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ベーシックインカムってどう?フィンランドの実例と日本の可能性

欧米諸国ではベーシックインカムの是非について議論されており、フィンランドでは部分的な社会実験がスタートしました。日本でもベーシックインカム導入を望む声がありますが、日本社会にマッチするのでしょうか?フィンランドでの実例と、日本の実現可能性について解説します

【ベーシックインカムとは?】

ベーシックインカム(基礎所得)とは、最低限度の生活保障となる一定額を無条件で国民全員に定期支給するという施策のことです。欧米社会において18世紀末にはすでに登場していた古い社会構想ですが、長年に渡って実現が検討されており、20世紀終盤から議論が再燃を見せています。

欧米での議論の高まりを受け、日本でもここ数年でベーシックインカム導入検討が注目を集めています。ベーシックインカムはメリット・デメリットの双方がある大規模改革です。いずれ自分の生活を大きく左右するかもしれない問題なので、今のうちから関心を高めておきましょう。

【フィンランドでは実験開始】

ベーシックインカム導入へのファーストステップとして、フィンランドで社会実験がスタートしました。この実験は国家レベルでの実験としては初の試みとなるもので、ランダムに選定された2000人の失業者を対象として月額560€(約7万円)を支給する計画で、2017年1月から2年間の実施を予定しています。

このフィンランドの実験においては、ベーシックインカムによって最低限の生活が保証されているため、失業者は低収入・低負担の仕事でも就くことができ、結果的に失業率が低減することが期待されています。

【ブラック企業にとっては大打撃?】

さて、ベーシックインカムを日本で導入すると何が起こるのでしょうか?

フィンランドのような北欧社会には存在しない日本社会特有の問題として、長時間労働・過重労働を強いるブラック企業問題が挙げられます。ベーシックインカムが導入されれば、最低限の生活保障があるため労働者は気軽に離職できるようになります。また、「お金のために働く」という動機が薄れるため、やりがいのある仕事や、格別に労働条件の良い仕事でないとなかなか労働者が集まりません。当然ながら、長時間・薄給の悪条件で従業員をこき使っているブラック企業からはどんどん人が離れていくことでしょう。そういった企業は労働条件を改善するか、事業を縮小するかの選択を迫られることになります。

【少子化改善や景気回復に効果も】

フィンランドなどの北欧社会と日本社会共有の課題として、少子化の改善が挙げられます。特に今の日本では若者世代が貧しいためなかなか結婚に踏み切れず、また長時間労働や保育園不足などの問題で子供を育てにくいという理由から深刻な少子化が進行しています。ベーシックインカムで生活が保障されれば、若者世代が金銭的・時間的・体力的不安から解放され、出生率の向上が期待できます。

またベーシックインカムの恩恵を受けて労働者が長時間労働からどんどん離職し、定時に帰宅できる好条件の職場に転職すれば、趣味・レジャー・飲食などの余暇産業が活性化されます。このような庶民のゆとりが日本の景気回復の一助となることは言うまでもありません。

【庶民の税金負担増は不可避】

ただし、ベーシックインカムはメリットばかりではありません。国民1人1人に月額数万円という巨大な財源の確保のため、庶民の税金負担が増えることは絶対避けられません。そもそも、先に述べたフィンランドでの社会実験も、高税・高福祉の北欧社会だからこそ実施できたことです。ベーシックインカム導入は、たった数%の消費税増税にも悲鳴を上げる日本人のお財布には厳しい問題としてのしかかってきそうです。

現実的な対処としては、生活保護・失業保険・年金・健康保険などの現行の社会保障を大幅に縮小し、浮いたお金をベーシックインカムの財源に回すという手法が取られるかもしれません。

【日本人の意見は?】

ベーシックインカムの日本での導入の是非について、Yahoo!ニュースがインターネット世論調査を行い、日本のネットユーザー約14万人が回答しました。これによると、賛成が46.8%、反対が45.2%とほとんど賛否が拮抗しています。

反対側の意見としては、ベーシックインカムの必要性や意義を十分理解してはいるものの、税金負担増や労働意欲の低下を理由に、今ひとつ賛成できないといった意見のようです。また、たくさん働く人とあまり働かずにベーシックインカムに頼って生活する人の間に生ずる不公平感をどう解消していくのかも大きな課題となってきそうです。

【日本でベーシックインカムを実現するために】

ベーシックインカムは、ブラック労働問題、少子化、不景気など日本社会が長年抱える諸問題を抜本的に解決する大胆な構想であり、多くの人が実現を待ち望んでいます。

しかしその一方、税負担増や労働意欲の低下などの新たな問題の火種ともなる可能性もはらんでいるので、フィンランドを始めとする欧米社会の動向を参考にして慎重に議論を重ねていく必要があります。

導入にあたっては、欧米社会の先行事例の真似ではなく、より日本社会にマッチした形にブラッシュアップしていくことが成功の鍵となりそうです。

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