2010年8月30日

【メンタルヘルス特集(3)】“従業員が突然ダウン”のリスクを防ぐ セルフチェックツールで対応の優先度を見極める

 メンタルヘルス対策の重要性が高まる中、職場や人事担当者の負荷が大きくなってきている。メンタル不調者を出さないためには、事前の予防措置が最も効果的な対策だ。相談窓口、カウンセリング、研修などの支援サービスの利用を検討する際には、まず従業員の状況を適切に把握しておくことが欠かせない。  最近は、数少ない人事担当者が従業員の“心の健康状態”を把握するために、従業員が自らのストレス状況を確認できるセルフチェックツールを導入するケースが増加している。セルフチェックツールを活用している人事担当者に、今起きている課題、そして具体的な対策について聞いた。

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今回の取材先企業A社

従業員約170人のIT・システムサービス会社。主な職種は営業と開発。
総務・人事部門は3人で、うち人事担当は1人。

メンタルヘルスについて社員から相談を受けることはありますか。

 メンタルヘルスということで人事に直接の相談は少ないですが、「仕事量が多い」「上司や同僚と上手くいかない」といった職場での悩みから話が入ってきます。会話の中で「最近よく眠れない」「月曜日が憂鬱」といったフレーズが出てくると、メンタル面の問題を気に掛けるようにしています。
 最近はうつ病に対する認知度が高まっていることもあって、体調を少し崩しただけでも、うつ病と結び付けて考えてしまい不安を持つ社員がいます。特に若い社員に多く、今年も職場に配属されて間もない新入社員から相談がありました。
 当社では社員の相談窓口を特別に設けていませんが、新入社員研修で「仕事の相談は上司に、仕事以外のことや上司に相談しにくい内容は人事に相談するように」と伝えています。
 職場内で解決してもらうべきものと、人事が間に入った方が適切なものは判断して対処できますが、メンタルの問題が背景にあるのか、どこまで職場に介入するべきか判断に迷うことはあります。

うつ病と診断された従業員への休職復職プログラムはありますか。

 復職は主治医の診断書をベースに、産業医の意見をもらい、経営陣と人事で判断します。復職に際しては短時間勤務制度を設けています。復職と休職を繰り返す場合には、就業規則に休職期間の通算による退職規定があります。
 当社のような規模の小さい企業では、従業員が突然ダウンして休んでしまうことが一番困ります。簡単に人を手当てすることもできませんし、残された従業員の負担も急増してしまうからです。そのため、メンタル不調の兆候を少しでも早く把握するための手段として、ストレス状況のセルフチェックツールを活用しています。
 メンタル不調の予防措置に対してコストを掛けることに、社内で理解を得ることが難しい会社も多いようですが、従業員が精神疾患を発症してからの事後対応は、場合によっては生死に関わる状況にもなるので大変です。安全配慮や社会的な責任といった点からも、事前予防の施策をやっていないというリスクが大きくなっていると感じています。

メンタルヘルス対策としてどのような予防施策を行っていますか。

 当社では2年半ほど前から独自のアンケートで従業員のメンタルヘルスチェックをいっていましたが、定期健診にメンタルヘルスの問診の追加が検討されているなど、法的にも企業に対して予防対策の強化を促す動きがありますので、定期的かつ簡単に従業員のストレス状況を把握できるツールの必要性を感じていました。
 そこで、社内ネットワークで従業員一人一人が簡単に受診できるパイプドビッツ(東京都港区、佐谷宣昭代表取締役社長CEO)が提供しているセルフチェックツール「こころの健康診断」を4月から導入し、毎月1回、社員全員が受診しています。
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