2013年6月30日

サムスン強さの秘訣 採用・選抜・育成の仕組み

後発企業でありながら、今や多くの分野で日本企業を凌駕しグローバル企業となったサムスン電子。その強さの源泉となっているのが「人材力」だ。サムスンの人材力を高めている採用・選抜・育成の仕組みを取材した。

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新卒就職志願者は上半期だけで5万人超

 サムスングループは創業以来「合理追求、人材第一、事業報国」を経営理念に掲げる。とくに1990年代以降、2代目オーナーのイ・ゴンヒ会長は「企業が人材育成をしないのは一種の罪悪である」と述べ、人材育成の強化を図ってきた。
 グループの中核企業であるサムスン電子は電機業界では後発企業に属する。韓国内ではLG電子の後塵を拝し、日本のソニー、パナソニック、日立、東芝といった技術力に優れたライバル企業を持ち前の営業力で果敢に挑戦し、躍進を遂げた最大の理由は「人材力」にあるとの自負がある。
 サムスンの人材競争力の源泉は大学生の採用から始まる。サムスングループの就職志願者は上半期だけでも例年5万人を超える。それに対して採用予定数は4500人だ。韓国企業の中でも断トツの人気を誇り、全国の大学のトップクラスの優秀人材が応募し、名門ソウル大学の学生でも10人に1人しか入れないと言われるほどの超狭き門だ。
 国内の大学生に限らず、2012年上半期は33カ国で学ぶ韓国国籍の3300人の留学生と47カ国の700人の外国人が応募した。

新入社員のTOEIC平均点は900点以上

 選考では日本企業は人柄など定性的な価値に重きを置くが、サムスンは定量的指標を重視する。その典型はグローバル化には必須の英語力だ。入社を志望する学生は英語会話能力に関する成績証明書を提出する必要がある。
 具体的にはTOEICのスピーキングスコアもしくはOPIC(全米外国語教育協会の会話能力試験)の成績だ。TOEICのスピーキングスコアは8ランクあるが、事務系職種は6以上(通常のTOEIC換算で700点)、技術系職種は5以上(620点)をクリアしなければならない。
 ただし、この点数は最低ラインであり、新入社員の平均点は900点以上とハイレベルだ。その他にGPA(グレード・ポイント・アベレージ)と呼ぶ大学の成績評価指標が一定以上あることが求められる。
 こうした書類選考に加えて、SSAT(SamSung Aptitude Test)と呼ぶサムスングループ独自の職務適性評価試験がある。500点満点であり、韓国語ないしは英語で受験する。
 内容は数学、英語、国語などに関する一般常識問題と小論文で構成され、試験時間は約3時間。筆記試験で採用数の3分の1に絞り込まれる。そのため韓国ではSSAT対策の就職塾が繁盛し、書店には参考書も売られているほどだ。
 通常のコース以外にも優秀な人材を発掘するための多様な採用戦略も展開している。1つはインターシップ(就業体験)による採用。日本企業のインターシップといえば、せいぜい1~2週間程度であるが、サムスンは09年から9週間コースと技術系の16週間コースの2つを実施している。
 しかも単なる職場の雰囲気を知る就業体験ではなく、期間中に学生に実務に関する課題を与えて成果を競わせる試験も実施している。サムスンの採用事情に詳しい韓国人コンサルタントは「実務的訓練を行った後で、コンペで競争させて、その中で1位や2位を獲得した学生を採用している」と語る。

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溝上憲文 溝上憲文

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