2016年12月28日

働き方改革が本格始動 2016年に顕在化した人事・労務の6テーマ

2016年の人事・労務の特徴を一言でいえば、人材不足の顕在化に対応した採用力強化や定着を促す官民を挙げた「働き方改革」が本格的に始動した年だった。(文・溝上憲文編集委員)

 大和証券グループ本社のほか、ロート製薬、テルモなどの大手各社は社内にCHO(最高健康責任者)を選任し、健康経営の推進を担当している。

 伊藤忠商事は終業時間後の残業を減らし、始業前の「朝型勤務」の推進企業として知られるが、今年の夏以降、始業時間を早めるなどの朝型勤務導入企業も増えた。その賛否は社員内では分かれるものの、ワークライフバランス重視の政策を鮮明にする企業も増えている。

高齢者雇用の処遇制度のあり方が課題に

 最後に高齢者雇用に関しては、定年後の継続雇用社員の処遇問題について東京地裁と高裁の二つの異なる判決が世間の注目を集めた。

 地裁では定年前とまったく同じ仕事をしているトラック運転手の継続雇用後の賃金を引き下げるのは違法とした。だが、高裁では違法ではないとの判決が下され、最終的に最高裁の判断を待つことになった。

 定年後の雇用形態として圧倒的多数を占める再雇用制度では賃金の引下げが従業員のモチベーションを低下させているとの調査もある。今後増えると見込まれる高齢者雇用の処遇制度のあり方も大きく問われることになるだろう。

 人材不足という基調の中で、若者、女性、高齢者の採用、定着を図る処遇を含めた施策が2017年も引き続き求められてくることは間違いない。

おすすめの記事

同一労働同一賃金で注目される長澤運輸事件・東京地裁判決

同一労働同一賃金で注目される長澤運輸事件・東京地裁判決
一億総活躍国民会議(2月23日)における安倍総理大臣の指示に基づき、3月23日以降、厚生労働省職業安定局が実施する検討会(同一労働同一賃金の実現に向けた検討会)において「同一労働同一賃金」の実現に向けた具体的方策について検討が進められています。そのような中、5月13日に言い渡された長澤運輸事件の東京地裁判決(労判1135号11頁)が注目を集めています。皆さんの中には実際に判決文をお読みになった方もいらっしゃるかもしれません。
21 件

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

日本人材ニュース|人材採用と人材育成の人事専門誌

関連する記事

職場にあると良いと思う制度、1位は「在宅勤務」 ソニー生命調べ

職場にあると良いと思う制度、1位は「在宅勤務」 ソニー生命調べ

 職場にどのような働き方や制度があると良いと思うか聞いたところ、「在宅勤務」と答えた人が最も多いことが、ソニー生命保険(東京・千代田、萩本友男社長)が実施した「女性の活躍に関する意識調査2017」で分かった。
2017年 労働法改正 人事担当者が押さえるべき注目ポイント

2017年 労働法改正 人事担当者が押さえるべき注目ポイント

2017年は人事・労務に関する重要な法改正も行われる予定だ。その中でも最大の注目点は何といっても長時間労働の是正と同一労働同一賃金を目指した動きだろう。法改正によって何が変わってくるのか。人事担当者が押さえるべき注目ポイントを解説する。(文・溝上憲文編集委員)
人事専門家に聞いた 2017年 人事の最重要テーマは次世代リーダーの育成

人事専門家に聞いた 2017年 人事の最重要テーマは次世代リーダーの育成

ビジネスのグローバル化や少子高齢化による労働力人口の減少など、経営環境の変化に対して従来型の人事では対応が難しくなっている。「2017年の人事の重要テーマ」を、企業の採用、育成・研修、組織力強化などを支援する専門家50人に対してアンケート調査で聞いた。
“働き方改革”の取り組みを通じて企業の魅力を高める サトーホールディングス 江上 茂樹 執行役員 最高人財責任者

“働き方改革”の取り組みを通じて企業の魅力を高める サトーホールディングス 江上 茂樹 執行役員 最高人財責任者

ハードウェア製品の開発、製造、販売を行うサトーホールディングスは、“健康経営”や“働き方改革”への取り組みを通じて働きやすい会社づくりだけでなく、生産性向上を目指している。人事部門を統括する江上茂樹氏に、人事施策の取り組み状況などを聞いた。
6割超の企業で人手不足、3年連続で不足感強まる

6割超の企業で人手不足、3年連続で不足感強まる

人手不足と感じている企業が6割を超えたことが日本商工会議所の調査で分かった。「宿泊・飲食業」、「運輸業」、「介護・看護」では7割を超えており、人手不足が深刻化している。

この記事のキーワード

この記事のライター

溝上憲文 溝上憲文

サイト会員限定記事

セミナー・イベント

プレスリリース