組織・人事

2020年1~5月の希望・早期退職募集は33社、前年比2倍増

 東京商工リサーチの調査によると、2020年1月から5月に希望・早期退職者を募集した上場企業は33社となり、2019年の年間35社にほぼ並んだ。

 2020年1月から5月に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は33社(延べ34社)で、前年同期比16社増と約2倍増となり2019年の年間35社(延べ36社)にほぼ並んだ。1月から5月までに30社を超えたのは、2013年(36件)以来、7年ぶり。

 業種別では、消費増税、暖冬、新型コロナと三重苦の経営を強いられる繊維製品が5社で最多。百貨店に販路を持つオンワードホールディングス、レナウン(5月民事再生)のほか、片倉工業、オーミケンシ、東海染工も製造拠点の相次ぐ事業規模縮小に伴い、退職者を募る。

 東京商工リサーチでは今後の繊維製品について、「“新しい生活様式”による外出自粛で、今夏にかけて消費者の衣料購入は低調に推移するとみられ、アパレル関連の先行きは不透明感が強い」と見ている。

 他の業種では、輸送用機器4社、電気機器、精密機器、サービス各3社と、海外需要の低迷に引きずられる形での実施が目立つ。

 今年の早期希望退職者の募集動向について東京商工リサーチでは、「2019年は黒字企業の募集が目立ったが、今年に入り、従来型の赤字企業のリストラが急増している。19年5月末までに募集実施した17社のうち、直近決算の赤字は5社と3分の1以下にとどまっていた。だが、20年同期は33社のうち、15社(45.4%)が赤字を計上している」と指摘する。

 「上場企業の業績は20年に入り悪化しており、東京商工リサーチの調査では5月29日時点で3月期決算を発表した2314社のうち、863社(37.2%)が減収減益で、増収増益685社(29.6%)を上回る。このため、今後も赤字や減収減益の業績不振の企業を中心に、退職者の募集は増勢をたどる」と見ている。

 新型コロナウイルスの影響で早期・希望退職募集を開示した企業は、合計5社。ラオックス、HANATOUR JAPAN、ベルトラの3社はインバウンド消失型。このほか、自社製品の需要減が見込まれる岡本硝子と、広告出稿の減少が影響したぱどの2社が募集を実施した。

 新型コロナウイルスの影響で、応募の申請期間を延期した企業は、サッポロホールディングスが3~4月の募集開始を5月に延期、芝浦機械(旧商号:東芝機械)も募集終了を当初の4月から6月に延ばした。

 同調査は、5月31日公表分までの資料に基づき、希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出している。実施が翌年以降の企業は除く。

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