組織・人事

Z世代が語る、就職活動から今、これからについて【Z世代の本音にみる、キャリアと価値観】

働き方改革やコロナ禍で生じた変化の中、Z世代たちは、自分の職場をどのように捉え、仕事に何を求めているのか。営業職として働く20代前半のZ世代社会人3人に匿名で、職場でのコミュニケーション、仕事のやりがい、上司や周囲への期待について、赤裸々に語ってもらった。

【参加者(いずれも仮名)】
野村氏 営業職 入社3年目 男性
田中氏 営業職 入社4年目 女性
加藤氏 営業職 入社2年目 女性

【司会】
斎藤幸江 就職・採用アナリスト


前編では、就職活動から今日にいたるまでに生じた思いや考えを伺い、コロナ禍での就活、現職で感じるやりがい、そして今後について語ってもらった。

今の職場に決めた背景

【斎藤】まず、みなさんが、今の職場に就職しようと思ったきっかけ教えてください。

【田中】志望業界の中で、一番いいなと思ったところに入りました。若いうちから裁量を任せてくれそうと感じたので、選びました。

【加藤】私は、いろんな人たちが喜んでもらえるものを作れる仕事という軸で、就活をしていました。その中で、今の職場は人事担当がすごく丁寧に寄り添ってくれたということ、そして選考途中で女性の取締役が出てきたことが、決め手です。

他社に女性役員の面接官はいませんでした。バリバリ働く女性ってすごいなと、強く印象に残りました。

【野村】僕はとても不真面目な大学生で、3年の3月に情報解禁を迎えるまで就活をやりませんでした。インターンシップにも一社も行かず、全業界を見て「これ、行きたくないな」と思ったのを外していった結果、ちょっと面白そうかなと思ったのが、今働いている業界です。

正直、今いる会社も最初の印象はよくありませんでした。一次面接の人事担当者のやる気が見えなかったんです。パッションがないというか……。それまではネット情報を見て対策を練って臨んでいたんですけど、こんな感じならもう素でフランクに面接してやろうと、言いたいことを言ったら受かってしまいました。

二次面接では、現場で活躍している人が出てきました。その人はパッションがあって、こういう人がいるなら、ここで働くのもいいかな?と思い始めたんです。二次でも飾らずに面接して受かったので、素の自分を評価してくれたし、ここにしようと入社を決めました。

コロナ禍での就活と学生生活

【斎藤】そういえば、野村さんが就活を始めた時期に、ちょうどコロナ禍が始まりましたよね?

【野村】そうでした。5月頃まで選考が止まってしまって、そのせいで乗り遅れても大丈夫だったのかもしれませんね。就職活動は、オンライン面談がほとんどでした。

【加藤】私は大学3、4年がコロナでした。

【斎藤】インターンがみんなオンラインになった世代かな?

【加藤】そうです。説明会もオンラインしかなかったんです。会社の印象は何もわからない、伝わらないっていう感じでしたね。

【斎藤】学生生活は、いかがでしたか?

【加藤】大学の授業もオンラインです。3年生って、ゼミが始まってそこで仲の良い人ができて旅行に行ったり、運営側最後の大学祭を楽しんだりする時期なんですよ。

それが全部オンラインになってしまって、楽しいには楽しかったですけど、卒業旅行も行けなかったし、期待通りでなかったという思いはあります。「卒業旅行リカバリー有休」を職場で作ってほしいくらいです。

【野村】大学に行けなくなって、特に誰とも話さなくても授業に出るだけで、意外に楽しかったんだなと思ったことを覚えています。すれ違う時に「よぉ」と声をかけるみたいな……。あれがあるから充実していたんだと再認識しましたね。そういう小さいことのポジティブな価値に気づきました。

誰かの役に立つ仕事がしたい

【斎藤】みなさんは、今の仕事にどんなやりがいを感じますか?

【田中】人を動かす側になることでしょうか。仕入れを担当しているんですが、私がいなければ、それを形にするプランナーやデザイナーもいないし、営業もそれを支えるネットサポートも要らなくなる。私の仕事は0から1にする、その一歩というのはやりがいで、私が仕入れたからほかの仕事が発生する、そして購入したお客様も支えられると思ってやっています。

【加藤】私はまだ2年目なので、大きな契約も取れていないんですが、やはり自分が手掛けた案件でさまざまなお客様を満足できたら、すごい仕事してるなぁって思えると思います。特にウチの会社が参入していないところで優良案件をみつけて、「〇〇社、あんなところに目をつけたのか、すごい!」って思われる仕事をしたいですね。

【野村】働いて気付いたのは、目で見て感覚で得られるやりがいって、大事だっていうことです。会社に入る前は、やりがいなんて、正直、そんなにいらないって思ってたんですけど、仕事していると役に立っている実感は、必要だなと思いました。

今の部署は、金融系の商品を扱っているんですが、投資家以外の誰に役立っているんだろう?誰かを幸せにできているのかな?と疑問を持ち始めているんです。それはちょっと嫌だなって思っています。

【斎藤】野村さんは、そういったモヤモヤとどうやって折り合いをつけているんですか?

【野村】仕事を通じて社会のために何かいいことをしているというやりがいは、ないんですよね。Excelのスキルが上がって、こんなのを作れたみたいなちょっとした幸せを重ねているだけな気がします。

次のキャリアステージを見据える

【斎藤】みなさんは、今の職場でいつまで働く予定ですか?

