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「ブラック企業」を見分けるための基礎知識

かつてはインターネットスラングのひとつであった「ブラック企業」という言葉も今や一般化しつつある。「ブラック企業」の比較対照となる言葉「ホワイト企業」も登場。「ブラック企業は恐ろしい」というイメージは定着しているが、どんな企業が「ブラック企業」であるかは、思った以上に知られていないもの。この記事では、「ブラック企業」の特徴について解説します。

「ブラック企業」とは何か?

「ブラック企業」には、実は明確な定義はありません。一般的には「若者を使い潰す会社」「労働基準法に違反している会社」などが挙げられます。

客観的に見れば優良会社なのに、その会社に勤務する社員が単に「仕事が忙しい」という理由から「〇〇はブラック企業だ!」とヒステリックに声を荒げる場合もあります。

だからこそ、「ブラック企業」問題は複雑なのです。

とはいえ、労働基準法ほか法令違反を犯している会社は問答無用で処罰されるべきでしょう。

労働基準法違反の「ブラック企業」の特徴

長時間労働が慢性化している会社は要注意。労働基準法(以下、労基法と表記)違反の「ブラック企業」である危険性大。労基法違反の主な内容は以下の通り。

1.残業時間が36協定の範囲外である
会社が残業をさせるためには、36協定を従業員代表と締結し、さらに残業時間を規定する必要があります。

36協定内には、残業時間が明記されており、この時間を超えると労基法違反です。

2.サービス残業が日常的に行われている
典型的な例は、「タイムカードを押してから残業させる」。残業代を支払いたくないという理由から、このような措置を取る会社もあります。

最近は、22時には消灯するという会社も増えてきました。もちろん、22時までにしっかりと仕事を終えることができればよいのですが、実際は仕事量が多すぎるため、時間内で終わらず、自宅に持ち帰り仕事をしている例も散見されます。

これを「風呂敷残業」と呼びます。自発的に自宅で仕事をする場合は、残業としてカウントされませんが、会社命令の場合はたとえ自宅作業であっても残業としてカウントされるので注意が必要です。

複数人が精神障害を発症している

昨今、うつ病や統合失調症ほか職場環境などに起因する精神障害が注目されています。精神障害発症者が一人である場合は、環境不適応など本人の問題があるとも推測できますが、複数人いる場合は要注意。

長時間労働が慢性化しているだけでなく、心理的プレッシャーも相当なものと思われます。発病直前の1ヶ月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合や、発病直前の3か月連続して1ヶ月あたりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合に、精神障害の発病リスクが高くなるとされます。

もし、月100時間以上の時間外労働を行っている場合は、自分を守るためにも転職を考えたほうが無難です。

ちなみに、精神障害による労災認定が多い業種は「道路貨物運動業」「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」の3業種で、ほぼ恒常化しています。

過労による自殺が相次ぐ「名ばかり管理職」

十分な権限、報酬がないのに管理職扱いされ、残業代を支給されない社員のことを「名ばかり管理職」といいます。

東証一部上場の居酒屋チェーン「大庄」をはじめ、「名ばかり管理職」が常態化。

会社からは労働時間月173時間制が示された。午前10時出勤で夜11時半まで働き、月173時間を超える分は「残業」となる。

「毎日、9時までには店に入り、帰るのは終電。帰宅するのは夜の0時半頃。食事をして寝るのは午前2時頃で、朝、風呂に入って食事をしていました。睡眠はおおむね5時間くらいでしたかね。そんな勤務状況が続いていましたので、本人は19万に加えて残業代を入れると、給料はかなり多いはずだと期待していたみたいです。でも、2カ月後の研修で、給与の仕組みを教えられ、『役割給』というのが実は、あらかじめ組み入れていた80時間の残業代だとわかった。息子は愕然としていたんと違いますか。私や家内には絶対、給与の明細を見せませんでしたもんね」

過労死による訴訟が相次いだことから、残業代を過去2年にさかのぼって支払う会社も出てきました。

過労死までに追い込む「名ばかり管理職」。残業代を支払いたくないという意図から労働者の無知を利用した悪質な例です。

ハラスメントが常態化している

特に問題となっているのが「パワーハラスメント」。

「パワーハラスメント」とは、「同じ職場で働く人に対して、「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」を意味します。

「殴る、蹴る、叩くなどの暴行」「同僚の前での激しい叱責」「意図的に一人だけ別室で作業させられる」「死後のやり方もわからない新人に他人の仕事まで押し付ける」などが典型例。

もちろん、セクハラやアルハラ(アルコールハラスメント)問題です。

「離職率」が高い

「離職率」が高いということは、人が定着しない会社だと言うことができます。「離職率」を見るときに重要なことは、「離職理由」をしっかりと調べることです。

もしスキルアップを目的に転職する人が多い場合は、「有能でやる気のある社員が多い」ということができるかもしれません。

もし長時間労働やパワハラなどを起因して、離職する場合は「ブラック企業」の可能性が高まります。「離職率が高い会社は危ない」という声はよく聞きますが、実態を把握し、冷静に判断したほうがよいといえるでしょう。

「ブラック企業」は労務面から客観的に判断する

「ブラック企業」かどうかは、長時間残業やサービス残業など労基法ほか法令違反の有無をしっかりと調査することが必要です。

そのうえで、パワハラをはじめとしたハラスメントについて確認するとよいでしょう。「ブラック企業」か否かは、人によって感じ方が異なるもの。

だからこそ、人の意見を鵜呑みにせず、自分なりに確認することも大切と言えます。

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