当該業務の遂行にあたり、その内容である企画、立案、調査及び分析という相互に関連し合う作業をいつ、どのように行うかなどについて、広範な裁量が労働者に認められている業務をいいます(指針第3の1(1)ニ)。
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