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キーンバウム ジャパン、解決策を急ぐ前に問題を見極めよ:トップチームに求められるリーダーシップの本質

キーンバウムのCレベルガイド

経営陣レベルのトップマネジメントチームは、変革の局面において強い実行圧力にさらされる。そうした状況では、解決策に早々に飛びついてしまうことが少なくない。しかし、真に効果的なリーダーシップは、それ以前の段階から始まる。すなわち、問題に対する共通認識を形成し、優先順位を明確に定め、どのような成果やインパクトを実現すべきかを正しく理解することである。

変革が失敗する原因は、トップチームにアイデアが不足していることではない。むしろ多くの場合、その逆である。取り組むべきテーマが多すぎる。施策が多すぎる。期待もまた多すぎるのである。そのようなプレッシャーの下では、「迅速に意思決定し、施策を立ち上げ、進捗を示す」という反応が生まれやすい。行動力があるように見えるものの、それが必ずしも成果につながるとは限らない。

トップチームが、真に解決すべき課題について共通認識を持たないままでは、リーダーシップの発揮よりも先に施策のリストばかりが増えていく。活動量が明確さに取って代わり、スピードが方向性に取って代わる。組織は変化や動きを感じる一方で、どこへ向かうのかという確かな指針を見出せない。方向性の決定や解決策の検討に費やす時間は、その意思決定の重要性に見合ったものでなければならない。今後数年間にわたる事業領域の将来性が問われているのであれば、徹底した分析を行う価値は十分にある。

まさにここに、優れたトップチーム運営の要諦がある。現状を正確に分析し、優先順位を明確に定め、その施策がもたらす成果を常に見据えることである。そのプロセスは、「Reality(現実)」「Direction(方向性)」「Design(設計)」「Delivery(実行)」というシンプルな流れに沿って進む。まず、組織の前進を妨げている要因を把握する。次に、進むべき方向を定める。そして、その方向性に基づいて解決策と具体的なアクションが導き出される。こうしてトップチームの活動は、単発のワークショップや会議にとどまるものではなく、組織を導くための共同のリーダーシップへと昇華していくのである。

解決策を急ぐのは自然な反応だが、危険でもある

Cレベルの経営幹部は、意思決定を下すために存在している。複雑な状況を整理し、方向性を示し、実行を可能にすることが求められる。しかし、変化の激しい変革局面では、その強みがかえって弱みとなることがある。問題に対する共通認識が十分に形成される前に、チームが解決策の議論へ進んでしまうからである。

その結果、症状と原因が混同される。各部門の視点が並列したままとなり、組織として共有すべき現実認識へと統合されない。経営幹部それぞれが同じ目標を掲げていたとしても、前提条件や時間軸、成功の定義が異なれば、実際には異なるものを思い描いていることも少なくない。

こうした事態を防ぐためには、まずチーム全体で「問題空間(Problem Space)」に立ち入り、直面している課題に対する共通理解を深めることが重要である。

本当に解決すべき問題は何か。それとも単なる症状に過ぎないのか。変えることのできない制約は何か。私たちの意思決定や行動に影響を与えている前提は何か。そして、慣れ親しんだ解決策に早々に飛びついてしまう危険はないか。

こうした問いに向き合うには時間を要する。しかし、たとえ困難であっても、この段階に十分な時間を投資するべきである。問題の本質に対する認識を揃えることで、その後の意思決定や実行段階で生じる摩擦を大幅に減らすことができるからである。

問題の明確化こそがアラインメントの基盤である

トップチームとの取り組みにおいて、アラインメントはしばしば「目標への合意」として理解されている。しかし、それだけでは十分ではない。チームが目標に合意していたとしても、その根底にある課題認識が異なっていれば、結果として組織を異なる方向へ導いてしまう可能性がある。個々のメンバーの理解やコミュニケーションにおけるわずかなズレは、組織全体に広がる過程で増幅されていくのである。

