2015年4月30日

海外事業拡大でグローバル人材の確保に苦戦

事業の海外展開、海外企業のM&A(合併・買収)、インバウンド需要であらゆる産業・規模の企業でグローバル人材のニーズが高まり、人材確保で苦戦するようになっている。社内人材の育成も間に合わず、中途採用でも必要な人材を採用できない状態が続いている。グローバル人材を確保するためにどのような手を打つべきか、企業の人材戦略を支援する専門家に聞いた。

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 日本企業のグローバル化が加速したことで、多くの企業がグローバル人材の採用に苦戦する姿が浮かび上がる。
 東京に本社を置く中堅のプラントメーカー。これまで国内を中心に事業を展開してきたが、ここ数年、中国、東南アジアへと海外展開を強化していた。
 努力の成果が表われアジア圏における売り上げは急拡大。受注の急増でグローバル事業に必要なエンジニアの育成が間に合わなくなり、必要な人材を中途採用で確保してきた。
 ところが、昨年中頃辺りから希望するエンジニアが思うように採用できなくなり、受注残が増えて売り上げの伸びにストップがかかっている。「アジアには環境問題を始めとしたテーマが多く、人材さえいれば売り上げは大きく上向く。いまがチャンスなのに残念だ」とプラントメーカーの社長は嘆く。
 人材の採用が売り上げに直結する。こうした状況を打開するため、社長自ら人材紹介会社のコンサルタントに会って必要な人材を伝えるなど直接採用にかかわるようにしている。さらに、採用基準も見直した。
 その甲斐あって、経験者採用はようやく計画の半数を確保するところまできたという。2015年4月入社の新卒採用も苦戦したが採用担当者が地道に地方大学などをめぐり、ほぼ計画数を達成した。16年卒からは、外国人留学生のエンジニアの採用を新たに始める方針だ。
 当初は外国語によるコミュニケーション能力を重視していたが、「もはやそんなことを言っていたらエンジニアは採用できない。語学は入社してから習得してもらえばいい」。

急速に進むグローバル化で多くの企業が人材採用・育成の課題に直面

 今後さらに日本企業のグローバル化は進向する。すでに海外売上高比率が50%以上を占める企業の比率(JETRO調べ)は、情報通信機械・電子部品で27.9 %、輸送機器で25.2%、商社・卸売りで20.9%、一般機械で20.0%と2割を超えるようになっている。
 さらに、今後3年程度で海外売上比率が拡大すると見込む企業の比率は製造業で54.7%、非製造業で39.3%と高まっている。特に化学(68.8%)、輸送機器(65.0%)、一般機械(61.2%)の業界では6割超の企業で海外売上比率が拡大するとしており、数年以内の急速なグローバル化が予想される。

多くの産業で海外売上高比率拡大見通しの企業が多数

海外売上高比率(現状と見通し)

海外売上高比率(現状と見通し)

(出所)日本貿易振興機構「2014年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」
 3月に発表した経団連の調査によれば、グローバル化で企業が直面している課題は「本社でのグローバル人材育成が海外事業展開のスピードに追いついていない」がトップ。
 次いで、「経営幹部層におけるグローバルに活躍できる人材不足」「海外拠点の幹部層の確保・定着」「世界中の拠点から人材の選抜・配置・異動によるグローバル最適の人材配置」などで、そのほとんどが人材の採用と育成に関連する悩みだ。
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