組織・人事

人事労務関連の制度で最も実施率が高いのは「定年後の再雇用制度」

労務行政研究所が上場企業等における人事労務関連のさまざまな制度の実施状況を調査し、集計した「人事労務諸制度の実施状況調査」によると、最も実施率の高い制度・施策は「定年後の再雇用制度」で9割超となっている。

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最も実施率の高い制度・施策は「定年後の再雇用制度」で90.8%、次いで「ハラスメントに関する相談窓口の設置」が89.0%、「内部通報制度」が84.9%となっている。

コロナ禍で普及した「オンライン面接」(79.8%)は約8割、「テレワーク」(67.5%)は7割近くの企業が実施していた。

一方、リモートワーク下で社員のメンタルヘルスが問題となるケースも増えており、「メンタルヘルスに関する相談窓口の設置」が69.5%、「心の健康を目的とするカウンセリング」が41.1%など、精神的な側面のサポートを実施する企業は多い。

【主な制度・施策の実施率 トップ10】
1位 定年後の再雇用制度 90.8%
2位 ハラスメントに関する相談窓口の設置 89.0%
3位 内部通報制度    84.9%
4位 仕事上での旧姓使用 83.9%
5位 ハラスメント防止規定の作成 82.5%
6位 契約社員の雇用   81.8%
7位 オンライン面接   79.8%
8位 パートタイマー・アルバイトの雇用 72.6%
9位 メンタルヘルスに関する相談窓口の設置 69.5%
9位 裁判員休暇     69.5%

注目の制度について労務行政制度は以下のように紹介している。

「仕事上での旧姓使用」
近年、結婚により姓を変更することで生じる仕事上の不利益の解消や個人のアイデンティティーへの配慮を目的に「仕事上での旧姓使用」を認める企業は増加しており、2022年調査では83.9%となった。2010年の52.9%以降、右肩上がりで上昇しており、2018年(67.5%)から16.4ポイントの伸びとなった。仕事以外でも、2019年には住民票やマイナンバーカード、運転免許証で、2021年にはパスポートでも旧姓の併記が認められるようになっており、今後も取り組みは進むとみられる。

「テレワークとオンライン面接」
新型コロナウイルス感染拡大への対応として政府が出社率の低減を要請したことなどから、「テレワーク(在宅勤務)」の導入が急速に進み、2022年調査では67.5%と2018年(11.8%)から55.7ポイントもの大幅な上昇となっている。また、コミュニケーション手法が対面中心からオンライン中心へとシフトしたことに伴い、採用面接にも大きな影響が及んでいる。今回初めて調査した「オンライン面接」の実施率は79.8%であり、現在、多くの企業が実施しているものと考えられる。

「副業・兼業の容認」
これまで副業・兼業に否定的な企業も多かったが、働き方の多様化が進む中、これを容認する動きも広がっている。厚生労働省が2020年9月に改定した「副業・兼業のガイドライン」では、懸念となっていた労働時間管理と健康管理のルールが明確に示された。こうした流れを受け、2018年は10.7%にとどまっていた「副業・兼業の容認(承認)」は、2022年に39.4%と上昇している。

調査は、2022年2月28日~5月10日、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3647社と、非上場企業1850社の合計5497社(ただし、持ち株会社の場合は主要子会社を対象としたところもある)を対象に実施し、回答のあった292社を集計した。

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