共通の問題認識は、それとは異なる質のアラインメントを生み出す。それは、現実を政治的な思惑や部門最適の視点から捉えるのではなく、リーダーシップによって対処可能なものとして捉えることを促す。異なる視点を無理に均一化するのではなく、一つの共通した現実認識へと統合していくのである。その過程では議論や摩擦も生じるが、目標間の衝突や依存関係、組織としての限界が早い段階で明らかになるため、実行段階での摩擦を大幅に減らすことができる。

一見すると些細なことに思えるかもしれない。しかし、例えば次のような比喩を考えてみたい。こうした比喩的なストーリーは、成果がすぐには見えにくい困難な取り組みに向き合うための力を引き出すうえでも有効である。8,000メートル級の山への登頂を成功させるために必要なのは、勇気だけではない。まず求められるのは、現実に対する冷静な診断である。ルートの選定、天候と行動可能な時間帯、酸素の確保、荷重、そしてリスク。こうした制約条件を無視した登頂計画は、単なる空想に過ぎない。

トップチームにとっても同様である。障害や困難な課題と向き合うことは、建設的な行動計画を策定することと同じくらい重要である。変革には確かに高い志とスピードが求められる。しかしその前提として、何が組織の前進を妨げているのかについて共通認識を持たなければならない。そうして初めて、アラインメントは優先順位を判断するための確かな基盤となるのである。

優先付けそのものがリーダーシップ

優先順位付けは、しばしばリソース配分の問題として捉えられる。どの施策に予算や人員、経営陣の関心を振り向けるのかという議論である。これは確かに重要な視点だが、それだけでは不十分だ。

Cレベルの経営層にとって、優先順位付けはリーダーシップそのものである。優先順位を定めることは、組織に対して明確なメッセージを発することだからだ。本当に重要なものは何か。意図的に取り組まないものは何か。どの目標間のトレードオフについて経営として判断を下し、現場に委ねないのか。そして、どの領域に組織の焦点を集中させるのか。トップチームには、こうした意思決定に責任を持つことが求められる。

経営陣や取締役会に対するコンサルティングの現場でも、この点は繰り返し確認される。特に変革の局面において、組織はトップマネジメントが単に新たな要求を積み上げているだけなのか、それとも組織が進むべき方向を明確に示しているのかを注意深く見ている。

すべてが優先事項になれば、実質的な優先順位付けは下位のマネジメント層へと委ねられてしまう。その結果、組織には過度な負荷が生じる。複数のプロジェクトが同じリソースを奪い合い、管理職はそれぞれ異なる解釈で指示を受け止め、現場のチームは矛盾した期待に直面することになる。

そのため、優先順位付けは決して抽象的な議論にとどまってはならない。問題認識を共有した後には、その内容を具体的な行動へ落とし込む必要がある。スケジュール、リソースの妥当性確認、成功指標、そして共通のリーダーシップ・ロードマップなどを含む実践的な整理が求められる。

ここで重要なのは、優先順位は単に定めるだけでは意味を持たないということである。優先順位が意思決定、責任の所在、リソース配分、そして実行のリズムへと具体的に反映されて初めて、組織において実効性を持つのである。

さらに、優先順位付けには「何かをあきらめる」という決断も伴う。優れたアイデアであっても、すべてを直ちに実行できるわけではない。すべての課題を同時に解決することも不可能である。効果的なトップチームは、組織が過剰な施策や要求に振り回されることを防ぐため、明確な焦点を定め、その焦点を継続して示し続けるのである。

インパクトとは、施策の実行そのものではない

多くの変革プログラムでは、進捗が活動量によって測定されている。ワークストリームを立ち上げたか、施策を定義したか、ロードマップを承認したか、といった指標である。こうした指標は、オペレーション上は有用であるものの、それだけでは実際にどのような成果や変化が生まれたのかを十分に示すことはできない。

真のインパクトは、リーダーシップによる行動によって組織の有効性が明らかに高まったときに生まれる。意思決定がより明確になる。リソースが重要課題へ優先的に投入される。部門間の依存関係や課題が早い段階で解消される。経営層の発信するメッセージには一貫性が生まれる。そして、チームは何をもって成功とするのかを理解できるようになる。

