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安倍内閣 肝いりの「働き方改革」の中身とは

平成28年9月27日、安倍総理は、総理大臣官邸で第一回「働き方改革実現会議」を開催した。この「働き方改革」は、安倍総理が標榜する「一億総活躍社会」の実現に欠かせないもの。「働き方改革」の具体的な中身とはどのようなものだろうか。

日本の企業文化を覆す「働き方改革」

「働き方改革実現会議」で、安倍総理は「もはや先送りは許されない。必ずやり遂げる」と熱弁した。

長時間労働や終身雇用などを前提とした日本の企業文化を根底から覆すテーマが目白押し。全部で九つものテーマが挙げられている。順次説明しよう。

1.非正規従業員の処遇改善

非正規雇用の処遇改善を図るために、安倍総理が掲げたのは「同一労働同一賃金」。つまり、同じ仕事をしているのであれば、同じ賃金が支払われるべきという考え方だ。

確かに、正規従業員と非正規従業員の仕事の中身が変わらないケースも多い。こうした現状を鑑み、非正規従業員の処遇改善を打ち出したわけだ。

しかし、「同一労働同一賃金」の実現には「正規従業員と非正規従業員の責任の違いをどう考えるか」など議論すべき事柄が多数ある。かなり難航することは間違いないだろう。

2.賃金引上げと労働生産性の向上

賃金が引き上がり、労働生産性が向上すれば、消費が増え、景気が上向くというのが安倍総理の考え方だ。

確かに、日本の労働生産性は、先進国で19年連続最下位を記録するなどかなり低いことが知られている。労働生産性を向上させるためには、企業において仕事のやり方を変えるなど抜本的な対策が必要。

賃金引上げも結局のところ企業が自主的に考えるべき問題。安倍総理は経済界に対して、賃金引上げを求める考えだが、前途は多難である。

3.長時間労働の是正

日本経済は正規従業員による犠牲的な長時間労働で成り立ってきたと言ってもよいだろう。長時間労働は肉体だけでなく精神も蝕む。長時間労働によりうつ病をり患する人も急増している。

こうした長時間労働を助長する時間外労働に規制をかける方針だ。今のところ、時間外労働に上限を設ける案が有力だ。

4.転職・再就職支援、人材育成など

雇用吸収力の高い産業、例えば介護などへの転職・再就職を支援する。介護技術を教授する研修などを充実させる方針。

今年度においては、厚生労働省が補正予算で介護職の再就職を後押しする「再就職準備金」を10億円積み増したことが記憶に新しい。このような取り組みが今後も増えると予想される。

5.テレワーク、副業・兼業などの柔軟な働き方

テレワークとは、「離れて働く」という意味。遠隔地でメールのほかテレビ電話などを使用して仕事を行うことだ。

副業や兼業を就業規則で全面的に禁じている企業は多い。日産や富士通、花王などは以前から副業を認めているが、いまだ少数派に過ぎない。

副業を前向きに捉える企業もあるが、情報漏えいや競業避止義務など心配な点も多い。今後の動向に注目である。

6.働き方に中立的な社会保障制度・税制などの女性・若者が活躍しやすい環境整備

女性を中心としたパート従業員や若者がメインとなっているアルバイトなどが年収を気にせず働けるように社会保障制度や税制を変える方針。

7.高齢者の就業促進

超高齢社会への突入に伴い、労働力人口が急減する時代に。また、低年金者の増加や高齢者の生きがい確保の観点から、高齢者の就業促進が課題になっている。

かつて、企業年金制度により、高齢者は国民年金、厚生年金、企業年金と三つもの年金から収入を得ることができた。しかし、現在は、企業年金制度は一部の大企業だけのものになりつつある。

実際、働きたい高齢者は増えている。問題はその目的だ。かつては「やりがい」や「社会貢献」が上位に来ていたが、今となっては「生活費を稼ぐこと」が中心になりつつある。

高齢者の就業促進は、「労働力人口減」と「低年金時代への対処」という二つの理由から生み出されたものだ。

8.病気の治療、子育て・介護と仕事の両立

介護離職が社会問題化。また、晩婚化に伴い、子育てと介護、両方に直面する「ダブルケア離職」も問題となっている。

現在、有給休暇の取得促進のほか介護休業法の法律改正などが進んでいる。仕事を休まなくても、当たり前に、子育て、介護ができる社会の構築を急ぐ。

9.外国人人材の受け入れ

労働力人口の減少に伴い、さまざまな業種で人材不足が露見している。飲食業は最たるもので、積極的に外国人人材を活用してきたといえる。

今後、多様な業種で外国人人材の受け入れが進むだろう。その際、どのような問題が起きるのか、受け入れ態勢をどのように構築すべきか、企業が直面する課題は多い。

年度内に具体的な実行計画を取りまとめる方針

安倍総理は、上述した九つのテーマに沿って、「働き方改革」に必要な法律や政策を議論し、国会に関連法案を提出する考え。

「働き方改革」の実現は、私たちの職業生活に大きな影響を及ぼすだろう。今後の展開を注視し、即応したいものだ。

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