2019年1月10日

定年再雇用時における労働条件の留意事項(九州惣菜事件、トヨタ自動車ほか事件)

高年齢者雇用安定法において、65歳までの雇用確保措置としてもっとも多く導入されているのは、継続雇用制度です。今回は、定年再雇用後の継続雇用の際に、いかなる労働条件の提示が高年齢者雇用安定法違反となるかについて、裁判例を踏まえ解説します。

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高年齢者雇用についての法規制

 高齢者雇用については、現在、高年齢者雇用安定法(以下「高年法」といいます。)において、65歳までの雇用確保措置として、①定年引上げ、②継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)の導入、③定年の定めの廃止のいずれかを採用することが、事業主の義務として規定されています(9条1項)。

 そのうえで現在はさらに、65歳以上の継続雇用に向けた議論がなされており、安倍総理は平成30年10月22日、第20回未来投資会議の中で、「70歳までの就業機会の確保を図り、高齢者の希望・特性に応じて、多様な選択肢を許容する方向で検討したい。」とするほか、平成31年夏までに具体的制度の方針を決定した上で、早急に法律案を提出する方向で検討したい、としています。

雇用確保措置の現状

 前述①~③の雇用確保措置を導入する企業において、現在、もっとも多く導入されているのは、②継続雇用制度であり、その比率は、80.3%となっています(厚生労働省 平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果)。

 事業主は、継続雇用制度において労働条件を設定するにあたり、定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けられるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲内の条件を提示していれば、労働者との間で労働条件等について合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年法違反となるものではないと解されます(厚生労働省 高年齢者雇用安定法Q&A A1-9)。

 他方で、事業主が、定年退職者に対し、事業主の合理的な裁量の範囲外の条件を提示すれば、高年法に違反するものとして、損害賠償責任が生じうることになります。そこで、いかなる労働条件の提示が、高年法違反となるのか、以下で、参考となる裁判例を挙げて検討します。

 なお、継続雇用制度に基づき、期間の定めのある労働契約を締結した場合、高年法違反の問題とは別に、労働契約法20条(契約期間の定めがあることによる、正社員との不合理な待遇差を禁止)違反の問題が生じる場合があります。

 この問題については、近時、長沢運輸事件最高裁判決(最判平成30年6月1日)が出されました。
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