その結果、変革を成功に導くトップチームでは、「私たちは何をするのか」という問いから、「その結果として何を変えなければならないのか」という問いへと焦点が移っていくのである。

Cレベルのトップチームにとって、まさにこの問いこそが決定的に重要である。インパクトは施策が終了した後に評価するものではない。優先事項を選定し、その内容を具体化する段階からすでに意識されていなければならない。

どの意思決定をより良いものにするのか。どのような変化や好循環を生み出したいのか。どのボトルネックを解消するのか。そして、自分たちが正しい方向へ進んでいることを、どのような指標によって早期に確認するのか。

こうした問いに一貫して向き合うことで、トップチームは共通の「成果創出のロジック」を築くことができる。重要なのは、個々の部門が成果を上げることだけではない。組織全体として、意思決定力、実行力、そして戦略的な明確さを高められているかどうかなのである。

効果的なトップチームのための3つのリーダーシップの指針

トップチームの活動は、単に調整の機会を増やすことで価値を生み出すものではない。リーダーシップの質を高め、組織全体の成果を向上させてこそ、その真価が発揮されるのである。

そのためには、次の3つの原則を徹底する必要がある。

1. 解決策の設計よりも先に問題を明確にする

トップチームは、より迅速かつ的確な実行を実現するために、あえて立ち上がりの段階で十分な時間をかけるべきである。まず問題を正しく理解し、共有することが、その後の成果を左右する。

2. 一貫性を持って優先順位を定める

リーダーシップとは、重要なことを示すだけではない。重要度の低いものを意識的に後回しにすることでもある。何に集中し、何を見送るのかを明確にすることで、組織は初めて適切な方向へ進むことができる。

3. 実行前にインパクトを定義する

施策の価値は、その実施自体ではなく、組織にもたらす変化によって決まる。意思決定、リソース配分、協働のあり方、そして実行力にどのような影響を与えるのかを、あらかじめ明確にしておく必要がある。

多くの活動と真の前進を分けるのは、まさにこの点である。効果的なトップチームは、単にアラインメントを実現するだけではない。組織として共有された現実認識を築き、明確な優先順位を示し、その成果を検証可能な形で生み出していくのである。

キーンバウムの Cレベル・ガイド

CEO、CFO、CTO――企業のCレベルには、大きな裁量権と重い責任が伴います。そこへ到達することをキャリアの目標とする人も少なくありません。しかし現実には、多くの経営幹部が極めて複雑な課題や難しい問いに直面しています。そして、その状況はかつてないほど厳しさを増していると言えるでしょう。

「キーンバウム Cレベル・ガイド」は、トップリーダーシップをテーマとしたシリーズです。本シリーズでは、経営幹部や経営チームが直面する重要な課題に焦点を当てるとともに、CEOを目指す方々のキャリアの歩みにも注目します。

Cレベルへの昇格に向けて、どのような準備が求められるのでしょうか。就任後100日間を成功へ導くためには何が必要なのでしょうか。変革への強いプレッシャーと多様な課題が同時に押し寄せるなかで、エグゼクティブとして優れたリーダーシップを発揮するにはどうすればよいのでしょうか。そして、従業員のモチベーションを維持しながら困難な変革を成し遂げるには、何が求められるのでしょうか。

本シリーズでは、こうした問いに向き合いながら、トップリーダーに求められる考え方と実践のあり方をご紹介していきます。

執筆
Dr. Stefanie Plassmeier
Executive Director, Partner | Leadership & Transformation
Mag. Mathias Dockner
Director | Leadership & Transformation

オリジナル記事(ドイツ語):
https://www.kienbaum.com/blog/problemklarheit-fuehrung-top-teams/

本記事はキーンバウム・ジャパンのニュースレターNo.3/2026号に掲載されました。 
https://media.kienbaum.com/wp-content/uploads/sites/13/2026/07/Newsletter_No_3_2026_JP.pdf

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https://international.kienbaum.com/japan/

(8月5日の同社プレスリリースより転載)