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【キーンバウム】第23回キーンバウム・ピープル・コンベンションを振り返る②

今年もキーンバウムのピープル・コンベンションが開催された。このイベントは、キーンバウムが毎年開催する人事(HR)やピープルマネジメントに特化したイベントで、各業界の人事担当者や経営者が参加し、講演やワークショップを通じて最新のHRテーマについての知識や実例が共有される。今回は「Next-Gen HR: Building HumAIn Relations」をテーマとし、HR部門におけるAIの活用法、またAIがHRにもたらす影響について、講演、討論が行われた。コンベンションの概要を数回にわけて紹介する。

1.AIはどのように企業価値を生み出すか?:Nicole GerhardtTelefónicaドイツ)の講演

Telefónicaドイツの組織開発・人事最高責任者(Chief Organizational Development & People Officer)であるNicole Gerhardtは、キーンバウム・ピープル・コンベンション2024で、イノベーションと組織プロセスの再設計における人事部門の役割について講演した。また、彼女の部門がどのように全社的なAI導入のための枠組み条件を設定しているかについても語った。 

なぜ人事部門がAI戦略や企業プロセスの再設計のようなテーマを率先して担当するのか?Nicole Gerhardtは最近、しばしばこの疑問に直面してきた。経験豊富な通信会社のマネージャーである彼女にとって、答えは明白だ。ほかにどの部門がその役割を果たせるのか?人事部門は中立で、必要な専門知識を持っている。それにそもそも人事部門の目標そのものが、ダイナミックで持続可能な組織を構築することなのである。

1年半前、人事部門はその目標に沿って名称を「HR」から「組織開発&人材(Organizational Development & People)」と変更し、再編成された。基調講演の中でNicole Gerhardtは、Telefónicaをダイナミックな組織に変革するための課題について述べた。

TelefónicaにとってAIは目新しいものではない。チャットボットは何年も前からコールセンターで使われており、ネットワーク技術にもAIがすでに試用されている。しかし、包括的な導入に向けては、Gerhardtと彼女のチームが戦略を策定した。最初のステップは、AIで達成すべき目標を定義することだった。企業が求めているのは効率化なのか、それとも売上増なのか。そのために企業はどのようなスキルを必要とし、従業員の懸念にどう対処すべきなのか?

Telefónicaでは、まず社内の既存のAI使用事例を特定し、評価した。その後、その役割への影響を評価し、最終的にラーニング・ジャーニーを行った。経営陣と管理職から始まり、労働組合と従業員が続いた。最後に、AIが社内でどこに根付くべきか、それに応じてオペレーティング・モデルをどのように適応させるべきかが議論された。

Nicole Gerhardtがこの課題に取り組むために、どのようにチームを構築し、必要な専門知識を育成したかは、当講演の録画でご覧いただけます(ドイツ語)。
https://www.kienbaum.com/blog/nicole-gerhardt-people-convention-wertschoepfung-ki/

2.イノベーションとドイツ経済の現状:Prof. Reint Gropp  (ライプニッツ経済研究所) による講演

ハレのライプニッツ経済研究所所長のProf. Reint Groppは、キーンバウムのピープルコンベンションでの講演において、ドイツ経済の現状を取り上げ、なぜドイツが「ヨーロッパの病人」とみなされているのか、という仮説を論じた。

Prof. Reint Groppは講演の中で、多くの人々がドイツに対して抱いている悲観的な見方を説明した。昨年末、国際経済誌『The Economist』は、ドイツが再び「ヨーロッパの病人」になったという仮説を提唱した。Groppはこの仮説を取り上げ、労働力不足の影響やイノベーションと生産性向上の役割について考察した。彼は冒頭で、経済成長がどこから来るのかを理解することが重要だと説明した。経済成長に関連する重要な要素は、一方では既存企業によるイノベーション、そして他方ではより新しく革新的な企業による既存企業の淘汰である。しかしドイツでは、新規参入する企業も撤退する企業もほとんどない状況であるにも関わらず、生産性成長率は過去数年間、ヨーロッパの比較において低くはなかったのである。

ではなぜ現在、それが難しくなっているのか、そして政策が何をすべきかについて、Groppは説明を続ける。国際的な比較では、ドイツではリスクキャピタルの獲得がより難しいとされる。その結果、著名な若い起業家も少なくなっているのだ。では何が必要なのか?経済専門家であるGroppは、ドイツ企業はイノベーションをより上手に実行できるようになる必要があると説明した。しかし、Economist誌でも指摘されているように、ドイツ企業がAIのような破壊的なテーマにも対応できるかどうかについては疑問が残る。

そして、AIは経済全体においてどのような役割を果たすのだろうか?Groppは、AIが企業の生産性にどの程度影響を与えるかはまだ判断できないと明言した。問題は、AIが経済に根本的な変化をもたらすかどうかである。過去において、技術の進歩は常に、古い雇用が失われるよりも多くの新しい雇用を生み出してきた。経済の基盤を変えたテクノロジーはない。しかし、AIに関してはそうなる可能性があるかもしれないが、現時点では確実な答えを出すことはできないと述べた。

全講演と分析は録画でご覧いただけます(ドイツ語)。
https://www.kienbaum.com/blog/reint-gropp-people-convention-deutsche-wirtschaft/


キーンバウムのピープル・コンベンション

キーンバウムが毎年開催する人事(HR)やピープルマネジメントに特化したイベントで、今年で開催23回目。最新のHRトレンドのほか、技術革新、特にデジタル化やAIのHRにおける影響や活用法に焦点を当て、企業の人事担当者や経営者による講演やワークショップを通じて知識や実例が共有される。

執筆

キーンバウム編集部
contact@kienbaum.de

本記事はニュースレター2024年第4号に掲載されたものです。
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