【ヒューマン・タッチ レター vol.138】AI時代のメンタルヘルス対策
AI時代のメンタルヘルス対策【コラム#138】
【ヒューマン・タッチ レター vol.138】
皆さんこんにちは。ヒューマン・タッチの森川です。
今日は、「AI時代のメンタルヘルス対策」について考えてみました。
生成AIは、選択の余地がないほど各社、あるいは個人で導入が進んでいますね。
相談相手だけではなく、上司として、あるいは経営者としての顔も持ち始めているようです。
私自身も、提案書の作成にとどまらず、各種申請業務や事業計画の作成などに活用してその効果を実感しています。
正直、仕事を進めるうえでのスタンダードになってきています。
このような状況が、職場の中でより進展していった場合、どのようなことが想像されるのでしょうか。それこそAIにも聞いてみました。
■AIによる考察:職位別にみたAIによる仕事の変化やメリット、デメリット
●新入社員
AIによる仕事の変化: 調査・文章・資料作成などをAIが補助
メリット: 早期に一定水準の成果を出せる
デメリット: リスク:下積み・失敗・試行錯誤が減る
●若手社員
AIによる仕事の変化: AIを相談相手として使い、複数案を高速作成
メリット: 生産性向上/仕事の幅が広がる
デメリット: 自分で考える過程や、人に相談する機会が減る
●ベテラン社員
AIによる仕事の変化: 経験・専門知識とAIを組み合わせる
メリット: 経験知を体系化/生産性向上
デメリット: 専門性がAIに代替される感覚
●管理監督者
AIによる仕事の変化: 管理業務をAI化し、判断・対話・育成に重点
メリット: 管理業務効率化/部下支援に時間を使える
デメリット: AIによる監視・評価への偏重/判断責任は残る
●経営層
AIによる仕事の変化: AIが経営情報を統合し意思決定を支援
メリット: 意思決定の高速化/高度化
デメリット: 情報過多/AIへの過信/さらなる成果への圧力
■AI活用による若手社員への影響
私が日々の業務の中で、社内コンサル・AI導入の専門家・現役の精神科医、また人事労務の皆さん、新入社員や管理職、あるいは経営者の皆さんと接する中で感じるのは、若手にとっては、生成AIの活用が、仕事を進めるうえでの「状況の整理」や「言語化」の力に影響を与えるのではないか、ということです。今の生成AIは行間を読んでくれます。少ない文字数の入力だけでも、不十分な質問でも、行間を読んで整理し、提案や選択肢を出してくれます。これらに慣れてしまうと、同じような質問のレベル感で、仕事上でも上司やお客様にも対応してしまうのではないか、との懸念です。
具体的には、生成AI感覚でホウレンソウを行えば、上司の理解が進まない、お客様とのコミュニケーションでも齟齬が生まれる。そこでは、自分側の問題ではなく、相手側の問題と捉えて問題がよりこじれる。「できない上司」「嫌なお客様」とのレッテル張りが生まれる……こんな感じでしょうか。
■AI活用による「業務マシーン化」の懸念
また、中堅・ベテランや上司にとっては生成AIの活用はどのような結果を生むのでしょうか。ずばり「業務マシーン化」の懸念です。生成AIは今まで時間のかかっていた業務を劇的に効率化してくれます。時間が浮きます。浮いた時間はどうなるか。やはり次の仕事が待っています。生成AIによってできた余裕は、必ずしも自らの余裕にはならないのではないでしょうか。
とくに、次々と入って来る仕事は必ずしも「やりたい仕事」ではありません。「やりたくない仕事」がせっかくできた余裕の中でも多くを占めるのであればどうでしょうか。
余裕もなくなり、やりたくない仕事の割合が増える。自分の意思や思いはどこかに置き去られ「業務マシーン」となってしまわないか……
■AI時代に求められるメンタルヘルス対策
生成AI時代のメンタルヘルスを考える際に、今までの
●1次予防…「仕組み作り」「相談窓口の設置」「ストレスチェックからのセルフケア」「セルフケア研修」「ハラスメント研修」
●2次予防…「ラインケア研修」「安全配慮義務」「気づき、声掛け、聴く、つなぐ」「ストレスチェックからの職場環境改善」
●3次予防…「復職支援」「個別面談」「医師面接」
といった「不調者を見つける」「不調者の早期発見早期予防」「ストレスチェックの結果からの職場環境改善」という視点の支援に加えて、「従業員個人が、自分の業務の中で価値ある仕事にどれだけ仕事を割り振れているか」という指標が大切になってくるのだと思います。
これは、病気の状態を測定するのでもなく、ストレスの状態を測定するのでもなく、個々人の「価値」に沿った仕事がどれほどこなせているかという感覚です。
■「効率化」から「価値ある仕事」へ
もちろん、組織の中では自分がやりたい仕事だけしているわけにはいきません。ただ、自分の大切にしている価値との重なりがある業務へ私たちは前向きに取り組めるのだと思います。ここまで使ってきた「価値」という言葉は、「どのような考え方を大切にして生きているか」「判断の指針として大切にしている考え方」「よって立つ支え」という言葉に置き換えてみても良いかと思います。
生成AI時代のメンタルヘルスを考える際には、「AIでどれだけ効率化できたか」をベースにするのではなく、「AIを使ってどれだけ自分の価値と重なる仕事ができるようになったか」が大切になってくるのだと思います。
この考えをベースに自分のことを考えると、提案書や申請関連の仕事はAIに任せて効率化し、より時間を使いたい仕事、例えば3年後、5年後を見据えた会社の姿を考える仕事、これに時間を使えるようになっており、いままでより仕事が「楽しく」感じられます。この変化、はっきりと感じています。代表がこの状態であるのは、もちろん他の従業員にもよい影響を与えるはずです。
まずはAIによって仕事を効率化し、浮いた時間で自分が大切と考えていることとの重なりがある仕事(価値ある仕事)に取り組み、楽しむ、その先には個人の「楽しい仕事」自体が周りによい影響を及ぼして結果として職場環境改善につながる、そんな視点が重要になってくるのではないでしょうか。
組織の視点での職場環境改善から、個人の働き方の先にある職場環境改善への転換、ともいえるかもしれないですね。
取り留めなく思いつくままに話をしてしまいましたが、未来の話ですので一つの考えとして理解していただければ幸いです。
(10月8日の同社プレスリリースより転載)



