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上司が部下を好き嫌いで評価するのは仕方ない? 管理職に求められる「フェアな評価能力」とは何か【人事のプロが日本の人事課題を本音で語る】
筆者の渡部昭彦氏は大手銀行、セブン-イレブン・ジャパン、楽天グループで人事部長などを歴任し、さらに人材コンサルティング会社のヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス代表として長年人事と経営に携わってきた、いわば人事のプロ。人事評価制度について、制度の本質と運用面での課題について本音を語ってもらいます。
HRMが喫緊の課題だが、「綺麗ごとばかり言ってられない」が現場人事の本音
失われた20年・30年における経済停滞を打破すべく「人的資本投資」が、官民挙げての課題として様々な場で取り上げられています。
「企業経営はヒトが全て」とは従前より言われている言葉ですが、あらためて企業経営における「人事」の重要性が認識されている訳です。もちろん経営戦略と一体のものとしての人材戦略、昨今の言葉で言えばHRMが喫緊の課題であることに異論はありません。
一方で、日々部下の管理に追われている現場の管理職、そして巡る季節毎に人事システム(ルーティーン)を回さなければならない人事スタッフからすれば、「そんな大所高所からの綺麗ごとばかり言ってられないよ」ということかも知れません。
本稿はHRMのベースともなる人事制度について、ややもすれば「理念と現実」「本音と建前」が乖離する中で、その運用に呻吟(しんぎん)する(人事スタッフを含む)現場の視点から、あらためて課題と解決策を考えることを目的としています。