体育会の学生は一般学生よりも大企業への就職に有利という説は本当か!?
学業、部活動、就職活動の3つの両立を迫られる体育会学生は、一般学生よりも就職内定率が高く、大企業への就職に有利という説は本当なのか。
ディスコ(東京・文京、夏井丈俊社長)の調査によると6月中旬時点の体育会学生の就職内定率は78.8%で、一般学生の内定率(76.0%)よりも2.8ポイント高くなっている。
さらに就職先を決定していた学生に決定企業の規模を聞いたところ、体育会学生の55.2%が「従業員数5000人以上」と回答し、一般学生(36.4%)より大企業への就職が18.8ポイント高かった。
また、上場企業の比率も体育会学生の方が高く、体育会学生が81.2%、一般学生は60.6%となっており、圧倒的に体育会学生が大企業への就職に有利なことが分かった。
体育会学生と一般学生とで、「ある関係性」に大きな差が…
就職先を決めた理由は、体育会学生で最も多かったのは「大企業である」(36.4%)で、一般学生(20.0%)の2倍近くに上る。次に「有名企業である」(34.4%)、「給与・待遇が良い」(33.1%)と続いた。一般学生の最多は「将来性がある」(35.8%)だった。
【就職決定企業に決めた理由 体育会学生】
1位 大企業である 36.4%
2位 有名企業である 34.4%
3位 給与・待遇が良い 33.1%
4位 将来性がある 31.2%
5位 職場の雰囲気が良い 30.5%
【就職決定企業に決めた理由 一般学生】
1位 将来性がある 35.8%
2位 給与・待遇が良い 30.3%
3位 社会貢献度が高い 29.1%
4位 職場の雰囲気が良い 26.7%
5位 有名企業である 23.6%
なぜここまで大きな差がついているのだろうか? 「体育会学生」と体育会ではない「一般学生」のエントリー社数を比較すると、一般学生が42.7社であるのに対し体育会学生は28.8社と、体育会学生は一般学生の約7割にとどまりエントリー社数は少ない。
企業セミナーや選考試験などエントリー以降の活動については大きな差は見られなかった。
就職情報会社等の主催する「合同企業セミナー」への参加回数は体育会学生が平均3.4回、一般学生が3.2回とこちらもほとんど差は見られない。一方、大学内で行なわれる「学内企業セミナー」への参加回数は一般学生が平均4.1回であるのに対し、体育会学生は5.0回となった。
この理由については、体育会学生は学業と部活動の両方を行うため、授業の合間に参加できる学内セミナーに足を運ぶ機会が多いということらしい。
一方、学生側から個人的に約束をとって行う自主的な「OB・OG訪問」をした人は、体育会学生は6割を超え(64.0%)、一般学生(26.0%)の2倍以上に上った。OB・OG訪問の人数も、一般学生が平均3.0人であるのに対し体育会学生は平均5.2人を訪問していた。
また、体育会学生の中には10人以上を訪問したという学生が3割(30.9%)にも上っていた。
体育会学生への部活関係者からの就職支援は、「OB・OGからの個別の企業紹介を受けられる」(33.9%)が最も多い。「大学や体育会本部主催で体育会限定で学内説明会を開催してくれる」が25.1%で、2番目に多かったが、前年よりも11.7ポイント下がった。全体的に前年よりもポイントが下がり、就職支援は減っているようだ。
企業の部活訪問は「部活内企業説明会」があったという学生は31.1%、「部活関係者からの紹介で企業訪問」をしたという学生は33.6%。それぞれの社数は「部活内企業説明会」が平均5.4社、「部活関係者からの紹介で企業訪問」が平均3.3社となっており、企業の体育会学生に対するニーズの高さがうかがえる。
体育会学生が就職活動で有利な理由、それは企業側のニーズの高さに加え、OB・OGや部活関係者との密接な関係による就職支援にあるようだ。
体育会学生の調査は、2016年6月14日~19日、2017年3月卒業予定の大学体育会所属学生を対象にインターネットで実施し、283人が回答した。一般学生の調査は、2016年6月1日~5日、2017年3月卒業予定のモニターのうち、体育会所属学生を除いてインターネットで実施し、1021人が回答した。内定率は6月15日に再調査した。