人的資本経営の推進を重要テーマに掲げる企業が増えている。統合人事プラットフォームSAP SuccessFactorsを活用した人事ソリューションで人的資本経営を支援する株式会社オデッセイの秋葉尊社長に、企業が取り組むべき課題などについて寄稿してもらった。
株式会社オデッセイ
秋葉 尊 代表取締役社長
【PROFILE】NECにて営業、マーケティングを経験後、2003年オデッセイ入社、2011年より現職。独自の人事ソリューションでSAP業界トップクラスの導入実績を誇る。SAP AWARD OF EXCELLENCE 2024受賞
これまでの経緯と今後の可能性
2020年11月に米国SECが上場企業に対し人的資本情報の開示を義務化したのち、日本でも2023年3月の決算以降、上場企業に対し有価証券報告書へ人的資本情報の開示が義務化された。
今回は開示初期段階のため比較的開示しやすい情報が指定されているが、今後、米国で開示範囲を大幅に拡張するとの情報もあるため、日本においても開示項目が拡張される可能性が高い。
苦戦が続く日本企業の現状
今年で人的資本情報の開示義務化2年目を迎えた日本企業。すでに進み具合に差が出ている。
●義務化項目を人海戦術で集計してなんとか間に合わせている会社 ●人事システムで人的資本データを一元管理して、義務化項目を開示している会社 ●義務化項目を開示したうえで、ISO30414を参考に人的資本情報を可視化/モニタリングしながら管理すべき人的資本情報を検討している会社 ●自社で重視する人的資本情報を指標化・開示し、PDCAを回している会社 ●経営戦略に基づいて人的資本情報を管理し、PDCAを回しながら企業価値向上に繋がる情報を開示している会社 ●人的資本経営の成果を財務データを活用して定量的に検証している会社 |
各社様々だが、まだ苦戦している企業も多く存在する。たとえば、リクルートマネジメントソリューションズが2023年6月に発表した調査によれば、内閣官房が公表した人的資本可視化指針7分野19項目のうち、取り組めている項目がないと回答した企業は40%に上った。
さらに、人的資本の開示に伴う情報の整備が遅れる理由についても、依然「何を公開すべきかわからない」「情報収集できない」等を挙げている企業が多い状況だ。
人的資本経営の実現に向けて
人的資本情報の開示について、王道は自社の経営戦略に基づいて、どの情報をどのような尺度で管理し、社外に開示すべきかを決定することだ。しかし、調査で「何を公開すべきかわからない」との回答が多かった通り、これには時間がかかる。
そうであれば、国際規格であるISO30414の中から項目を選んでスタートする方法も考えられる。まずはISO30414の項目をモニタリングしPDCAを回しながら、徐々に項目を追加/修正して管理対象に加えていく方法であれば、すぐにスタートできるはずだ。
効果的なスタートを切るために
このプロセスを支援するのが、当社のUlysses人的資本ダッシュボード®だ。ISO30414が定める11領域の人的資本情報を簡単に可視化してモニタリングできるようにSAP SuccessFactorsにプリセットされている。
SAP SuccessFactorsを導入し、必要なデータを投入すれば、即座にモニタリングを開始できる。更には、Ulysses/人的資本らくらくスタートパックを利用すれば、これらの仕組みを8週間240万円で導入することができる。
サブスクリプションも年間2600円/人程度(1000人の場合)とリーズナブルで、導入時にユーザーが担当する作業も「移行用データの準備」のみと非常に負担が少ない。コストや手間の負担も軽く、8週間後にはISO30414に基づいた人的資本情報のモニタリングができるようになるのであれば、現実的な選択肢になるのではなかろうか。
●Ulysses/人的資本らくらくスタートパックとは
企業価値向上への投資
人的資本情報の開示は、企業にとって大きなチャレンジでもあると同時に組織の未来を切り開く大きなチャンスでもある。Ulysses 人的資本ダッシュボード®や人的資本らくらくスタートパックは、この新しい時代の要求に応えるための実践的な解決策を提供する。人的資本経営の成功は、企業価値の向上と直結している。今こそ、未来への投資として、積極的に人的資本情報の管理と開示に取り組む時である。
【導入企業の声】戸田建設
創業:1881年 従業員数:4215人
事業内容:建築・土木を中心に都市開発、不動産、発電など
人財戦略推進のためにタレントマネジメントを導入
中期経営計画のもと、人財開発、人事制度刷新など5つの領域にわたる施策によって、個々の人財価値と組織力の最大化を目指す中、従来の目標・評価管理システムでは、経営方針と各社員の業務を関連づけることが難しく、人財戦略推進の課題となっていました。そこで、次の目的でタレントマネジメントの導入を進めることにしました。
・VUCAの時代に立ち向かう組織(集団の戦力)や人財(個の戦力)の強化
・実効性・納得性のある目標管理制度による、企業価値の向上と社員の働きがいの追及、モチベーションの向上
・個人の能力や各種履歴の「見える化」と、人財開発への効果的な活用
・求める人財像を策定して経営メッセージとして開示することによる、社員の意識や行動の変革
SAP導入で適材適所の人財配置や効果的な人財開発を実現
導入にあたっては、タレントマネジメントを実現するクラウドサービスとして、将来的にも人事業務全般に対して段階的に機能拡張ができるSAP SuccessFactorsを選択し、導入パートナーには、25年以上にわたってSAP人事ソリューションを担当してきた歴史を持ち、豊富な導入実績と知見をもつ株式会社オデッセイに依頼しました。
SAP SuccessFactorsを導入したことにより、ペーパーレス化や人事考課の効率化だけでなく、社員の能力や履歴を可視化し、適材適所の人財配置や効果的な人財開発を実現することができました。
導入の本来の目的は、自己発働型社員を増やすことにあり、目に見える効果の創出は長いスパンで見据えているため、今後は新人事制度のもとでのタレントマネジメント実現に向け、機能拡大を進める計画です。
株式会社オデッセイ
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