【加藤】私は2年目が始まったばかりで、仕事に対しての喜びがまだ感じられていない部分があるので、まずその手応えが欲しいですね。そのあとで、楽しいな、これからも続けたいなと思えるかどうかで、いつまで働くかが見えてくる気がします。

【田中】私はあと2、3年で辞めてもいいかなって思っています。もともと、この会社で定年まで勤めようと思って入社していないし、やっぱりステップアップしたいし、給料も増やしたいし、もっと知名度のある会社にも行ってみたい。この業界に別にこだわりもないので、全然違う業界でも気にしません。

今の職場は夜も遅いし、外食とかも多いので、子供ができたら面倒を見られなくなっちゃうな、というのも転職を考える理由のひとつです。2、3年後ぐらいにもうちょっとお給料が多く、もう少し緩い会社に行けたらな、とは思います。

【野村】僕は、来年辞めようかなぁ……。旅人になりたいんです。今の会社が嫌だからという気持ちはそこまで強くないんですが、学生時代にいろいろと海外を旅した経験もあったし、今も旅人と会う機会が多くて、あこがれているんです。自由で楽しそうで生き生きしているなぁと。

【斎藤】今の仕事をしていなくても旅人をめざしますか?

【野村】この状況だからなりたいんでしょうね。今が自由じゃないと感じるから、自由が大事と思えるんです。

世代差と職場のコミュニケーション

【斎藤】今、野村さんから自由という話が出ましたが、みなさんの職場環境はいかがですか?居心地やコミュニケーションについて、うかがえますか?

【野村】今の部署には、20~50代まで先輩や上司が6人います。50代の方は、ちょっとパワハラ気質ですね。優しく接してくれるけれど、厳しさがそこに含まれているというか。30~40代の方は、ただただ優しくて、怒ったり機嫌が悪くなったりということはないです。

【斎藤】コミュニケーションをとっていくうえで、ほかに世代との差を感じることはありますか?

【野村】30~40代の方はフランクで、相手が間違ったときに指摘しても、「ああ、ごめん」みたいな感じの会話ができるんですが、50代の方は難しいですね。「僕はこう思うんですけど、いかがですか?」と説明して、上司が答えてくれるんですが、最後のほうになると論点がずれていたりします。

そういう時に、また指摘すると面倒だな、「なんだ、こいつ。なんで突っかかってきてんの?」って思われているのかなと思って、わかりましたって言っちゃいます。

【田中】私の職場は、割と20代~30代前半の若手が多いんですよ。40代、50代の方も若手の話を聴いてくれるタイプなので、やりづらさは感じないです。

営業先は、年代が上の人が多いですね。50代から70代までいます。世代が上だからというより、経験値が異なるので、「こっちの知識が少なすぎて、相手の言うことがわからない」ということは、よくあります。

それから70代になると、長くお話されますし、どんどん話題を勝手に広げてしまいます。話し続けることに気持ちよくなって、どんどん突っ走ってしまう。こちらが聞きたいことに答えてもらえないと思っても、さえぎって切り返せません。意思疎通が図れていないなぁと感じることがあります。短めに話してほしいです。本質的な意見交換ができなくなるので、そこはちゃんと情報を提供してほしいと思います。

【加藤】私はそんなに語彙がないので、会話の中でわからない単語が出てくることがたまにあります。でも、自分のせいなので、なかなか質問できません。

それから、私の部長が気になったことを、わしゃわしゃっと一気に話してくるタイプなんですよ。簡潔に話してほしいですし、何度も名前を呼ぶのでストレスは感じますね。

意思疎通しやすい職場を期待

【斎藤】みなさんが考える働きやすい環境は、いかがですか?

【田中】暇な人が周りにいてくれた方が働きやすいですね。

【加藤】確かに。

【田中】聞きたいことがあっても外出していたり、忙しくされていたりすると聞けないんですよね。

【加藤】私の職場も質問しやすい環境ではありません。まだ入社後1年ちょっとので、聞かないとできないことも多いです。聞いてすぐ答えてくれる人が欲しいなぁと思いますね。

部署にいつもいるのは部長なんですが、部長は今までの積み重ねでわかっている前提で話を進めてくるので、理解できないことも多いです。そこはまだ経験していないという背景をわかっていただいた上で、話してくれるとやりやすいなとは、思います。

【斎藤】わからないことや聞かなければということがあったら、どうするんですか?

【加藤】うーん。どうにかするしかないかなぁ。

【田中】私の会社にはアプリがあって、チャット形式で質問できるんですそれでも、どうしても対面で聞きたいときは、朝か夕方に時間をとってもらっています。

【斎藤】野村さんは、働きやすい職場をどう考えていますか?

【野村】ある程度の自由を認めてくれる職場ですね。こんなことをしたいと提案したら、すぐできる環境だとうれしいです。これは必要ないんじゃないですかと提案して、「ここを対処できるなら、それは、なくしてもいいよ」と言われて、実行して効率化を図れたり、自分のアイデアが採用されたりすると、認めてもらえた実感がありますね。

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就職・採用アナリスト/就職情報会社勤務後に独立。働く若者と職場を元気にするをモットーに、授業科目・セミナー講師、寄稿等。 某私大にて、学生が選ぶベストティーチャー(大規模授業)受賞(2015年度、2019年度、2020年度)。近著に「キャリアデザインの教科書」(労働調査会 共著) 国家資格キャリアコンサルタント。

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