【宇宙ビジネス】ホリエモンが開発する超小型ロケットに肉薄
元ライブドア社長のホリエモンこと堀江貴文氏が手がけている宇宙ビジネス。今年8月に超小型国産ロケット「モモ」を打ち上げる計画を立てていたものの、開発中のエンジンが燃焼実験中に異常燃焼するという事故が発生し、打ち上げ延期に。この記事では、堀江氏の宇宙ビジネスについて解説します。
宇宙に行くのにカネがかかりすぎる!
堀江氏が宇宙ビジネスに乗り出した理由は、あまりにも高額な旅行代金に辟易したから。
堀江氏は「宇宙に行こうとした一人30億円かかる」と言っており、安く行こうと思ったら「せめて一人1,000万円を切る値段で行けるようにしないと。そうするためには、自分たちでロケットを開発するしかない」という思いに至ったそうです。
「なつのロケット団」に参画し、本格稼働!
2004年から、宇宙ビジネスについて講演会などを行っていた堀江氏。
2005年にイギリス・マン島(宇宙事業非課税地域)にエクスカリバーアルマズ社を設立。ロシア製宇宙船アルマズとサリュート宇宙船を購入し、民間宇宙旅行ビジネスに参入しました。
同年、「なつのロケット団」メンバーとともにロケットエンジンの独自開発の検討を開始し、2006年に本格稼働しています。
「なつのロケット団」は、民間ロケット開発団体で、堀江氏が創業者であるSNS株式会社とその子会社インターステラテクノロジズ株式会社が中心となって構成されたもの。
北海道赤平市の植松電機の関与を得る!
2009年には、ロケット開発で知られる植松電機を訪問、ロケット開発拠点として協力を得ることに成功しました。
2013年に8月には、ロケットの打ち上げ実験に成功。エンジンは20数秒間燃焼し、約40秒で最高高度6,500メートルに達しました。最高速度はマッハ1.12を記録したといいます。
開発中のロケットは「液体燃料ロケット」
宇宙ロケットは、大別すると2種類。ひとつは「固体燃料ロケット」だ。
文字通り、火薬のような固体燃料を燃焼することで発進するロケットで、簡単にいえばロケット花火のようなもの。
もうひとつは「液体燃料ロケット」。エタノールや液体水素、液体酸素などを燃料とするロケットのことで、宇宙ロケット開発を手がけるインターステラテクノロジズ株式会社では「液体燃料ロケット」を開発している。
しかし、日本にある液体ロケットは液体水素と液体酸素を燃料として使っているのが主流。エタノールと液体酸素を使っているものはないが、コスト面で優れているため、この方式を取ることにしたそうです。
エタノールと液体酸素を使った場合、固体燃料と違い、途中で推進剤を止めれば燃料を消すことができるそう。人を乗せることを考えれば、「液体ロケット」のほうが、安全性が高いという話です。
超小型ロケット開発の背景には「半導体の進化」が!
ロケットを制御する電子機器であるアビオニクスはわずか数キロしかない。2001年当時のアビオニクスは約200キロもあったというから、驚くしかない。
つまり、アビオニクスの重量で浮いた分だけ荷物を載せられるということ。60キロ程度の男性であれば3人も乗れる計算だ。
打ち上げ費用の軽減に貢献!
どんなロケットでも数十億円、重いロケットであれば100億円はくだらないと言われている打ち上げ費用。
インターステラテクノロジズ株式会社の想定している打ち上げ費用は10億円にも満たない計算で、低コストが超小型ロケットの普及を後押しする可能性もあります。
「町工場」でも造れるロケットを開発中!
同社が実験場を構える北海道・大樹町は「宇宙のまち」として全国的に知られている。宇宙産業の誘致にも積極的で、同社への支援を惜しまない構えといいます。
また、宇宙ロケット開発の第一人者としても知られる北海道大学宇宙環境システム工学研究室の永田晴紀氏や植松電機など宇宙ロケットに関するノウハウを蓄積したプレイヤーが身近にいることもひとつの強みと言えるでしょう。
打ち上げ実験は失敗したものの、次の展開に期待!
残念ながら、8月の打ち上げ実験は失敗してしまいましたが、堀江氏の宇宙への思いは尽きることはないでしょう。
今後、SNS株式会社とその子会社インターステラテクノロジズ株式会社が中心となって、超小型宇宙ロケットの開発はさらに進展するでしょう。打ち上げ実験が成功し、コスト低減が実現すれば、私たちでも宇宙に行ける日が来るかもしれませんね。